iidaの日記: nginx 1.3.0
nginx 1.3.0がリリースされていた(2012-05-15)。
nginx 1.3.0がリリースされていた(2012-05-15)。
"Virus-based piezoelectric energy generation"
B.Y. Lee, et al., Nature Nanotech., in press (2012).
今まで無駄に捨てられていた微小なエネルギーを何とか回収して有効に活用しよう,というエネルギーハーベスティングの研究が盛んである.例えばわずかな温度差から発電する熱電素子,振動をエネルギーに変える圧電素子,流体の流れを電力に変える素子(手法は機械的な物,化学的な物など何通りかある)といった物が挙げられる.これらから得られる電力は当然微弱な物であるが,近年の半導体技術の進歩により非常に低消費電力のプロセッサ(例えばピコワットレベルの消費電力を実現したPhoenixなど)が開発されており,これらと組み合わせることで常時環境中や体内でモニタリングを行うセンサーチップなどが実現出来るわけだ.
今回の研究はこうしたエネルギーハーベスティングの中でも,圧電素子を扱った物だ.圧電素子とは力学的な変形を与えると電位差を生じる(逆に,電圧をかけると力学的な変形が生じる)物質であり,例えば水晶振動子であるとか,STMの駆動部分のピエゾ(かけた電圧に比例して伸び縮みし針先を動かす)が該当する.こういった圧電素子に電極を付け何らかの力,例えば音であるとか外部からの衝撃を加えると,その一部が電流として取り出せることとなる.
さて,こういった圧電素子であるが,製造はなかなか面倒であったりする.セラミック系の材料が多いため薄膜化にそれなりの設備が必要で手間がかかるとか,組成がなかなか均一に出来ないため材料特性のコントロールが難しかったりするわけだ.それに対する一つの回答として著者らが示したのが,量産が可能で特性のコントロールも比較的しやすい,ウィルスベースの圧電素子である.
彼らが用いたのは,M13と呼ばれるファージの一種だ.ファージは細菌に感染するウィルスであるが,このM13は幅6.6nm,長さ880nmという非常に細長い筒状をしている.筒の内部にはRNAが入っているわけだが,今回利用するのはこの殻の部分の特性だ(RNAも入ったまま使うが,特に意味はない).この筒,さらに細かく見ると棒状のタンパク質が螺旋状に積み重なったものである.棒状のタンパク質が,傘の骨のように中心から外へと斜めに突き出し,この棒が生える位置を少しずつずらしながらぐるぐると螺旋状に積み重なっている.
さてこの棒状のタンパク質,構成しているアミノ酸の配列に由来し,中心を向いた側が正に,外側が負に帯電している.この棒が寄り集まって出来た筒を横からぐっと押しつぶすと棒状のタンパク質の配置が歪み,すると正電荷と負電荷の位置関係が変化するため電位差が生じる.これを圧電素子として利用しようというのだ.
著者らは金基板上にファージの単層膜や多層膜を作成,その特性を評価した.なおこのファージ,非常に長い棒状をしていることもあり,自己組織的に非常にきれいな単層膜が作れるようだ.その結果,圧電素子としての特性はおよそ7.8 pm/V(d33方向),これはまあ代表的な圧電素子であるニオブ酸リチウムを著者らが同じセッティングで測った値の半分程度となる.この値自体は別に特筆するような物ではなく,この数十倍だの100倍だのと言った圧電材料が存在している.
この材料の第一のポイントは,なんと言ってもその量産性の高さである.何せウィルスであるから,大腸菌なりなんなりに感染させて増殖させればいくらでも材料が取り出せる.それらを集めて膜状に固めれば圧電素子のできあがりだ.
もう一つのポイントは,遺伝子操作により特性を変えられる,という点である.M13ファージの殻を作っているタンパクの部分をちょっといじり,末端の負電荷の量を増やすことが出来る.そうすると力学的な変形によって生じる電荷の偏りも増加するため,発生する電力が増加する(これは実際に実験で確認している).
微妙な特性(圧電特性や,成膜などのやりやすさ)やらなんやらを遺伝子操作で調整しつつ,望む特性が決まったら培養でどんどん量産する事によって低コストなマイクロ発電素子を量産出来るようになるわけで,面白い研究だ.
なお,原理を示したムービーおよび実際に発電素子を作って発電している様子のムービーがSupplementary Informationとして公開されているので,興味のある方はどうぞ.
OpenSSLのTLSとDTLS (データグラムTLS) でのCBCモードの暗号法の実装に、クライアント/サーバー両側でDoSの可能な脆弱性が発覚し、セキュリティー・アドバイザリーが発行され、1.0.1c、1.0.0j、0.9.8xの各版が、いっせいにリリースされた。
DTLSの欠陥は、3系列全部だが、TLSの欠陥は、1.0.1系のみ。
- - - - -
(PS セキュリティホールmemo)
"Comparing the yields of organic and conventional agriculture"
V. Seufert, N. Ramankutty and J.A. Foley, Nature, 485, 229-232 (2012).
現在広く行われている農法(慣行農法)は,農薬と除草剤の散布により収量低下を回避し,肥料(主に窒素とリン)を与える事で収量の増加を図っている.これは実に良くできた手法であって,現在の食糧生産性は過去に比べると劇的に改善している.
さて,このように優れた慣行農法であるが,問題も無いわけではない.一つは農薬類・除草剤・肥料の大量投入による周辺環境への悪影響である.例えば先進国や農業国における土壌および水系ののリン・窒素汚染はかなり酷い状況になっており,富栄養化を発端とする赤潮・青潮,河川および海水域での生態系の激変などはかなり問題のあるレベルとなっている.もう一つの問題は特にリン資源枯渇の問題であり,下水等からの十分なリン回収・再利用システムを構築しない限り30-50年程度で経済的採掘可能量は限界を迎え,またそのようなシステムが構築されても100年単位で考えるとやはり予断を許さない.これは現在のようなリン系肥料をバラ撒いての収量増加が1世紀以内程度に限界を迎える可能性を示唆しており,何らかの代替手段の開発が求められているわけである.
こういった慣行農法の限界が指摘されると,決まって出てくるのが有機農法である.農薬,除草剤,肥料不使用で伝統的な農法をベースとした持続可能な優れた農法,という観点で取り上げられることが多い.まあ確かに,そこにあるものだけを使って農業を行っているのだから持続可能性はあるのだが,だからといってこれが自然環境に良いとは限らない.何せ,今や人類は70億人もの人間(50年後には90億もの人間)を養わなくてはならないのである.そして,有機農法は収量が少ないのではないか?という点が繰り返し指摘され続けている.単位面積あたりの収量が少なければ,同じ量収穫するためには農地を拡大しなくてはならない.そして当たり前の話であるが,農地の拡大は周辺自然環境の破壊を意味する.何せ農地というのは生物学的多様性の無さ,保水率の低さなど,自然環境としてみた場合には非常に低級な存在なのだ.そんなわけで,慣行農法を有機農法に変えることで,かえって自然環境を破壊する可能性すらあるわけだ.
こういった議論は今後非常に重要性を増していくことは明らかだが,その一方で,議論の基礎となるべき「慣行農法と有機農法ではどの程度収量が違うのか?」という点に関してはあまり系統的な研究が行われていなかった.特定地域などでの比較研究はそれなりに数があるようだが,それらを統一し,全体的な傾向としてはどうなのか?という研究が必要だ.
そこで今回著者らは,既存の研究例をまとめ上げて解析を行う(=メタアナリシス)ことで,有機農法の実力に迫っている.
まず著者らは,メタアナリシスにおいて利用するデータ(文献)を選択している.その選択基準とは,
・有機農法としては,純有機農法を用いたものに限定する.慣行農法との複合では効果が分離しにくくなるため.
・慣行農法と有機農法で,期間,面積などをきちんと揃えて比較された文献のみを対象とする.
・サンプルサイズとエラーがきっちり記された文献を使用する.
・慣行農法としては,十分な肥料が与えられているものを対象とする
まあ単純に言ってしまえば,「ちゃんと条件を揃えて,きちんとした比較研究になってるものだけが対象」という事だ.
では,メタアナリシスから判明した事実と説明を列挙していこう.
・有機農法は,平均して慣行農法の75%の収量しかなかった.
予想通り,基本的に有機農法は収量がかなり低い.まあ,当たり前と言えば当たり前であるが,それでも25%も減るというのはかなり問題である.
・ただし果樹などの多年性植物,豆科を中心とする油種作物の収量は慣行・有機農法でほぼ同等
これの原因としては,主に窒素ではないか?と推測している.豆科植物での根粒菌の影響や,多年性植物での張り巡らされた根による広い範囲からの窒素吸収が,肥料が無くても同程度の収量を確保出来た理由と思われる.
・主要穀物は75%程度
・野菜はさらに悪い(66%程度)
このあたりがだいぶ痛いところだ.日々の主食がかなり影響を受ける.
・弱酸性から弱塩基性土壌では有機農法は比較的良い(慣行農法からの収量の低下がやや低めになる)が,酸性 土壌や塩基性土壌ではがくんと落ち込む.
これは,リン欠乏が原因であるのでは?と指摘されている.酸性や塩基性下ではリンは水分中に十分溶け出してこないことから,リン欠乏による成長抑制が起きていると思われる.
・非常にうまく管理された有機農法では,比較的収量の落ち込みが低い
・有機農法を始めると,最初の年は劇的に収量が下がり,数年かけて緩やかに上昇していく
これらは,有機農法である程度の収量を確保するには十分な経験(その土地の条件にあった管理法の確立)が重要であることを意味している.慣行農法のような,肥料と農薬を撒いておけば誰でもとりあえずそれなりの量が取れる,という楽さとは無縁である.また,数年しないと収量が増えない点に関しては,土壌中の生態系の発達の影響も考えられる(有機農法による土壌の肥沃化).
・灌漑地では有機農法での収量の落ち込みが大きい(-35%).一方,天水栽培ではそこまで酷くはない(-17%)
これは,水と栄養という二つの律速要因があることが大きい.灌漑地では水は十分にあるので,栄養さえあれば収量は劇的に増加する(逆に有機農法では,水は十分にあるが栄養が少ないのでそこまで伸びない).天水栽培では,栄養があろうが無かろうが水がかなり律速条件になるので,有機農法での落ち込みが小さくなっていると考えられる.
・発展途上国での有機農法による落ち込みは-43%と非常に大きい(先進国では-20%)
これに関しては,今回のメタアナリシスで利用する文献をかなり絞り込んだことの影響かも知れないと述べられている.十分しっかりした研究を選んだために,発展途上国での比較対象の慣行農法がその地域の平均値を大きく上回る,近代化された農場やら研究機関の小規模農場やらという論文の比率が高くなってしまったのだ.つまり,メタアナリシスに利用するデータが不十分だったことによるアーティファクトな可能性が高い.著者らは,発展途上国における慣行農法と有機農法の比較に関してはデータが少ないので,今後もっとしっかりそのあたりの研究をしてみたい,とは述べている.
まとめると,「天水栽培で豆科植物を育て,しかも栽培者は熟練の有機農法家,土壌は弱塩基性から弱酸性の範囲」というようなもっとも恵まれた条件なら慣行農法から5%減程度のほぼ同等な収量が確保出来るが,一般的な条件でも有機農法は10%前後,条件次第では30%以上の収量低下は覚悟しないといけない,という結論になる.
まあ多くの人がうすうすわかっていたことではあるが,それでもしっかりと数値として出てきた意味は大きい.
日曜深夜、月曜の午前0:40にNHKテレビで「頭のしびれるテレビ」という深夜番組があり、 次週はRSA暗号がテーマらしい。
ま、30分のバラエティー番組なので、高が知れてはいるだろうが、しかしまあ、「誰が観るンだ、こんな時間帯」とツッコミたくなるなあ。
OpenSSHの6.0版がリリースされていた。
セキュリティ修正はなさそうだが、変更点には、「多数のメモリとファイルディスクリプタのリークを修正した.」とあるので、急ぎではないにしろ、アップグレードしたほうがよかろう。
- - - - -
(PS: セキュリティホールmemo)
"Speckle-free laser imaging using random laser illumination"
B. Redding, M.A. Choma and H. Cao, Nature Photon., in press (2012).
レーザーというのは優れた光源である.励起エネルギーのかなりの割合を特定波長に落とし込んで発振するため(その波長に限ると)非常に輝度が高い,発振波長を非常に狭くできるため周波数領域での測定精度が高い,空間的・時間的なコヒーレンスが高い(干渉性が高い)ことから干渉を利用した超精密測定に使える,空間的に非常に狭い領域に集光できる,など多くの特徴を持っており,様々な分野で活用されている.
さて,「輝度が高い光」と考えると光学顕微鏡の照明としても有用だと考えられる.倍率の高い光学顕微鏡は,非常に狭い領域からの反射光を拡大するため視野が暗くなることから,明るい照明が必要となるためだ.なお,ここで言う顕微鏡というのはレーザー顕微鏡(1点にレーザーを集光しながら反射や透過をモニタし,集光位置をスキャンする事で全体像を得る)ではなく,通常の顕微鏡である.
しかし光学顕微鏡の照明としてレーザーを使う際には,非常に大きな問題が存在する.それがスペックルと呼ばれる散乱波の干渉による効果である.
表面が荒い観察対象に,照明としてレーザーを照射することを考えよう.表面に当たったレーザーはでこぼこの表面の各所で散乱されるが,いくつかの点から反射された光は限られた方向で強め合うような干渉を起こす.このため光学顕微鏡の光源としてレーザーを使ってしまうと,たまたま観察者の方向に強めあう干渉が起こる部分だけが点状に明るくなり,表面の凹凸などによる対象物の明暗とは別にスペックルによる輝点が強いノイズとしてのってきてしまうのだ.このためレーザー光源はそのままでは光学顕微鏡の照明には向かず(*),どうしても明るいレーザーを照明として使いたい場合にはスペックルを抑制する特別なフィルターを間に入れるなどの工夫が必要となる.このフィルターはフィルター内部の各所で入射光の位相をバラバラにずらし,干渉性を落とすというものなのだが,やはり余計なものが入るため輝度等が犠牲になってしまう.
*ただし,スペックルパターンはいわば表面からの回折像なので,ここから逆算して表面構造を観測する手段に利用しよう,という測定法も存在する.
今回の論文は,こういった光学顕微鏡の照明として使う際のレーザーの欠点を,ランダムレーザーと呼ばれるものを用いることで回避し,明るいまま照明として使えることを実証する論文となる.
ランダムレーザーとは何かを簡単に説明しよう.通常のレーザーは,共振器(例えば両端に鏡を蒸着したルビーロッド)を用い,発振波長の定在波を発生させ誘導放出を起こさせる.これは強い発振が得られるのだが,共振器全体がひとつのモードで発振するため,非常に高い干渉性を持つ光が発生する(多くの用途で有用だが,スペックルが出る).ランダムレーザーは,例えば特定波長を発する色素の溶液中に,透明なビーズなどを多数混ぜ込んだランダム構造が発振する.この内部で発生した光は,ビーズなどにより乱反射されながら媒質中を進んで誘導放出を引き起こしていく.通常のレーザーと異なり,レーザーが強まっていく経路は雑多に多数存在し,ぐねぐねと複雑かつ多数の経路を通って増幅された光は端面から多数の光線として放出される.辿る経路により経路長が違うために,端面から出るときの位相はバラバラな様々な光の足しあわせとなり,空間的な干渉性は低い.言ってしまえば,ものすごく多数のレーザーがバラバラに配置されていて,全部がてんでバラバラに光を出しているようなものだ.こういった特徴のため,ランダムレーザーは電球のように広い方向に光を出し,しかも干渉性が低いためスペックルがでない.
ではこれを光学顕微鏡の照明に使ったらどうだったのか?と言うと,現在の著者らのセッティングでもすでにLED光源に匹敵するような輝度が実現しつつ,さらにレーザーに特有なスペックルは生じていなかった.著者らの主張によれば,この実験で使ったランダムレーザーより単位時間あたりの発振回数が何桁か高いランダムレーザーも以前に報告しているらしく,それを使えばLEDなどの現状の光源よりもかなり優れたものが出来る,とのことである.
ランダムレーザーといえどレーザーではあるので,波長の安定性や,発振波長の幅の狭さ(特定波長のみが非常に強く出る)はレーザーとしての特徴を残している.これを照明に使えば,蛍光分子を利用した高感度な観察などでかなり有効であるとも思える.
ただ,レーザーって意外にメンテナンスが面倒(&金がかかる)ので,光学顕微鏡の照明として使うにしてもやや手間はかかりそうだ.
"Evidence of non-random mutation rates suggests an evolutionary risk management strategy"
I. Martincorena, A.S.N. Seshasayee, N.M. Luscombe, Nature, 485, 95-98 (2012).
遺伝子は外的要因(放射線やら各種化学物質やら)や内的要因(転写時のミス等)によりしばしば変異を起こし,これが進化の原動力となっていると考えられている.この変異が起こる確率はほぼ一定であり,その後の選択(生存に有利かどうか,そもそも生きていけるのか)による影響を考えなければランダムに起こっていると考えられる……というのが古典的な進化の考え方となる.余談ではあるが,こういった考えを(拡張して)使っているのが分子時計などによる進化系統樹や主の分岐時期の推定などになる.
さてその一方で,「実はそもそもの遺伝子の変異率自体,遺伝子の部位ごとに違うのではないか?」という考え方も根強い.例えば効率を考えると,生存に必至な遺伝子の変異率を下げ,どうでも良い部位の変異率を上げることで新たな機能の獲得を目指す方が,その逆のパターンより優れているのはすぐわかるだろう(生存に必要な部位が変化するとたいてい死ぬ).逆に,よく使われる遺伝子=頻繁に二重螺旋がほどかれてRNAへの転写が行われる部位の変異率が高い可能性もある(ほどけている場合の方が弱い).また,重要な部分ほど修復酵素が頑張って異常を修復するメカニズムがあるのでは,という考え方もそれなりに説得力がある.
このように,「部位により変異率に差がある」という考え方は説得力はあるのだが,変異率の差のはっきりとした実験的証拠はこれまでに得られていなかった.今回の論文は,非常に多くの塩基配列を調べ統計的に処理したら,そういう差が思った以上に顕著に検出された,というものだ.
実験としては,12万以上の大腸菌の遺伝的多形を調べ,それぞれの遺伝的な分岐を順序づけし,分岐した際に生じる遺伝的特性(それ以後の系統が全て共有する)と変異による個体差を頑張って統計処理だかなんだかで分離,中立的な突然変異(機能に影響を与えない突然変異.生存の有利不利には関係しないと考えられる部分)を抜き出し,遺伝子の部位ごとに中立的な変異がどの程度の頻度で起こっているかを算出している.
#正直細かいところまでは読み切れなかったので,気になる人はSupplimentary Infoを読んでください.
さて,その結果である.
まず重要なことは,中立的変異の発生率が,遺伝子の部位によって1桁以上違う,という事が明らかとなった.そもそもの遺伝子の変異の発生率は部位ごとにそれほど大きくは変わらないだろうから,これは何らかの修復機構が部位選択的に働いている(=ある部位は集中的に直す)事を示唆している.
また,同じ因子により発現する一群のブロック(=オペロン)内の遺伝子群は似通った変異率を持っている事も明らかとなった.つまり,「ある機能を担う部分」という単位で,変異率が高かったり低かったりするわけだ.そして予想通り,生存に必須な部位ほど基本的には変異率が低く,その逆に代謝の低レベル部分を担う部位(同じような働きをするブロックが複数あり,一個が壊れてもそれなりにやっていける)では変異率が高い.また,強く正の選択が働く事が知られている部位(優れた遺伝子が出来ると,種の中でどんどん広まっていく様な部位)の変異率も低い.
大雑把に言って,
・よく使われる重要な部位の変異率は低い
・代替部位のあるもの,どうでも良い部分の変異率は高い
という感じか.
重要な部位では変異が非常に厳密に検出・修復されており,中立的な変異(結果に影響を与えない変異)であっても迅速に修復もしくは排除が行われている事がわかる.
さて,このような変異率の差の起源であるが,現時点では全くわかっていないようだ.
これまでに提案されているいくつかの代表的なメカニズムでも似たような傾向は出せるのだが,定量的には圧倒的に効果が足りないらしい.
(今回の研究では1桁以上の変異率の差が出ているが,知られているメカニズムではそこまでの差は出ない)
著者らは,例えばDNA結合タンパク質(DNAにくっつき,その発現などを調節する)などが特定の部位にくっつき,その部位のチェックや修復が頻繁に行われるように調節しているのではないか?などとも述べているが,実際にどうなっているのかは今後の研究待ち.
近年の遺伝子読み取り技術の進歩,コンピュータによる大規模な統計処理の簡略化などにより,遺伝子周りでは非常に様々な現象が見つかってきている.これまでにもいくつかの論文を取り上げたが,昔の素朴な「ハードエンコードされたDNAがあって,それが読み出されて動く」というようなスタティックな描像は次々と覆され,「DNAが生み出したタンパクそのものが,DNAそのものの発現や構造,もしかしたらさらに加えてDNA自身の進化までコントロールする」というような非常にダイナミックな系である,という見方が出てきており,この分野は見ていて非常に面白い.
OpenSSL 1.0.1bがリリースされた (2012-04-26)。互換性の問題 (とリンク・エラー) が解消されただけで、セキュリティー修正は、ない。
- - - - -
(PS: 上のOpenSSLのページでは、``Compilation''とあるのだが、実際のところ、ソース (1.0.1aのe_rc4_hmac_md5.c) のコンパイルはでき、オブジェクト (e_rc4_hmac_md5.o) を含むリンクが (外部変数のOPENSSL_ia32cap_Pが未定義となるので) できない、ということ。 非x68で実際にmakeすれば、すぐにわかるはず。)
- - - - -
(PS: セキュリティホールmemo)
某国研助教から東京にある微妙なレベルの某私大准教授へクラスチェンジ.
……クラスチェンジではあるのだが,レベルアップかというと微妙なところ.
・給料:少しレベルアップ(2割ぐらい?)
・任期:微妙にレベルアップ(1年ごと事実上無制限回数延長可の任期付き → 任期無し)
・学生:数が大幅にレベルアップ(プラスかマイナスかは難しいところだが,まあ学生の相手は面白いし良し)
・デューティー:大幅にレベルダウン(私大は忙しいものね)
・大学からの交付金:レベルダウン(まあ国研時代に2百万近くもらえていたのが例外なのでしょうがない)
・職場にある大型装置:かなりレベルダウン(でも東京なんで近所のつてを頼ればまあ何とかなる)
・読める論文誌数:大幅にレベルダウン
最後のが地味に痛いんですよね.
まあ,最近の出版社はpay per viewがだいぶ充実していて自腹でちょいちょいと買えるので致命的ではないのですが.
なんにせよ今後1年ぐらいは結構忙しそうです.
犯人は巨人ファンでA型で眼鏡をかけている -- あるハッカー