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hylomの日記: ホリプロ会長やJASRAC理事ら、「コンテンツに必要なのは流通ではない」と主張 89

日記 by hylom

12月9日に「JASRACシンポジウム2008」が行われた。このイベントはドワンゴ代表取締役会長の川上量生氏やエイベックス・グループ・ホールディングス取締役の岸博幸氏、ホリプロ代表取締役会長兼社長CEOの堀義貴氏、JASRAC常務理事の菅原瑞夫氏など、コンテンツ業界に関わる「重役」が集まり、コンテンツ業界の今後について議論を交わすものなのだが、ここで行われた参加者の発言が興味深い。

CNET Japanに掲載されているリポート記事によると、参加者の発言は

  • コンテンツの流通促進を促すという政府姿勢は間違っている
  • 無料のコンテンツにしか接しない人が増えているのは遺憾だ
  • 「日本版フェアユース」や「ネット法」は決してうまくいかない
  • 「デジタルコンテンツの流通」は公益ではない

など、YouTubeやニコニコ動画、そして現在のWebでの無料コンテンツ配信サービスなどを完全に否定する発言ばかり。コンテンツ制作会社などが集まるということで、もう少し「コンテンツ配信のネットの有効利用」といった話がされるのではと思っていたのだが、正直期待はずれだった。結局、大手コンテンツホルダーは現状の「厚利多売」のコンテンツ流通モデルを維持したい、というだけなのかと思ってしまう。消費者の趣味嗜好が多様化し、コンテンツも有料無料を問わず増えた現在、「厚利多売」はこれからは続かないと思うのだが……。

ちなみに、弁理士の栗原潔氏はTwitterで「JASRACはまさにネット権(音楽版)なのにJASRACのイベントでネット権を批判する皮肉」などと感想を述べている。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 公益? (スコア:5, すばらしい洞察)

    by n_ayase (36873) on 2008年12月11日 10時24分 (#1471249) ホームページ 日記

    「デジタルコンテンツの流通」は公益ではない

    としながら、国主導の地デジのどさまぎで自分たちに都合のいいようにコピー禁止しようとしたり、法改正なんかで公的な保護を求めたりしているように見えるのは気のせいなんでしょうかね。

    #公益でない、と言い張るなら自分たちだけで解決する問題だと思うのですよ。
    #DRMガチガチでも何でもいいけど、法律で保護を求めるのは筋違いじゃない?
    --
    神社でC#.NET
    • Re:公益? (スコア:2, 興味深い)

      by Anonymous Coward on 2008年12月11日 11時02分 (#1471284)
      商売が上手く行かなくなったから法で何とかしてくれ的な匂いは、それを望めない立場から見ると羨ましい限りです。ある意味、米ビッグ3への公金注入に通ずるでしょうか。
      黙っていても収入のあるコンテンツホルダー側の既得権と、コンテンツがタダで手に入るっていう消費者側の既得権のぶつかり合いだから、法で相手を従わせようとするのは常套手段じゃないかな。既得権を財産と認識している場合、法に保護を求めるのも頷けるよね。ただ、従わせた側の思惑通りに財産価値が維持されるかどうかは甚だ疑問だけれども。
      親コメント
    • Re:公益? (スコア:1, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2008年12月11日 11時55分 (#1471311)
      「デジタルコンテンツの流通」が公益じゃないという認識があってこそ、がちがちの保護を求めたんじゃないんですか? また、利害関係者の間で公益ではないという合意があったからこそがちがちの保護というところに落ち着いたんだと思います。
      「デジタルコンテンツの流通」が公益であれば、著作権者や著作隣接権者の既得権を制限してでも流通を促進するということになるはずです。
      公益じゃないんだから今自分たちが持っている権利を制限するのは認めないというのはまっとうな主張でしょう。もちろん、保護の内容が権利の現状維持なのか拡大なのかについてはいろいろな意見があるでしょうが、別の論点じゃないでしょうか。
      委員会やらシンポジウムやらでの議論がぐだぐだになるのは、そのあたりをごっちゃにしてしまっているからだと思います。

      「JASRAC はまさにネット権 (音楽版) なのに JASRAC のイベントでネット権を批判する皮肉」という栗原氏のコメントはいいところをついていると思いますが、ネット側がきちんとした手順を踏まずに商売を始めてしまった(違法アップロードされた動画で集客とか)ことも考慮しないとフェアじゃないでしょうね。
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2008年12月11日 10時57分 (#1471274)
    古臭い人達が古臭いやり方に固執してくれるからこそ、新しい人達が新たなビジネスチャンスを掴めるってものですよ。

    個人的には、皆さんに「あの辺りの年寄りにそもそも何かを期待してたの?」ということを逆に訊きたい。
  •  一言で言ってしまうと、大手出版社だけがコンテンツを作れる時代が終わったことを無視してるからこういう思考になってしまうのではないかと思います。

     個人で手の届く価格のパソコンとソフトウェアシーケンサーでも、スキルさえあれば大衆をだませるクオリティの作品が作れるようになってます。 ついこの間も、ピアプロの投稿作品をiTunesで販売する [itmedia.co.jp]、初音ミク楽曲のアルバムがオリコンランクイン [itmedia.co.jp]なんてニュースもありました。
     実力を持ったクリエイター、それもさまざまなジャンルの人がピアプロのようなコミュニティサイトに集まって作品を作って発表し、多くの人に受け入れられている。これはもう厳然たる事実です。

     流通の改革が必要な一番の原因は、一昔前だと出版社の協力なしには到底不可能だった人やものを含めた制作環境がデジタル技術の進歩によって個人でも持てるようになったことではないかと思っています。デジタル流通は確かに最後の壁ではありましたが、根底にあるのはこれらの制作環境の進化でしょう。
     出版社にお膳立てしてもらわなくてもクオリティの高い作品が作れて流通させることまで可能ならば、出版社の持つ著作権法上の流通特権は邪魔になる局面も当然増えます。もともと著作権法は文化の振興を目的とする法律で、出版社は著作物を広めるにあたって重要な役割を担っていたから権利が与えられていたわけですが、その重要性が薄まっている以上権利も弱まるのは当然の流れです。

    #まあ出版社が自らそれを認めることないでしょうし、だからこんなかみ合わない議論になるんでしょうけど。
    --
    しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
    • by Anonymous Coward on 2008年12月11日 16時49分 (#1471583)
      >抜けている視点はデジタル流通ではなくデジタル制作

      まさにその通りで、さすがJASRACあたりは分かってるなぁという記事でした。
      どちらかというと、流通側と思われがちなJASRACだけど、そういう所はしっかり押さえてる。

      親コメント
  • 八つ当たり (スコア:3, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2008年12月11日 10時14分 (#1471242)
    >コンテンツの流通促進を促すという政府姿勢は間違っている

    頭に「デジタル」って付いているはず。勝手に省略するな
    • by Anonymous Coward on 2008年12月11日 10時50分 (#1471270)
      同意。
      あそこで否定意見を述べてる人からすれば、じつはこれは消費者と権利者の話ではなく、既存流通とデジタル流通の話として捉えてたりするので、デジタルを付けるのは重要かと思われ。

      IT化は実は中抜き流通の否定なので流通が儲かる云々という主張はそれ自体が見当違いな気がします。デジタル流通を既存流通の対抗馬として同じパイの奪い合いのように見ているようで、一時的に利益が云々とか言ってますが、そもそも過剰な流通自体に対しておまえら要らないから何人か首吊ればいいんじゃね?というような話で、どっちかというと産地直送を求める消費者の声を取り上げた結果、一番コストがかからないネットという流通になったんでしょうと。
      コンテンツに必要なのは「流通」ではない。その通り。だから既存のレコードレーベルという考え方自体の改革が実は求められているのではないかと。厳密にはこれはJASRAC自体に対して云々という問題ではないだろうとおもうわけです。
      親コメント
      • by Ryo.F (3896) on 2008年12月11日 11時11分 (#1471291) 日記

        デジタルを付けるのは重要かと思われ。
        用語としては「デジタル」ではなく、「ネット」とするべきなんじゃないですかね。
        既存流通だって、既にCD以降「デジタル」ですし。
        親コメント
      • 流通でなく製造が大事と言っている中に、
        レコード会社は流通業ではなく製造業だと言う意識があるんでしょう。

        ただ、これもある程度は正しくて、曲を作るのに
        作曲家だけでは無理で、編曲家や演奏家集めたりスタジオ借りたり
        編集したりという行程は必要なわけで、レコード会社が無くなると
        かなり苦労する部分はあると思う。
        #半分想像。そこまで出来た曲をレコード会社が買い取ってるだけ
        #なのもあるかも。

        小説家は文章を書くことは出来ても、版下まで作れる人は少ないし。

        映画の分野だと、映画会社は流通業であって、
        製造者は監督や役者(だけ)だって言う主張により違和感出てくるし。
        --
        TomOne
        親コメント
  • バイアスかかりすぎ (スコア:3, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2008年12月11日 10時19分 (#1471246)
    >など、YouTube やニコニコ動画、そして現在の Web での無料コンテンツ配信サービスなどを完全に否定する発言ばかり。

    CNETの記事だけ読んで、「YouTube等を完全に否定するばかり」なんて感想は出てこないように思いますが。
    タレコミ人は、現場にいたか中継を見ていたのでしょうか。
  • 印象がずいぶん違う。 (スコア:3, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2008年12月11日 12時31分 (#1471342)
    ITmediaの記事 [itmedia.co.jp]とエントリの本文と、ずいぶん印象が違うなぁ、という感じですが……見てみるとCNETの記事とも印象が違いますね。>エントリ本文
    特に

    など、YouTube やニコニコ動画、そして現在の Web での無料コンテンツ配信サービスなどを完全に否定する発言ばかり。

    の部分は「ほとんど嘘」と言っていいでしょう。
    「代替案や展望には欠けるなぁ」という印象はありますが、文脈を見ずに部分的発言を切り出し、まったく別の文脈をでっち上げているこの恣意的な煽りは、ちょっとあまりにひどいと思います。
  • 要するに "The Net" に「(マス)メディア」のビジネスモデルを持ち込もうと努力しているところに無理があるんだけどな。だから、こう云う騒ぎは "The Net" によってこれまでの(マス)メディアのあり方が問われ模索している過程での単なる混乱にすぎないと捉えてます。

    つまり『我々は利用者だ。お前たち(の著作権の商業的権利)を同化する。抵抗は無意味だ』ということなんですけどね。
    --
    --- Toshiboumi bugbird Ohta
  • by suzushiro (30819) on 2008年12月11日 14時23分 (#1471445)
    揚げ足を取るつもりはないが、iTMSや着うたはデジタルコンテンツに入らないのかね?
    CDが売れない一方で、着うたでの大儲けが右肩上がりの原動力だったと記憶しているが > JASRAC
  • by Anonymous Coward on 2008年12月11日 10時04分 (#1471236)

    ニコ動で付いたコメントが知りたいところ。

  • 素朴な疑問 (スコア:1, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2008年12月11日 10時15分 (#1471244)
    作者との契約に「たくさんの人に音楽を届ける」っていう基本的な部分は入ってないんですか?
  • by duenmynoth (34577) on 2008年12月11日 10時32分 (#1471260) 日記
    音楽をいかに広めるのが目的なのか
    音楽でいかに儲けるのが目的なのか

    まずはその前提をハッキリしてからスタートさせないと
    いつまでたっても話がかみ合わないですね
    • Re:手段と目的 (スコア:2, すばらしい洞察)

      by qem_morioka (30932) on 2008年12月11日 10時40分 (#1471263) 日記
      >音楽でいかに儲けるのが目的なのか

      前提がこっちなのは明白なんだけど
      これって悪い事じゃないですよ。

      そのやり方、儲け方が悪いっていう問題ですから。

      親コメント
    • 儲けるのが目的、当然だと思います。

      ただ、そのために主に使われる手段が、オリコンのように「音楽(に触れる幅)を狭める」媒体が中心なのが個人的には気に食わないですけれど。
      儲けるのが目的、その手段として広める、という形を作っていかないと、文化的な側面だけでなく商業的にもきっと行き詰まりますよね。
      親コメント
  • デジタルコンテンツの流通をちゃんと促進してのせていかないと、アソボット戦記五九 [wikipedia.org]で当初売り上げ目標を未来永劫達成しないじゃないか
    もうDVDとかも出さないそうだから有料配信コンテンツとして提供するしか
    #いい加減忘れてやれよ
  • by Anonymous Coward on 2008年12月11日 10時07分 (#1471238)
    乗せられただけの吟遊詩人まで道連れにしないでください。
    • by Anonymous Coward
      吟遊詩人は非常食ですので、最後まで道連れの前にいなくなります。
  • 北風と太陽 (スコア:0, フレームのもと)

    by Anonymous Coward on 2008年12月11日 10時24分 (#1471250)
    JASRACって北風の代表格だね。
    目の前の利益だけを追求して、音楽業界をシュリンクさせている主犯格だと思う。

    巷に溢れている無料コンテンツが良いとは思わないが、JASRACにはシェアを広げて
    薄く広く取るという戦略が無いな。見え隠れするのは小手先の戦術ばかり。
  • by Anonymous Coward on 2008年12月11日 11時00分 (#1471278)
    江戸時代末期のようなものですな。

    > 搾り取れるところから搾り取れるだけ搾り取るという発想はさして間違ったものではない

    それよりも、ユーザーとクリエーター(⊇アーティスト)が WIN X WIN の関係を作れるように傾倒していってほしいものです。

    両者は、搾り盗れるところから搾り盗れるだけ搾り盗るという発想(の国がいいること)も忘れてはならないですぞ。
  • by Anonymous Coward on 2008年12月11日 11時03分 (#1471286)
    ドワンゴの会長は前回のシンポでは独壇場だったので期待してたのだが、ずいぶんとおとなしかった印象。
    「日本版フェアユース(笑)」に辟易してきたのでしょうか。
  • 流通業者(と、流通を牛耳って荒稼ぎする胴元)という矛盾(笑)
  • by Anonymous Coward on 2008年12月11日 11時15分 (#1471293)
    古い考えだけで新しい事に対して取り組むことのできない老害集団って事ですね。

    まぁこの手のコンテンツ事業は国内だけの閉鎖的な部分が強いですからね。
  • by Seth (1176) on 2008年12月11日 12時00分 (#1471316) 日記
     今後、そちらのシノギを合法化して行って、ひとつの産業として
    雇用とか増やしたいので、そちらの既得権益を色々といじるために、
    なんかイイご意見ありますか?(合掌)

     と、どう違うの?(同一)
    --
    "castigat ridendo mores" "Saxum volutum non obducitur musco"
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※ただしPHPを除く -- あるAdmin

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