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masakunの日記: 【タレコミメモ】「The Design of Voyager」バージョン0.1リリース

日記 by masakun

SYS0627:ドライブ C が異常停止しました。曰く、"先週末カナダで開催されたOS/2コミュニティの大会Warpstock 2006で、「Voyagerのデザイン(The Design of Voyager)」のバージョン0.1が発表されました。まだ書き始めの段階ですので内容が充実していませんが、21世紀にふさわしい新たなオブジェクト指向のデスクトップを目標とする The Voyager Project (過去のストーリー:「OS/2を新しくするVoyagerプロジェクト」) へ参加されるプログラマに向けたアーキテクチャの解説本を目指しているそうです。ただプログラマをターゲットにしている内容とはいえ、2000年にIBMのソフトウェアサポートに「OS/2ってIBMの製品なんだよね?」と電話で問い詰めたAchim氏の泣き言や、ワークプレイスシェルを初めて見た人が「これはどんなLinuxのディストリなんだ?」とOS/2ユーザーに問うありがちな例が紹介されていたりと、アレゲな方にもなかなか楽しめる内容となっています。

 さて第2章でVoyagerについて概観していますので、歴史的経緯についていくらかご紹介しましょう。もともとのアイデアの端緒は、OS/2をマイクロカーネルアーキテクチャに移行させるべく進められたOS/2 Warp (PowerPC Edition)プロジェクトにさかのぼること。そして1990年代後期に発表されたMacOS Xカーネル(Darwin)のソースコードとドキュメントの公開を受けて、IBMのマイクロカーネルとの共通点を感じたOS/2コミュニティの一部が注目しはじめ、ついに昨年夏にドレスデンで開かれたDevelopers Workshop 2005で、Darwin上でプレゼンテーションマネージャ(PM)とワークプレイスシェル(WPS)が動かせればいいのではないかというアイデアが紹介されたこと。しかしこのプレゼンでPMもWPSもソースコードが非公開で開発が容易ではないことが指摘されたため、昨夏の間現行OS/2のデスクトップの仕組みをハックしてWPSの実現にあたり最低限何が必要なのかが調べられ、11月に開かれたWarpstock Europe 2005で発表されました。またこのとき現行のOS/2アプリケーションとの互換性を実現するアイデアも披露されたそうです。そして今年春にスイスで開催されたDevelopers Workshop 2006では、オブジェクトモデルやマルチメディアサブシステム、OpenGLベースのウィンドウマネージャを含めたVoyagerの中核コンポーネントのプロトタイプについてプレゼンされました。それでまだ仕様決定の段階なのですが、OS/2でGUIベースのアプリケーションを作る上で必要なプレゼンテーションマネージャ(PM)とGPI/GDI(Graphic Programming Interface/Graphic Device Interface)を、それぞれGTK+とCairo Graphics Libraryベースで再デザインされることに決まったようです。CairoはすでにFirefox 1.5 for OS/2のために移植されていますし、GTK+についてはOS/2 Everblueプロジェクトでサポートされるべく現在開発中となっています。

 気になるカーネルですが、現行のOS/2カーネルを書き換えるか、FreeBSDになるか、Linuxになるのか、Darwinが選ばれるのかまだ定かではない模様。またWindows & Reactosのカーネルが採用される可能性があるとすれば、今後加わる開発者の支持次第のようです。とりあえず現段階ではどこかのプラットフォームにワークプレイスシェルが移植される動きではないようです。でも選択されるカーネルによって、Voyagerからの移植が楽になったりするのかな。また現在発売中のOEM版OS/2であるeComStationは、現状のサポート方針のまま提供されることになっています。

 さて親愛なるIBMさま、権利関係が複雑なことは重々承知の上でのお願いですが、せめてβリリースまで漕ぎ着けたPowerPC版OS/2のWPSだけでもソースコード公開に踏み切っていただけませんでしょうか?(過去のストーリー:OS/2、ついに出荷終了

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「The Design of Voyager」バージョン0.1リリース Thursday October 19, @12:59AM 保留/査読待ち

このタレコミにあたっていちおうテキトーに訳してみたThe Design of Voyagerの第2章のhistoryの部分あたり、タレコミが採用されたらこっちの日記で公開してみてもいいかなぁなんて思っています。却下されたらどうしようかな、やっぱり公開かな(ぉぃ

ところでこの過去のストーリー(OS/2、ついに出荷終了)はリンク張らない方が良かったかな。かなり誤解と偏見が入り混じったコメントばかりだし。ただまあこのデザイン本の第1章を斜め読みした感触ですが、WPSがオブジェクト指向シェルで素晴らしいという意見はどっちかっていうと、ユーザーより開発者に多いんじゃないかって思う。REXXひとつ知っているだけでもオブジェクト操作ができるから、プログラム書ける人にとってはユーザーインターフェースの可能性を自分で広げられる優れたプラットフォームなんじゃないかって思うの。
で、OS/2の右クリックになじめなかったユーザーは使いにくいOSだったと酷評しつつも、Windowsで仕方なく右クリックの毎日なんだろうね(おそらく。笑)。とはいえ自分も10年近くOS/2に惚れこんでいた理由が、WPSの操作性というよりはWarpCenterの階層メニューの方が大きかったので、Windows2000でBBLeanを使う今日このごろでは、OSの差異にあんまり気にならなくなったのもたしか。

ただOSの軽快さではやはりWarp4に適うものはないかなとも思ったりする。

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あつくて寝られない時はhackしろ! 386BSD(98)はそうやってつくられましたよ? -- あるハッカー

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