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nqの日記: タンパク3000は無駄遣い?

日記 by nq

朝日新聞に載っていた中村桂子氏によるタンパク3000プロジェクトに対する批判論にびっくり。
ネットを検索して、丁寧な解説を加えているブログを発見。
  生命科学はまったく分野外だが、NMR何百台だか並べて蛋白質の構造解析をやるプロジェクトがあることは聞いていた。研究というよりも「事業」というべき物量作戦やって何が面白いのかと思ったけど、知的好奇心に動機付けられた純粋研究ではなく、製薬などをめざした事業なのだと理解していたが、その点で見るべきものがないとは。
 いろいろ手繰って、昨年に出たNatureの批判記事(Nature 443, 382; 2006)も読むと、国内外での学術的評価はボロクソ。500億円がもったいなかった。
 上掲の魔人ブウこと元木一朗氏の記事は内幕がすごくよく分る。現在の「科学技術」予算付けの仕組みをこれほど明確に丁寧に解説されたものは見たことない。新聞などジャーナリズムの怠慢。だけど、「中には東大先端研の中村祐輔さんのように、文科省では経産省の悪口を言い、経産省では文科省の悪口を言いながら双方から予算をゲットするような世渡り上手も存在する」なんて、あからさまに書いちゃっていいのか、他人事ながら心配。

80年代の生命科学の世界は多くの発明や発見が行われ、非常に刺激的だった。しかし、それが労働力やお金の大量投入大量消費の世界に変わってしまい、評価されるのは予算を取ってくる先生だけ、という状況になってしまい、僕にとってのアカデミックな生命科学の世界は途端に色あせてしまった。上の人間(もちろん全てではない。大学院のときの指導教官の西川一八さん(現岐阜大教授)などは完全な例外)が自分に求めているのがアイデアではなく労働力であるということがわかってしまったからである。

これはすごく深刻な指摘だと思う。中村桂子氏の論点の一つだが、このようなプロジェクト研究では科学の本質を深く考える科学者が育たない、ということを感じ取って、有能な人物が研究の場を離れたという実例なのだろう。

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UNIXはただ死んだだけでなく、本当にひどい臭いを放ち始めている -- あるソフトウェアエンジニア

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