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14058914 journal
日記

minato_nakazawaの日記: 長期間の食生活と腸内細菌 2

日記 by minato_nakazawa

先日放送された,NHKスペシャル食の起源の第1回で東大人類生態のラオスでの研究の話が流れたが,エンドロールに東大人類生態のクレジットがなかったのは不思議。秋田大学と田所さんはクレジットされていたのに。伏木先生登場されたっけ? 番組的にはいろいろ怪しい部分があるのはたぶん仕方ないのだろうか(同時的異所的な調査で「残っている」と言い切ってしまうこととか,少数民族と何度も言っていたが本当に少数民族なのかとか,もち米であることが強調されなかったこととか……)。まあ映像的には面白かったけれども。(NHKのサイト内のわりと詳しい内容紹介にも「人類生態」という言葉は出ていないのは残念)

ちなみに,長期間の食事パタンと腸内細菌の関係で,Bacteriodesがタンパクと動物性脂肪,Prevotellaが炭水化物と関連が強いという話は,2011年のScienceで,Linking Long-Term Dietary Patterns with Gut Microbial EnterotypesというReportに載っている。最近のものだと,この論文この論文も面白そうだ。

14030830 journal
日記

minato_nakazawaの日記: 人口学が絡んだ本について最近感じていること 2

日記 by minato_nakazawa

村上芽『少子化する世界』日経プレミアシリーズ,ISBN 978-4-532-26401-7(Amazon | honto | e-hon)は,ヨーロッパの出生と子育て支援の現状についてコンパクトにまとまっているが,ところどころ,人口学的な瑕疵が目に付く。例えば,図表2-1の凡例に「15~24歳合計特殊出生率」などとあるのは,15~24歳年齢別出生率の和,と書かないと誤解を生む。

先日Kindle版を購入した,ポール・モーランド(渡会圭子訳)『人口で語る世界史』文藝春秋は,マッシモ・リヴィ-バッチ(速水融・斎藤修訳)『人口の世界史』東洋経済,ISBN 978-4-492-37116-9(Amazon | honto | e-hon)(この本の訳者はお二人とも歴史人口学の開拓者であり権威であり,内容的にも素晴らしい名著)よりもずっと近・現代に力点を置いた政治よりの本だが,それなりに興味深い視点は含んでいる。しかし,「付録1 平均余命の計算のしかた」は完全に間違っている

訳される前に誰も指摘しなかったのか不思議だが,Mxの合計が0.5を超えたところを平均寿命とするという説明が,そのやり方で計算された,シンガポールの「生命表」と称する表とともに提示されている。出典として本当のシンガポールの生命表のURLが付されているので信じてしまう人がいたらまずいのだが,もちろん,そのシンガポールの生命表は,Mxから求めたqxからlx,dx,Lx,Txを求め,Tx/lxとしてx歳平均余命を計算する,つまり,ある年の年齢別死亡率に従って0歳10万人が亡くなっていった場合の各歳ごとにそれ以降延べ何人年生存するかを合計し,各歳別生残人口で割ることによって期待生存年数を得るという,普通の生命表の計算になっている(このページからリンクされているExcelファイルもそうなっている)。

偶々近い値になっているが,もっと極端な場合を考えれば,モーランド本の付録1の説明がデタラメであることは明確である。例えば,0歳死亡率が0.2,1歳死亡率が0.2,2歳死亡率が0.11で,3歳から48歳までの死亡率が0.0001,49歳以上死亡率が1,というデータを考えよう。モーランド本の説明だと,この集団の平均寿命(ゼロ歳平均余命)は2年になってしまうが,生命表で計算すると30.4年である。

この生命表の計算は,Rで

library(fmsb); mx <- c(0.2,0.2,0.11,rep(0.0001,46),1); lifetable(mx, class=1)

と打つのが簡単だと思う。

フランソワ・エラン(林昌宏訳)『移民とともに―計測・討論・行動するための人口統計学』白水社,ISBN 978-4-560-09691-8(Amazon | honto | e-hon)は,フランスの人口と人口政策,移民,移住政策について歴史的背景から最近の状況まで広範にカバーした本であり,かつ,著者がINEDの所長まで務めた人口学者なので,人口学的な正確さは他の移民関連本とは一線を画している良書だと思うが,ぼくと同様,世間にはびこる人口学への無理解や誤解への苛立ちを感じているようで,随所にそのことが書かれている。例えば,第11章「無知によってすべてを一刀両断にするエリック・ゼムール」は,冒頭から,

「人口学は知識欲のある人々の関心をひく社会科学だが,人口学の難解さを過小評価する,学ばずにしてすべてを知った気でいるアマチュアも興味を示す(中略)人口学を学べば,誕生,愛,死,そして亡命,難民,人口増加がわかると思うかもしれない。誰でも理解できるのか。人口学を実際に学習する際には,それらの親しみのある言葉は,出生数,婚姻数,死亡数などの冷淡な専門用語に代わり,移民の「フロー」と「ストック」を検証することになる(中略)他の学問の専門知識に比べれば,たいしたことがないと思われたかもしれないが,人口学を扱うには最低限の専門知識が必要なのだ。ところが「そんなことどうだっていい。人口学者なら簡単になれる」と思う輩がいる。「女性一人当たりの子供の数が2.1人なら人口置き換え水準である」と指摘すれば,すでに学識があり,ジャーナリストを煙に巻くことができる。テレビ局のスタジオでは,そうした輩が「人口学者」を自称している(しかも,彼らは日によって,経済学者,社会学者,地理学者,あるいは,それらすべてを自称している)。だが,本物の人口学者は,その人物が市民籍の登録を利用して合計特殊出生率や平均寿命を計算することさえできないと知っている。」

と,人口学者の溜飲を下げてくれる。

エリック・ゼムールがどういう人なのか知らないが,本書によると,移民やフランス凋落に関する終末論を書いている人気の自称人口学者だそうで,「INEDが示す合計特殊出生率0.1%」などと,まったく人口学を理解していない,誤解に基づくINEDへの批判(ある種の藁人形論法といえよう)を書いて人気を博しているそうだ。日本にもそういう似非人口学本や知ったかぶりな自称学者タレントは溢れているので,読者・視聴者は騙されないように気をつけて欲しい。

こういう人口学への無理解・誤解を解消するためにも,『Rで学ぶ人口分析』の原稿直しを早く仕上げたい。

13991623 journal
ソフトウェア

minato_nakazawaの日記: 人口ピラミッドの作り方を更新

日記 by minato_nakazawa

人口ピラミッドの作り方英語版)を更新した。

データ入手源について,e-Statと社人研をリンクし,Rのパッケージとしてfmsbとwpp2019を紹介し,世界の国勢調査からのサンプルデータとしてIPUMS Internationalを紹介したことと,地図上への人口ピラミッドのオーバーレイの例を多数追加したのが大きな変更点。

13988779 journal
日記

minato_nakazawaの日記: プノンペン5日間 2

日記 by minato_nakazawa

20日から今日24日までプノンペンに滞在した。
今回は空港で6 US$で21 GBまでデータ通信可能なSmartのSIMを買って使ったが,1 GBも使わなかったので,少し勿体なかったかもしれない。ホテルのWiFiも使い勝手が良かったので,そんなにSIMだけに依存しなかった。
バーガーキングで久々にグリルドチキンバーガーを買って晩飯を済ませ,ボーディング待ち中。

13961922 journal
日記

minato_nakazawaの日記: コンゴ民主共和国のエボラ・アウトブレイクにWHOがPHEICを宣言した

日記 by minato_nakazawa

厚生労働省のニュースリリースが出ているが,このところローカルな流行が続いていたコンゴ民主共和国(DRC)のエボラウイルス感染症に対し,WHOがPHEIC(国際的に重要な公衆衛生上の危機事象)を宣言した。2005年に国際保健規則(IHR)が改訂されてPHEICという仕組みができてから5件目。

DRCのエボラは紛争地帯で流行していたため医療活動が難しかったことや,住民が政府や国際機関を信用しておらず,文化的に重要とされている死者を手で埋葬する慣習が続いている結果としてアウトブレイクが継続してきたと言われているが,7月15日に人口200万の大都市であるGOMAの牧師が罹患したこと,隣国でも1人の新規患者が発生したことから,現在の流行地以外にも感染拡大する懸念がかなり高まったことがPHEIC宣言の鍵となったと思われる(BBC Newsが動画も含めて参考になる)。

WHOは封じ込めのためにリングワクチネーションを計画していたが,紛争地帯のためなかなかできないでいるうちに拡大してしまったというのが現状であるように思う。日本のメディアはあまり報道していないように思うが,PHEICが宣言されたのだからもっときちんと報道するべきと思う。

13902350 journal
教育

minato_nakazawaの日記: Predatory Journals対策 37

日記 by minato_nakazawa

メールチェックしたら,American Journal of Nursing Science (http://www.nursingscience.net)というところから,Nurse Education Todayに載った論文を読んでオファーするのだが我が誌で特別号のエディタやりませんか,というメールが入っていた。

こういうオファーは大抵,いわゆるpredator journalからのセールスなので無視するが,看護分野では,三重大学の谷村さんが書いている(本文pdfは,リンク先の「機関リポジトリ」からダウンロードできる)ように,INANEというホワイトリスト(ここに載っていれば信頼できる雑誌であるというリスト)が存在し,Aで始まるジャーナルの中にAmerican Journal of Nursing Scienceはなかったので,信頼できるとはいえないようだ。

Journal Citation Reports (JCR)に載っていてImpact Factor (IF)が付いているような雑誌ならまず安心だが,IFが付くかどうかは,有力な出版社から出ているかとか,米国図書館業界との付き合いがあるかといったことと関係があり,日本熱帯医学会の英文誌も長年努力を続けて,漸く候補に入れて貰えるようになった(まだIFは付いていない)くらいハードルが高いものなので,IFが付いていないとダメだという判断はできない。学問の分野によっては,トップジャーナルでもIFが付いていない場合もあるので,ホワイトリスト方式には限界がある。

日本では通称ハゲタカジャーナルと呼ばれたpredatory journalsとは,peer reviewedのまともな学術雑誌のような体裁をとりながらも,内容はほぼチェックされずに高額な掲載料を著者から得ることでビジネスモデルが成立している雑誌群のことで,ほぼそれだけを狙って作られたような出版社さえ存在する。とくにオンラインのみのOPEN ACCESSをうたうものに多い。米国の図書館学芸員というか司書というべきか,ともかくlibrarianなJeffrey Beallがそれらのビジネスの興隆を指摘しブラックリストを作って公開した(経緯は国立国会図書館のCurrent Awareness Portal記事参照)ことで世の中に知られるようになった。カウンターアクションがあったり,いろいろ揉めたりしたことが原因か,2017年にBeall自身が作っていたリストやコロラド大学のBeallのページは消滅したが,Beall's Listなど,後継的なプロジェクトは存在する。5月1日付けのTHE SCHOLARLY Kitchenの記事Cabell’s Predatory Journal Blacklist: An Updated Reviewに紹介されている,Cabellのブラックリストは,矛盾も含んでいたBeallのリストを置き換える目的で作られたものとのこと。

おそらく,ホワイトリストに見つけられなかった場合は,これらの複数のブラックリストをチェックして,怪しくないかを確認するというのが,現実的な対策だと思う。

13902298 journal
日記

minato_nakazawaの日記: 井戸書店での松宮宏『アンフォゲッタブル』発刊記念トーク&ジャズの夜参加レポ 1

日記 by minato_nakazawa

4月29日に偶々表記イベントの開催を知り,楽しみにしていた。歩いて行ける場所で,こんな素晴らしいイベントがあり,とくに予定が入っていない以上,行かないという選択はありえない。

18:50頃に井戸書店に着いたが,席は8割くらい埋まっていた。1000円払って,水かハイボールかビールから選べたのだが,まだ酔いたくなかったので水を貰った。

19:05頃満席となったところで『アンフォゲッタブル』(鐵人三國誌に書いたが,神戸を舞台にした美味しい話を書かせたらピカイチな著者だが、今回はジャズを軸に据えた胸が熱くなる展開に泣けた傑作であった)の著者である松宮宏さんが登場した。井戸書店の店主さん(たぶん)からの,床を木製にしたので棚を可動式にしてイベントスペースを作ったという説明に続いて,掛け合いのような形で,これまで松宮さんが書かれた神戸や姫路を舞台にした小説の着想や小ネタについての話が進んだ。発売直後に行われたトークライブに飛び入り出演した神戸市長って,なかなか粋な方なんだな。

『アンフォゲッタブル』の主人公が12歳でトランペットとともにひとりぼっちになってしまったときに支えになった曲がClifford Brownの「I remember」だったという一節の朗読(そごうで物産展を担当している市職員の方? が朗読された)に続き,Ruffのお二人が演奏された。

アコースティックギターの「けんちゃん」(とサックスの女性が何度も呼んでいた)とサックスの女性のデュオなのだが,本が吸音材になってもっとdeadな音場空間になるかと思ったが,想像以上に良い響きがしたのは,たぶん木の床だからだろう。いやもちろん楽器や演奏も良いのだと思うが。

その後も『アンフォゲッタブル』に出てきたネタの着想元や取材先から得た情報を少し話された後(たぶん『アンフォゲッタブル』の栞さんのモデルはRuffの女性サックス奏者だと話されていたような気がする。「けんちゃん」は唇がぶあつくなかったしトランペット奏者ではないから主人公のモデルではないはずだが),今度は「けんちゃん」がアンパンマンミュージアムの裏で主人公がトランペットを練習しているシーンを読んで思いついて作った,出来たてほやほやの曲として「ピース」がギターソロ曲として演奏された(曲の感じから言って,たぶんPeaceなのだと思うが,もしかしたらPieceかもしれない)。ギターの音がメチャクチャ良かったし,メロディも美しかったので,音源が欲しくなってしまった。

その後暫くして松宮さんの話は一段落して,ここからはRuffのライブです,ということで,ミニライブが行われた。Ruffのお二人は塩屋にお住まいで,スタンダードではなく,ライブではほぼオリジナル曲を演奏するという話だった。

1曲目の「After sunset」はサックスとギターが語り合うように夕暮れから夜に楽しくお喋りするといった感じの曲,2曲目の「Clap」はアップテンポで客席も手拍子して盛り上がる曲,3曲目は「Potato and beans」というお二人のイメージを投影したという曲で,これも仲睦まじい掛け合いを手拍子で盛り上げる曲で,どれも大変楽しかった。自然にアンコールがかかり,「Unforgettable」のショートバージョンに続いて,塩屋の家への帰り道で思いついて作ったという「家路」という,何となくオシャレで楽しげな曲でフィナーレとなった。

その後質問コーナーがあったのでAIの着想はどこから得たのか尋ねてみたところ,テレビ番組で石黒教授とアンドロイドを見て面白いと思って調べたのがきっかけだったというお答えだった。執筆場所とか神戸出身の某美人女優(『アンフォゲッタブル』の中でも微妙に仮名にされているので敢えて名前は書かない)についての質問があってトークショーはお開きとなった。何というか,Unforgettableなイベント(うまいこと言った)。

明日も午後2時から無料の落語会があって,2番手で店主さんも登場されるそうだが,時間的にこれは行けないかなあ。しかし歩いて行けるところに,こんなに面白い本屋さんがあるとは,新長田に引っ越して良かった。

ちなみにRuffを検索したらFacebookページがあって,今日のイベントについてのエントリがあったので,音源販売はしていないのか尋ねるコメントを書いてみた。ここによると1st albumは製作されているらしいのだが,購入方法がわからない。

13901214 journal
テレビ

minato_nakazawaの日記: インハンド第4回感想

日記 by minato_nakazawa

インハンド第4回はトキソプラズマによるネズミのparasite manipulationの話から始まったので,今回こそは寄生虫かと思ったら(初回の人物説明では天才寄生虫学者という話だったしT. cruziネタだったが,その後は何故かずっとウイルスネタなのだ),やはりウイルスだった。脳炎の影響が自殺にだけ向かうというのはちょっと無理っぽいが,現実と虚構の混ぜ方としては上手い部類だと思う。

ただ,次回予告で東南アジアでエボラウイルスで村が全滅という話が仄めかされたが,それは流石に無理じゃなかろうか。エボラウイルス病のアウトブレイクはアフリカでしか記録されていないはず。某小説のように,生物兵器のテストのために持ち込んだという設定にでもするのだろうか?

ついでに,これまでの感想もsradにもアップロードしておく。

(第1回)

22:00から視聴した「インハンド」は,寄生虫学者が主人公で,T. cruziを顕微鏡下にとらえてsexyと口走るのはそれらしくて良かったが(蚊を実体顕微鏡下で見つめて美しさにうっとりするという医動物学者はたくさんいるし,twitterでフォローしているいくつかの寄生虫学者のアカウントを見ていると,寄生虫の動画が割と頻繁にアップロードされるので,たぶんsexyとまではいかなくてもlovelyくらいには思っているだろう),塗るという用法でトクホはあり得ないんじゃないかなあ。「トクホ」は特定保健用食品の略だから,基準に照らしてみても,塗るという用法では認可されないと思う。なぜ食用設定にしなかったのかが謎だ。あと,国内のサシガメ類も飢えれば吸血するはずなので,もちろん自然の感染環は構成しないが,国内のは大丈夫と言い切ってしまってはまずかったのではないか。もっとも,井上栄先生の名前は出てこなかったが衛生仮説に触れられていたり,Chagas病の感染環がちゃんと説明されていたり(ただし,T. cruzi元々アメリカ大陸の野生動物を宿主としていたので,患者としての人が存在しなくても,ラテンアメリカのサシガメと動物がいれば感染環は成立し増殖させることができる,という説明がなかったのは残念だった。例えば中間宿主としての人を必要とする三日熱マラリアだったら,ハマダラカだけでは増やせない),専門家がちゃんと監修したのだろうと思われた(後で確認したら,慈恵医大の嘉糠先生が寄生虫監修としてクレジットされていた)。次回以降も見よう……ということで,毎週録画設定した。

(第2回)

寄生虫学者といいながら何故か今回のターゲットがウイルスなのに引っ掛かったし(普通は寄生虫学者といえば原虫や多細胞の寄生虫を対象に研究していて,ウイルス学や細菌学とは別の専門領域だと思う。もっとも,紐倉博士は天才という設定なので,感染症の病原体すべてに通暁しているのかもしれない),SFTSとSARSを混ぜたような特性をもつウイルス(Heartland Virusは本当に存在するウイルスだが,普通は入院して全身管理をすれば回復するらしく,SFTSほど致命割合は高くないらしい。SFTSと同じくマダニ科が媒介することが知られている。細かく言えば,現在のところキララマダニ属のLone Star Tickが媒介することは知られている。ライム病を媒介するマダニ属のシカダニとは属レベルで違うダニらしい。ダニについて詳しくは感染研が公開しているpdfが参考になる。ドラマの中ではそのHeartland Virusが接触感染するように変異し,しかもSARSのようにスーパースプレッダーが存在するという設定になっていた)による,致命割合が高い感染症のアウトブレイクが起こったらPHEIC案件になりそうで,厚労省や世間の対応がいろいろと現実に合ってないなどツッコミどころ満載だったが,患者の死の原因は病原体であって,その病原体の感染源となったスーパースプレッダーではないし,それどころか治療の可能性を示す希望なのだからスーパースプレッダーを憎んではいけない,というメッセージが明確だったのは良かった。

第3回は長野に帰っていたときに見たのでメモはとっていないが,妹の遺伝病(ウェルナー症候群,老人保健の講義資料の2.3で触れた)が契機でアンチエイジングビジネスに手を出した元研究者が,密輸した血液から血液製剤(これが秘密のアンチエイジング因子を含むという設定だった)を作っていて,あるときそれが新型クロイツフェルトヤコブ病(ドラマでは新型と言っていなかったが,おそらく狂牛病禍のときにプリオンが人に感染して発症するとされたnvCJDのことだろう)の病原体でコンタミされ,著名人や老化が怖くて自分にも打っていた開発者自身も感染して認知症様の症状を呈したという設定だったと記憶している。観月ありさが熱演していたが,寄生虫学者の案件にする必然性はないかなあ。

13901209 journal
日記

minato_nakazawaの日記: GoBe2関連の情報

日記 by minato_nakazawa

ラオス北部農村で食事調査が難しいため,院生がさまざまな方法論を試しているのだが,その1つとして試しているGoBe2について,情報のアップデートを探していたら,UCDavisで2018年秋に食事記録と同時にGoBe2を付けたという報告を見つけた。

対象者の人数が,2019年2月のニュースリリースでは27人となっているが,2019年4月25日のUCDavisのニュースリリースでは35人となっている。14日間(×2回?)とあるので,従来報告されていた5人×5日間より,かなりスケールアップしている。

3日間の移動平均に換算して「精度」87%というのが何の値を示しているのか不明だが,誤差が一定範囲内に収まった確率だとするなら,悪くはないと言えようか。

しかし早くニュースリリースでなく引用できる論文を出して欲しいと思う。

13901204 journal
ソフトウェア

minato_nakazawaの日記: 人口学関係のRパッケージの現在

日記 by minato_nakazawa

自分が開発しメンテしているfmsbパッケージも日本の人口データや人口学関係の関数を含んでいるし,pyramidという人口ピラミッドを描くためのパッケージもcranに載せているが,他の人口学関連のパッケージはどうなっているのか現状を確認してみた。

いつの間にかdemogRに新しいメンテナが見つかって復活していた。もっとも,Caswell (2001)とMorris and Doak (2002)に書かれている,行列モデルによる年齢構造人口解析の実装としては,popbioというパッケージがあり,そちらの方が多機能なように思われる(説明が本の章に対応しているし)。

もちろんRob Hyndmanが牽引しているdemographyパッケージは健在で,Lee-Carterモデルを含む人口予測関連の機能では,これが定番だと思う。

鐵人三國誌(2019年5月2日)より)

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UNIXはシンプルである。必要なのはそのシンプルさを理解する素質だけである -- Dennis Ritchie

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