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1490922 journal
日記

taggaの日記: [読書] 日本語と時間

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藤井 貞和. 2010. 『日本語と時間:〈時の文法〉をたどる』 岩波新書. 岩波書店. http://www.amazon.co.jp/dp/4004312841

比較的定着している語源説による、古語の「時制」の助動詞まわりの分析。 単純に四面体作るよりは、接続の制限を加えた方がいい気がするのと、 「らし」の r 音を「あり」由来と考えるのは、 接続ぐあいが奈良期までの日本語の音韻からすると疑問。 助動詞がもともと自立した動詞だったと考えるのは、当然の話。 けど、そうすると途中で補助動詞的な段階がある訳で、 現代の補助動詞でアスペクト補っているのと実は大差がないと 僕は考えた方がいいと思う。

p.144 からのアクセントの話に問題がある。 まず「自由アクセント」というのは、 心的辞書にアクセント位置が指定されていない、 東京や京都のようなアクセント体系を指すので、 「無アクセント」を指すのに使わないで欲しい。 同義の「一型」という用語がように、 アクセントの位置が弁別的でないので、 日本語学の「無アクセント」は「固定アクセント」である。

用語はさておき、 この辺は、歴史言語学の常識とは逆の考え方によっている。 まず、小集団は、確率の問題として変化しやすいので、 そこに古い体系があると思うのは変。 大集団とは違う変化をすので、大集団に残っていない古形があるだけである。 金田一語類が偶然できる確率は非常に低いので、 一型がもともととすると、 (1) 近畿方言がどうしてアクセントをもつようになったのかということ、 (2) 母語方言の干渉が強いため強い接触がないと借用されないアクセント が借用されたことの 2つを説明しないといけなくなる。 近畿の古形から分かれたと考えるのが歴史言語学としては自然。

あと、一般論で片付くものを、特定の言語のせいにするのは無駄。

1485126 journal
日記

taggaの日記: [映画] イエロー・ケーキ

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Tschirner, Joachim. 2010. Yellow Cake: Die Lüge von der sauberen Energie. Eine Langzeitdokumentation. Um Welt Film. http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id341199/

ウラン鉱石採掘による環境破壊のドキュメンタリー。 放射能の話にしようとしているけど、 一般的な重金属の採掘とちがうのは、 採掘するときのラドン・ガスで発癌率が上がるところぐらいかな、 と捻くれ者は思った。 むしろ重金属汚染の対策をつっついて欲しかった。

採掘の単価を下げられるように、 人口の少ないところで露天掘りして、 あとは放っておくというのが、採掘会社の考えだろうけど、 まあ、それは困る。 「埋め戻して元通り」なんていうのは工学を無視した発言だしね。

;; 環境対策を原価にちゃんと入れ込ませるようにする方が、 危険と煽るより原発減らするのに効くと思うんだが。

1477568 journal
日記

taggaの日記: 数式がない……

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ムロディナウ, レナード. 2009. 『たまたま: 日常に潜む「偶然」を科学する』 田中 三彦 訳. ダイヤモンド社. http://www.amazon.co.jp/dp/4478004528/

確率と統計の歴史と、心理学のヒューリスティックをくっつけて、 説明してある本。 数式なしで、よくここまで説明できるなあ、という点で感心。

といってもヒューリスティックで間違いが起るもので、 数学的には単純なやつだけをことばで中身を説明していて、 あとは歴史で流しているけど。

1476968 journal
日記

taggaの日記: ヒューリスティック

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心理学の heuristic は カタカナで〈ヒューリスティック〉と書くのが普通なんだろうか。 とりあえず http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%82%B9http://en.wikipedia.org/wiki/Heuristic。 『用語集』 だと〈発見法〉って出てくるけど、 これは最近の認知で使っているのとは違う気がする。

例えば「板チョコとチロルチョコで 110円払った。金額の差は 100円だった」 といわれると、 なぜか「板チョコ 100円、チロル 10円」の気がする。 こういうのが heuristic の例。

1469121 journal
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taggaの日記: [読書] 曲り角の日本語

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水谷 静夫. 2011. 『曲り角の日本語』 岩波新書、岩波書店。 http://www.amazon.co.jp/dp/400431304X/

「計量国語学」の水谷先生による、 日本語の規範と文法の変化についての解説本。 『岩波国語辞典』の編者として、 規範をどこまで認めるのかに関わってきた経験談、 それを踏まえた上で細かい用例検討による分析として面白い。 下の世代の研究者への苦言で、耳が痛いことは多い……。 けど、チョムスキー批判はちょっとずれている気がする。 「極大」と「最大」の区別なんて、翻訳の問題だし。

うーん。水谷先生、研究者としての文法解析に、 母語話者としての文法判断が引き摺られているんじゃないかな。 規範の背景に、一部の人たちの文法がある。 どの文法もそれなりに規則的なものであるはずで、 その規則を抜き出したつもりになると、 母語話者として判断が変になることがある。

たとえば、次の例 (p.161)。

こんなに豊富に漬け物売っている店は関東にはないでしょう。

水谷先生は「漬け物ある」と「漬け物を売る」が 混ったと考えている。 けど、この「が」の用法が、規範的であるかはともかく、 他動詞の「ている」形が「が」をとる例は多い。 ただし、文脈が必要で、目的語が新情報になっているときに限るようだ。

p.154 の流行語と新語の概念的なグラフは、あんまり賛成できない。 流行らなくても広まるパターンはあるし、 定着ということだとS 字カーヴを考える方が今の多数説。

学校で教えている、橋本文法系の「国文法」が役に立っていないというのは、 同感なんだけど、 いきなり時枝文法を教えるのも大変だし。 水谷先生のは、生徒がいやがるかも。 格と用言の関係、情報の流れの両方をきちんとできてて、 普通の人が使える文法をだれか書いてくれないものかな。

それに関係して、「二重主語」批判のところは、話の流れがちょいと。 他の「二重○○」の例 (たとえば何を気を付ける」)は、 格と用言の関係による。 けど、いわゆる「二重主語」は情報の流れに関係している。

;; 『岩国』は、語義の整理がうまいと思う。 それに、規範意識も中庸をたもっていていい感じだ。 けど、僕は音屋なので、『新明解』派。 だって、アクセントを書いてくれてるから。

1461418 journal
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taggaの日記: [読書] 文法ってのは厄介だぜ

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Houdart, Olivier & Pioul, Sylvie. 2009. La grammaire, c'est pas de la tarte. Le goût des mots. Points. Éditions du Seuil. http://www.amazon.fr/dp/275782208X/

実務家による、フランス文法というよりフランス語の規範の歴史性と可塑性を、 細かい検討と人々の反応で説明した本。 扱っているのは、名詞の女性化、複数形、過去分詞の一致などの狭い範囲。 著者たちは、高級紙/誌で校正をしている。

こういう細かい話は好きだ。 歴史の説明を除くと、本当に細かい話ばかり。 発音に違いがないのに、書き分けないといけない話が多い。 原則だけでは決着がつかず、関連する語を検討しないといけない話も、結構ある。

この本で素晴しいのは、規範が絶対的でないことを、 具体的な例から説明していくことだ。 細部をあつかう具体例。 そういう細部を気にしながら普通の人が規範を守れていないという現実。 そのくせ規範からの逸脱や新しい規範の提案を〈フランス語に対する罪〉であるかの ように批判する人たちもいること。 こういうことを使って、 規範が変化していくのを理解させようとしていることや、 場合によっては変化させていかなければならないことも説明している。

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taggaの日記: メガネ酔い

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もともと遠視の右目の度が進んだので、読書用に眼鏡を新調。 いわゆる老眼鏡である。 用例あさりに頭からシッポまで読むことが多いけど、 これでしばらくは細かめの文字の辞書でも大丈夫。

1つの資料を読んでる最中はいいのだけど、 複数の資料を広げているときに、頭部全体を動かすのをうっかり忘れるので、 空間がグニュと歪む。 なんか G がかかった気分になる。なかなか慣れない。

1427662 journal
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taggaの日記: 長期持続

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昭和7年に高等女学校用として検定を受けた英語の初級教科書。 勤務先の前身が編纂しているからネタに買ったもの。 なので、書名などは秘密。

 Lesson I (one)

 This is a pen.

うむ。お約束である。

発音は、当時として当然のようにイギリス式。 戦後、アメリカ式に切り替えたのだけど、 今でも、日本語の干渉がはいったイギリス式もどきな発音は、よく聞く。 いやまあ、アメリカっぽくする必要性はないのだけど。 日本以外だと、英語の教材はイギリス式のものが多いし。

1420760 journal
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taggaの日記: 昭和初期の検定教科書 3

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週末、古本市に昭和初めの教科書や副読本が出品されていたので、 少し買った。うち 1冊:

広島高等師範学校附属中学校 数学研究会. 1932. 『女子教育新制算術』訂正再版。東京: 修文館。 [文部省検定済 昭和7年12月8日 師範学校並高等女学校数学科用]

「函数概念」とグラフのところに興味があるので買ったのであるが、まあ、 お約束なので、乗法のところ (p.34):

同じ数の和を簡便に求めるために行ふ算法を 掛算又は乗法といひ, 掛けて得た数をといふ.

被乗数×乗数 =

[漢字を略体に、カタカナをひらがなに変更。強調ママ]

買わなかったけど、同時代の中等教育のものは同趣旨の記述になっていた。 ちなみに翻訳素材を排した、小学校の算術教科書「緑表紙」が出るのは、 1935 (昭和10)年である。

「緒言」に「小学校に於ける算術科を尊重し, 之と聯絡を保ち」(p.2) と あるが、当時の小学校の教科書の説明とはまだ違うはずである。 ただし、「学校数学の社会化, 函数概念の養成, 空間概念の涵養等の 問題は多年我が数学研究会の主張し且実施し来つた所であるが, 今や中学校, 師範学校の要目は此の精神に拠つて改正され」 (p.1、強調 tagga) とあり、教員養成においては、 この教科書のような実践がすでに行なわれていたようである。

;; この後で、翻訳素材が小学校から排除されていく。 戦後直後にデューイ的な生活単元が押し付けられ、 系統学習をとりもどす、呉越同舟の戦いがあった。 そして、某問題がメディアに出て、 それに戦うために数教協が「量の理論」を開発したというのが、 僕の知っている歴史。

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犯人はmoriwaka -- Anonymous Coward

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