kahoの日記: ネアンデルタール人のゲノムプロジェクト
NY Timesにネアンデルタール人のゲノムを再現という記事があった.
ネアンデルタール人の遺伝子を解読するという話は昔からあって,確か1997年にミトコンドリアのDNAを読んで現代のヒトとは交雑していないようだ,という結果だったと思う.
発掘された骨の骨髄から取り出して読んだという話で,その時は本当に読めるのかなあと思っていたのだが今に至っても有効に反論されていないことを思うと正しかったのだろう.
その研究が更に進んでついにはゲノム全体を再構成しようというところまで進みつつあるそうだ.
登録なしで読めるかどうか分からないが,Natureにも記事になっていた.
進化上の話題は既にほぼ決着がついていて,ネアンデルタール人とホモサピエンスは交雑がほぼ存在せず,別の種として入れ替わったということになっているのだが,ゲノムを解読することでヒトがヒトであるのはなぜかという観点での研究と説明されている.まあやっている研究者はただ読みたいだけで本当に哲学/医学上の価値があるかは結構どうでもよかったりするのだが.
こういう話はチンパンジーなどの類人猿のゲノムプロジェクトでも言われていたのだが,例えばヒトの知能が他の動物よりも優れている理由がゲノムから分かったのかと言えば明確に言えたわけではない.(あくまで私見であるが,としておく)
個人的に興味深かったのは,こういう現在絶滅した動物のゲノムを読むときにどうやってDNA配列を読み取るかという話で,現在主流の電気泳動を使った方法でない新しい方法が使われているということだ.
21世紀になる頃からビーズがどうとか言われていたが,電気泳動方式のコストが年々下がっていくので間に合わないんじゃないかと思っていた.しかし既に競争力のある方法として販売もされていたというのは知らなかった.
私自身他人に説明できるほど理解していないのでここで偉そうに言うのは憚られるので454 Life ScienceのサイトのFlash demoを紹介するに留めたいが,バクテリアにクローニングする必要がなく,DNA断片をそのまま機械にかけられるというのは生体のとれない動物の配列を読むには最適だと思う.そうでないとクローニングする際にサンプルを汚染している他の動物のDNAを増やしてしまい,ネアンデルタール人を読んでいるつもりがそれを触った誰かの配列だったり骨についていたバクテリアばかりになったりするからだ.
もちろんこの方法でも配列のほとんどはネアンデルタール人でないものになってしまうのだが,スループットが大きいので違う配列はどんどん捨てていけばいい.読まれた配列のうちヒトではないがヒトに近いものを拾っていけばネアンデルタール人のゲノムが解読できるというわけだ.
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