30年後の化学の夢
日本化学会が30年後の化学の夢ロードマップなる文書を公開したようだ。化学分野全体の将来の夢をとりまとめたもので、有機化学、無機化学、生化学、物理化学、ナノテクノロジー、未来課題、エネルギー・資源、環境、医療・健康・安全・安心、材料科学といった各分野で今後30年程度までの課題を俯瞰できるようになっている。人類にはまだまだ未踏の分野が残されていると素直に感じる。
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日本化学会が30年後の化学の夢ロードマップなる文書を公開したようだ。化学分野全体の将来の夢をとりまとめたもので、有機化学、無機化学、生化学、物理化学、ナノテクノロジー、未来課題、エネルギー・資源、環境、医療・健康・安全・安心、材料科学といった各分野で今後30年程度までの課題を俯瞰できるようになっている。人類にはまだまだ未踏の分野が残されていると素直に感じる。
メタンと黒色炭素の排出量を削減することで、二酸化炭素のみが対象となる対策よりも大幅に効果のある温暖化対策が可能になるという論文が出ている (Science)。
洪水被害の水田に対する間欠エアレーションといったことなどでのメタン抑制対策やディーゼル車両へのフィルタ対策での黒色炭素などの対策を施すことで、2050年までに地球温暖化予測を0.5度低くできるということだ。また、メタンと黒色炭素抑制により、年間70万~470万人の生命が大気汚染から守られ、メタンが発生要因となっているオゾンの減少によって穀物生産量も増加するとのことである。
二酸化炭素対策の併用も重要であるようには書かれているが、メタン、黒色炭素のほうが抑制が容易に思われるだけに興味深い話である。
産業技術総合研究所の発表によれば、カーボンナノチューブの光発熱特性を熱電変換素子に組み入れ、生体内で発電できる新たな光熱発電素子を開発したとのことである。この発電素子は、カーボンナノチューブを分散させた樹脂フィルムを用い、近赤外レーザー光によって樹脂フィルムが発熱する。そのフィルムと熱電変換素子に温度差が生じ、この温度差によって電力が生じる仕組みとなっている。 体内に埋め込んだ素子に体の外から近赤外レーザー光を当てるだけで、人体に負担をかけずに電力を供給できるとのことで、既にゼブラフィッシュの心筋を効果的に電気刺激し、さらに、この光熱発電素子をラットに埋め込み、レーザー光を30分間照射したところ生体内においても発電動作が起こることを実証できたそうだ。
安全で電池交換が不要な体内電源も近いかもしれない。
ペスト菌のDNAは、この600年間でほとんど変化していないことが分かったそうだ ( National Geographic)。ロンドンにある14世紀半ばの黒死病患者の墓地から人骨を掘り出し、歯46本と骨53本から採取した菌を調べた結果、遺伝子的には過去600年以上の間、ペスト菌は大きく変化していないことが明らかになったとのことである。
ペスト菌のゲノムが変わっていないという事実から、ペストが昔のように大流行を起こさないのは、現代の医学知識や人々の感染症への抵抗力が奏功している可能性を示唆しているとことである。また、変化が遅い理由としてはインフルエンザのように共存する複数の系統がないため、直線的にしか進化できないためのようだ。
時事通信の記事によれば、北九州市で開催されている日本原子力学会において、原子力分野を専攻する学生らが「3.11後の原子力を考える」とのグループディスカッションを行ったらしい。学生側からは「将来、原子力の仕事を続けられるのか」、「わざわざ風当たりの強い原子力業界に入る意義があるのか」など、現在の状況では多くが同意するだろう出たそうだ。
おそらく原子力分野において原発の是非がどのような方向に落ち着こうが、今後は原発の廃炉、使用済み燃料および放射性廃棄物の保管、処理といったところに人材が必要な状況になり、新規のプロジェクトや事業というものは発生しにくいだろう。 原子力分野の学生はいったいどこへ向かうべきなのだろうか?
科学技術政策研究所が、トムソン・ロイター社の文献情報データベースを基に、日本および世界の研究活動の状況を調査したレポートが公開されている。それによれば、日本が送り出す論文数やインパクトが高いTop10%論文数は増加しているものの、1990年代に比べ2000年代の伸び率はゆるやかになっており、伸び率が米英独仏に及ばないばかりか、中国やその他新興国の台頭により、日本の論文数及びTop10%論文数シェアは2000年代になり低下しているとのことである。新興国の台頭でシェアが落ちるのは仕方がないとも言えるが、このレポートでは日本の国立大学の研究活動の失速が、Top10%論文数のシェアの低迷を招いているという結論を出している。実際に、1997-1999年において日本のTop10%論文数は4,058本/年であり、そのうち国立大学から出た論文は2,254本であったが、2005-2007年においては2,216本/年と減っており、それに対して国立大学からの総論文数は3%ほど増えていることから、質が落ちているという結論が導き出されたようだ。
ぱっと見たところ、企業からの論文が半減に近い状態となっていることのほうが影響が大きいのではないかとも思ったが、日本の半分以上の論文を創出する国立大学の研究活動が重要な意味を持つことには変わりはないだろう。
NASAが予告していた宇宙生物学上の発見に関する会見だが、リンの代わりにヒ素を利用する細菌をカリフォルニア州のMono湖で発見したということだったようだ(NASAリリース)。炭素、水素、窒素、酸素、リン、硫黄が生物を構成する要素として重要だと言われ続けてきたわけだが、今回発見の細菌は、リンの代わりにヒ素しかない環境でも細菌が成長し、リンがヒ素に置き換わって成長を続けていることが分かったとのことである。Gizmodeに事前予想が出ていたが、ヒ素までは合ってるようだ。一般からの期待よりは地味な話に思えるが、生命というものが今まで考えられいるよりも多様であったと思うと、大きな発見だろう。
国際的な炭素循環管理政策の策定に役立つ科学的理解を深めることを目的としているGlobal Carbon Projectによれば、2009年における世界の化石燃料由来の二酸化炭素排出削減量が予測値である2.8%減を下回り、前年比1.3%減に留まったとのことだ(国立環境研究所のプレスリリース)。2009年の世界の排出量は308億トンであり、人類史上最高の2008年よりはとりあえずは減ったということである。減ったということが驚きに感じたが、2009年は世界的金融危機で経済的影響を被ったことが影響しているようだ。ただ、その経済的影響でのGDPの減少が 予測を下回ったことで予測値を下回ることとなったようである。また、経済活動における炭素集約度(GDP単位あたりの化石燃料由来の二酸化炭素排出量)の改善が予想より進まなかったことも理由としてあるらしい。
国別で見ると前年比で日本11.8%減、米国6.9%減、英国8.6%減、ドイツ7%減、ロシア8.4%減と排出量を減らしているのに対し、中国が8%増、インド6.2%増、韓国1.4%増などと排出量が伸びている。日米欧が排出量を減らす中、新興国が経済成長と共に排出量を増加させるという傾向が鮮明になってきているようだ。
ちょっと衝撃だったので残しておく。
と、ここまで書いて、先越されたようだ。
産業技術総合研究所の研究チームが、エタノールと比較して発熱量が大きいことからポストバイオエタノールとして期待があるバイオブタノールの効率が高い精製技術を開発したらしい(産総研リリース)。高いアルコール選択透過性をもつシリカライト分離膜を合成し、膜分離法(浸透気化法)によって、1%の低濃度ブタノール水溶液から82%という高濃度ブタノールの回収を実現したそうだ。従来の分離法に比較すると、50-70%ほどエネルギー投入量が少なく済むそうである。ブタノールはエタノールよりも発熱量が26%高く、ガソリンに近いため、既存のガソリン用のパイプラインやガソリンエンジンがそのまま使えるといった利点があるとのことで、これから期待かもしれない。
クラックを法規制強化で止められると思ってる奴は頭がおかしい -- あるアレゲ人