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goodlifeの日記: 【著作権】テレビ番組の録画テープを友人に貸すことは犯罪か?

日記 by goodlife
妻の掲示板で話題になっている件です。あっちに乱入する気はあまりないんですが、面白い話題なので個人的な見解をまとめてみました。

一般的に、ビデオテープを貸すことが、映画の著作物の頒布にあたれば疑問の余地なく違法ですので、26条がまず重要ですが、2条の定義からは、一人の特定の友人に貸すという行為は頒布には相当しないと思われます(テレビ放映によって頒布権が消尽しているとは思われませんが、そもそも頒布権を侵していません)。

テレビ番組の録画はそもそもどうして合法なのか、という点については、日本では、判例はないものの通説では、私的複製が合法であるからとされているようです(ちょっと違和感もあります。次項に後述)。

とすると、次に、30条によりテレビ録画が私的複製として合法的に作成されたとして、それを友人に貸すことは、49条に定められた30条の「目的外の頒布」にあたるかどうか、が争点になるでしょう。「目的外」ではないか、または「頒布(または公衆への提示)」とはみなされないなら合法といえるでしょう。

まず「目的外」かどうかですが、友人が家庭内に準じる範囲と認められれば(専門家間で幅あり)目的内であり問題ないと いうことになります。ぼくの意見としては、家に遊びにいけるような関係であれば、裁判で勝てるかどうかは時の運ですけれども(笑)、相当に勝算があると思います(遊びに行けば見られますから、理にかなっていると思います)。

また「頒布」にあたるかどうかについても、友人との間であれば、前述の通り、2条で定義される頒布でないことは明らかだと思います。ただ、「家庭内に準じる範囲」を逸脱しているとしても、それがすべて「公衆」(不特定多数を指すのが普通。2条には特定でも多数は公衆、とは書いてある)ではない、という常識にしたがって考えれば、49条の条文は問題をはらんでいて、30条の目的には合致しないながらも、49条によって複製権の侵害とも見なされることもないような中間領域(家庭内に準じる範囲ではないながらも特定少数の関係者)が生じますが、きっとこれが、いわゆるグレーゾーンというものですね。この中間領域が生じるのは不自然ですが、ここをすべて複製権の侵害とするのも難しいでしょう(次々項参照)。

もうひとつ重要なのは、親告罪であるということで、かりに違法状態といえるとしても、権利者が黙認していれば犯罪ではありません。また、営利目的でもない限り、刑事事件になることはまずなさそうです。

(補足)「違法」でなく「犯罪」といった場合、可罰性があるということを意味します。問題のケースをよく吟味しないと、そこまで言い切るのは相当な勇気がいると思いますけどね。また、刑事として扱うためには、故意の侵害であることが必要です(かなり曖昧な認識で充分なようですが)。また、著作権侵害が親告罪であることは、強姦罪が親告罪であることと同等ではありません。警察や市民にとって犯罪の区別がつきにくいという点では同じですが、その他の事情が全く異なります。著作権については、第一に、セカンドレイプのような微妙な問題がないこと、第二に、あくまでも私権であって、他人の自由にさせておくことや多少の侵害について気にかけないこともまた権利者の自由であって、他人が代わって裁くべき問題ではないこと。

10.26 一部訂正
11.18 もうどうでもよくなってきたが、勢いで補足すると書いちゃったので追加。展開し始めるとキリがないんですよねえ。著作権ネタにしても、次からはもっと面白いこと書きます。

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typodupeerror

計算機科学者とは、壊れていないものを修理する人々のことである

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