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espyの日記: DWMのARM基板 (3) 足上げ方法 2

日記 by espy

やっと 前回の続き。「0.5mmピッチのICの足上げなんてできね~!」とお嘆きの貴兄に、
私の足上げ方法をご紹介します。
無保証ですので同じようにやって失敗されても責任は持てませんが、
ヒントにして頂ければ幸いでございます。

(Step-1) 敵を知る。(^-^;
    さて、ADuC7026の27番ピン(リード)を1本だけ持ち上げるわけですが、
  そもそもどんな寸法なのでしょうか。0.5mmピッチと言うからには、
  0.25mmのリード幅と0.25mmのスキマの繰り返し?
  データシートを見てみると、リード幅については、0.27/0.22/0.17と、3段の
  数字が書かれています。最大/標準/最小という意味でしょう。
  単位は、下に「ミリで示しています」と書かれています。
  (ちなみに半導体のデータシートの中には、今でもインチ表示だったり、
  inch/mm表示が併記されていたり、inch/mmで別々のページで書かれているものも
  存在します。豆知識)
  つまり、標準で足の幅は0.22mm、足と足の間は0.28mmというリクツになりますね。

(Step-2) 足上げ治具を作る。
    リードを1本だけ持ち上げるための治具を作ります。細い針金の先端を
  J字(L字)型に曲げたものを作って足の下に差し込み、持ち上げるためのものです。
  用意する物は、ラッピングワイヤー。写真のものは AWG28 (φ0.32mm)で、
  たまたま私が持っている、普通の配線などに使っている物です。
  それと工具は、ホーザンの強力型ピンセットP-891。これは肉厚が厚くて
  強くつまんでもしなることが無く、それでいて先端部も非常に細くて、超オススメです。
  これ以外のピンセットではこの先の作業はできないと言っても言い過ぎではありません。
  秋葉原で1200円くらいしますが、ぜひ1本持ちましょう。

  ラッピングワイヤの被覆を剥いで芯線を出します。径が0.32mmで、先ほどのスキマには
  入らないので、これの先端を2~3mm程度、少し潰します。
  平面がピッタリ合う、精密なラジペンで潰しましょう。ラジペンが無ければ、
  先ほどの強力型ピンセットでも、力を込めればなんとか潰せます。
  こんなイメージです。(絵が下手ですが…)
  実際に潰した様子の写真です。平らな面が光っている様子が分かるでしょうか。
  そして、その先端部をかぎ爪状に曲げます。(模式図)
  模式図は「し」の字のようで頼りないですが、強力型ピンセットの先端を使えば、
  カクッとした、シャープな「L」字型に曲げられます。

(Step-3) 足のスキマに治具を差し込む。
  作った足上げ治具を差し込むのですが、まずその前に、 リードのハンダを吸い取ります
  これは、ハンダによって、モコッと盛り上がっている部分を無くして、治具を
  差し込みやすくする意味があります。ですので、持ち上げるのは27番ピンですが、
  その両側のピンも含めて、あらかじめハンダ吸い取り線で吸い取って ひからびさせます。
  そして、足上げ治具の先をピン間に差し込みます。差し込んだ様子です
  26ピンと27ピンの間に差し込んでいて、"L"字に曲げた治具の先端が、ちゃんと27ピンの下に
  入り込んでいます。28ピンとの間に先端が来て光っているのがわかるでしょうか。

  ここで、最初の潰しが足りなかったり、"L"字に曲げた曲げしろが長すぎたり
  していると、うまく差し込めないでしょう。そんな場合は潔く治具の先端部を
  切り落とし、Step-2 に戻って作り直しましょう。

(Step-4) いよいよ足上げ。
  うまく差し込めたら、あとは27ピンと基板との接触部分(まだハンダで付いている)を
  コテ先で加熱して、足上げ治具をゆっくり引っ張って、足を持ち上げます。
  足上げできた状態です。 いろんな角度から見て、ちゃんと基板との間が分離しているか、
  確認しましょう。

(Step-5) パスコンを付けよう。
  無事、足上げできたら、パスコンを付けます。
  いきなり付ける前に、チップコンデンサを置いてみて、こんな配置でつけるという
  アタリをつけてみます。
  写真のチップコンデンサは、2125サイズ (2.0×1.25mm) の 1uFのものですが、特に
  チップコンデンサでなければならないという事はないと思います。
  ピンクの矢印のあたりのレジストを剥がしてハンダ付けすることにします。
  もう一方の極は、短いワイヤで27ピンとつなぎます。
  レジスト (基板表面の緑色の絶縁塗装) は、絶縁膜である、という前提で
  かまわないのですが、ビアのあたり (例:写真のオレンジの矢印) は塗装が薄く、
  実際にテスタで当たると導通があったりするので、ビアの真上にチップ部品を乗せるのは
  避けるようにします。
  基板の表面にチップ部品を直接乗せるのは不安だ、という場合は、カプトンテープ
  (ポリイミド製の耐熱テープ)を小さく切って貼り、絶縁しましょう。このテープ、
  アキバの店頭ではなかなか見かけないのですが、私はラジコンショップで買いました。

  レジストを剥がした様子。エンジンカッター(リューターとも言う。ネギ坊主のような
  刃先をモーターで回す電動の工具)を使うときれいにできますが、
  普通のカッターナイフの刃先を立ててガリガリ削っても剥ぐことができます。
  写真はカッターナイフでやりました。刃先がこぼれるので、OLFAのような
  替え刃のあるカッターナイフでやりましょう。

  コンデンサが付いて、27ピンとも接続された様子。
    正面から見たところ と、左斜めから見たところ。まぁまぁきれいでしょう? (^-^)

  なお、27ピンとコンデンサの間を短いワイヤで接続していますが、これくら短いと、
  コテを当てて加熱して、コンデンサ側のハンダが溶けていると、27ピン側も
  熱で溶けてしまいます。
  2箇所が同時に溶けてしまうので非常にやりづらいので、両方同時に溶けるという前提で、
  エイヤッ、と手早くハンダ付けする必要があります。

  さて、前回書いた通り、27ピン(LVDD)だけでなく、IOVDDにもパスコンが必要なので、
  基板裏面でも同様に レジストを削ってチップコンデンサを付けました。
  LED点滅のサンプルプログラムの転送(書き込み)と実動作はバッチリOKでした。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by ucha (10757) on 2006年06月29日 9時04分 (#968948) 日記
    私のやり方ですが、
    カッターの刃先を目的のピンの右に差し込んでおいて足を手前に持ち上げるように軽く力を入れて、左手で極細半田ゴテで目的のピンのハンダを溶かすと多少足が左によりますが、足がパッドから浮き上がります。
    この状態で、このピンのハンダを溶かしてハンダ吸い取り器でハンダを除去して同じことをもう一度やると足がフリーになります。
    ただし、この方法はFPGAなどの足が長いICの方法です。
    --
    uchachaの日記 [hatena.ne.jp]
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