コメント: N型フェリ磁性なら (スコア 1) 6
うち,Nature Commun.が読めないんで推測しか出来ないんですが,N型フェリ磁性体を使えばいけそうな気がします.
フェリ磁性体の多くはスピンの大きさの異なる二つのコンポーネントから出来ています.例えばS=5/2とS=1/2とか.で,これが例えば
↑5/2-↓1/2-↑5/2-↓1/2
のように配列することでトータルでの磁気モーメントが発生します.
N型のフェリ磁性体は,このスピンの副格子(5/2のスピンだけの部分集合や,1/2のスピンだけの部分集合)の秩序化速度(温度依存性)が二つの副格子で異なり,高温側で小さいスピン(上例で言えば1/2スピン)の副格子の方が早く秩序化します.このため,中程度の温度では,
(向きが揺らぐ)5/2-↓1/2-(向きが揺らぐ)5/2-↓1/2
というようになり,トータルでのスピンは下向きになります(磁化の向きが下).そしてさらに低温に行くと,
↑5/2-↓1/2-↑5/2-↓1/2
と全体の秩序化が進み,トータルでのモーメントは上向きになります.
このように,N型のフェリ磁性体では,温度を変えていくと途中で磁化の向きが反転します.
そんなわけで,例えばこれをうまく使って,以下のようにすれば出来るかも.
例1.上層に転移温度の低い強磁性体,下層にN型フェリ磁性体.上からレーザー加熱.
加熱により強磁性層が常磁性に.加熱温度を制御することで,下層の磁化の向きを上下に好きなようにコントロールできる.この状態で上層が外気で素早く冷却されると,その時の下層の(過渡的な)磁化の向きに習って上層の磁化方向が変わる.
例2. 下層に強磁性層(磁化の向き固定),上層にN型フェリ磁性体.加熱温度をうまくコントロールすることで,上層の保磁力を下げつつ,上層の磁化の向きを好きな方向に変えられる(N型フェリ磁性体の補償温度の上下で変える).その際の磁化が,下層の強磁性層の磁化の向き(不変)で固定される.その後一気に冷却が進み,その向きで固定される.