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F1:アメリカGPの顛末

日記 by skimsr

# URLメモを兼ねて。

インディアナポリスで行われた2005年度のF1アメリカGPでは,ミシュランの持ち込んだタイヤがオーバルの最終コーナ(ターン13)での高速走行に耐えられず,安全性を担保できないミシュランユーザ7チームはレースを実質ボイコットした。この経緯はOCNスポーツの記事に詳しい。

ミシュランはタイヤに関する調査結果を発表し,タイヤ自体に問題はなかったがインディアナポリスのターン13への適合が不十分だった,とコメント。その原因として,ターン13が他のコースにはない"特殊な"コーナであること・インディアナポリスでの事前テストが実施できなかったこと,を挙げている。また,自社の法的責任の有無に関わらず(ミシュランは『自社に法的責任はない』と主張している),アメリカGPの観客へのチケット代払い戻し・2006年アメリカGPのチケット無料提供を行う,と発表した。

この発表をFIAは歓迎したが,ミシュラン側が自社に責任は無いと主張している点,および,FIAとミシュラン間でやりとりされていた書簡(の一部)をミシュラン側がマスコミにリークした点について非難した。さらにFIAからミシュランに送付された書簡を公開した。書簡でFIAは,FIAの技術調査のためにミシュランタイヤによる過去2年の事故・トラブルの事例をFIAに報告するよう要請していた。

アメリカGPでのミシュランユーザ7チームの行動(レースの実質ボイコット)に関して,6/29にFIA World Motor Sport Councilによる査問会が開かれた。ミシュランユーザ7チームは,(1)レース可能なタイヤを手配できなかったこと(ただし情状酌量の余地はあり),(2)ターン13を走行する代わりにピットレーンを走行するという手段があったにも関わらずレースに参加しなかったこと,の2件で有罪とされた(FIAのプレスリリースその1その2F1 Official Webの記事)。

ペナルティに関しては9/14に決定される予定だが,FIA会長マックス・モズレーの見解では,チャンピオンシップに影響を与えるポイント剥奪や出走停止ではなく罰金になるだろう,とコメント。また,スペインGPでのレギュレーション違反で保護観察処分扱いだったBARについては,今回の件はまったく別件だとして,さらなる出走停止処分の可能性は否定された。

ミシュランユーザのうちRed Bullを除く6チームは,この判決を不服として控訴する方針を表明した(6チームによる共同プレスリリース)。彼らの主張は以下の通り:(1)タイヤに関しては,チームは(FIAが公認したメーカである)ミシュランに全面的に依存しており,チームに非はない。(2)ピットレーンを走行するという解決案はCouncil以外は誰からも(チームからもFIAからも)提案されなかった危険な解決案であり,そのような解決案をとらなかった事で有罪とされる理由は無い。

ちなみに,Councilに提出されたミシュランユーザ7チームのドライバによる共同声明では,ターン13で減速すればレースは可能だったこと・そのためにはレース当日にミシュランとフェラーリを除く9チームから提案された「ターン13の手前にシケインを設置する」案は完璧な解決案であったこと,が主張されている。(シケイン設置案についてFIAは,レースレギュレーションおよび安全性の面から『話にならない』案だとして却下している。)

なにはともあれ,ミシュランは次戦フランスGPでのタイヤの安全性を早々にアピールしているし,出走停止処分も下らなかったという事で,フランスGPではマトモなレースが観られそうだ。

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そんな暗い話はさておき,笑える話をば。アメリカ人の記者によるF1の印象:F1がアメリカでメジャーじゃない理由について。この記者は,アメリカでの初めてのF1を見に行ったときに,フェラーリのピットにエスプレッソマシンがあるのを見てアメリカにおけるF1の失敗を予見したらしい。「NASCARでカフェイン飲料といえばMountain Dewだぜ! お高くとまりやがって!」みたいな。あと,先日のアメリカGPの騒ぎは,モータースポーツの神様がアメリカにおけるF1の普及を諦めさせるために最後のとどめをさしたのだ,…みたいな事も言ってる(だいぶ意訳)。まあ,そうなのかもね。

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アレゲは一日にしてならず -- アレゲ見習い

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