今日の日本経済新聞第１面の見出しによれば、

先端半導体　ソニーが生産撤退
ゲーム機用MPU工場　東芝に1000億円で売却

とあり、「現在詳細を詰めており、一二ヶ月内にも契約する見通し」とのこと。ソニーセミコンダクタ九州の長崎テクノロジーセンター（諫早市）にあるシステムLSI製造ラインの生産設備を、ソニーの拠点に置きながら所有権を東芝に移すということだ。これに合わせて東芝とソニー・SCEは共同出資の新会社を設立、東芝が買い取る製造ラインを借りてシステムLSIの生産を手がけるという。今まで自前でセルを調達するためにソニーは約2000億円を投じたが、回路線幅45nmの次世代セルのためにはさらに投資額が膨らむため、巨額の投資が必要なセルの生産を東芝に任せて、浮いた資金をAV機器の主力事業に集中させたい考え。フラッシュメモリが中心の東芝は昨年度1兆3000億円の売上高で国内最大手だが、システムLSI関連では国内三位に留まっている。今回の製造ライン買収で上位のサムスン電子を追いあげたい考え。
第13面の記事「転機迎える半導体戦略」によれば、IBMや東芝と共同開発したセルを自社生産しはじめたのは、ゲーム機やデジタル家電に搭載してソニー製品の競争力を高めるのが理由だったが、PS3の販売が伸び悩み5000億円ともいわれる開発コストがソニーの収益を圧迫しているのが現状だ。それで部品から最終製品まで自社製品で固める日本の国内電気大手のビジネスモデルは大きな曲がり角に立たされていると分析されている。

ただセルに関しては事実上ソニーは生産撤退するが、世界首位のシェアを持つ、ビデオカメラやデジタルカメラなどの「目」である画像センサーについては今後も事業を維持拡大する方針で、映像機器の分野についてはソニーが自社で半導体技術を持ち続けるようだ。頑張れソニー

【9/16追記】15日中のアップロードを目指して書いたので、新聞記事文中にある「画像センサー」って何だろうと思っていたけれど、CMOSのことだったんですね。そそタレコミ記事には asahi.com が書いている「Cellの新たな用途に展望が持てないため」云々なんて下りがあるけれど、日経の新聞記事はそんなこと書いてなかったと思うのだけどな。「ソニーがCellを使わないという判断を下した」なんてコメントに不当プラスモデが付いているみたいだけど、Cellを使うのをやめたいのなら asahi.com の記事にもある東芝との新会社を設立する必要はないわけで。え、なにロムってないでコメントしろってか(笑)

ただネットのニュース速報より、金を払って読む新聞記事の方が（正確さはともかく）情報量は多いというのは、このタレコミを見る限りでは実感するなぁ。

【9/16さらに追記】今日の新聞には「熊本にある主力工場に600億円を投じて、CMOSの製造設備増強を図る」とあるなぁ。今春から515万画素の携帯向けCMOSセンサーを出荷しているが、来年末からは800万画素の量産を始めるから、ということだ。またデジタル一眼レフ向けの高機能タイプも量産が始まっており、CMOSセンサーの2009年度の売り上げを2006年度と比較して三割増しの3000億円とする計画だ。うーんこうなったら PS3 は残しておくとしても、VAIOのパソコン事業もとっとと売り払って、キヤノンやエプソンみたいに光学機器メーカーに転身するのもありかもしれませんね。

でも個人的にはBCLラジオやデンスケを作っていた頃のソニーが好きなんですけど(笑)