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2248046 journal
数学

taro-nishinoの日記: 書評 グロタンディークとセールの文通書簡

日記 by taro-nishino

函数論に偏角の原理と称するものがあることは少しでも勉強をした人なら御存知でしょう。最近、何故偏角の原理と呼ぶのか、或る人に聞かれました。その人は工学系出身者で必ずしも数学のど素人ではなく、複素解析なども等角写像論を中心として応用側の立場で学生時代に習っているはずなんですが、どういうわけか基礎が足りないと感じて最近一から勉強し直しているそうです。ですから、私は「実質増分量は偏角の増分量を2πで割ったもの、すなわち値域での原点の周りの回転数に相当するから」と説明したのですが、怪訝な顔をされてなかなか話が噛み合いませんでした。余りにも話が噛み合わなかったので、その人が持っているテキストを見せてもらったところ、以下の(A)を"偏角の原理"と呼んでいました(勿論、テキストそのままの文ではありません。書かれていた内容を私の文章で再現したものです)。

1851965 journal
数学

taro-nishinoの日記: ブルバキと代数トポロジー

日記 by taro-nishino

先日、知人からブルバキ数学原論旧版の和訳への復刻リクエストが多いことを聞いて、正直言いまして意外な感じを受けました。つまり、言葉が悪いですが馬鹿じゃなかろうかと思いました。1970年代にブルバキと元出版社との間に長い法廷闘争があったことを皆さんも御存知でしょう。そして、ブルバキ側が勝ち、元出版社はブルバキとは何の関係も無くなり、販売権、翻訳権、その他もろもろの権利もありません。そういう状況で旧版和訳を再刊行すればどうなるか、想像も難しくありません。旧版の和訳は当然元出版社からの翻訳認可があったか

1238726 journal
数学

taro-nishinoの日記: ニコラ・ブルバキ、数学者集団―クロード・シュヴァレーのインタビュー

日記 by taro-nishino

ブルバキが最もブルバキらしかったのは創設期の頃だと私は思います。何をブルバキらしいと思うのかは個人差がありますが、数学的なことを別にして、既製に対する反抗、もっと言えば反逆者だったことがブルバキの特徴だったのではないでしょうか。よく哲学や人文系の人達は構造主義を特徴に挙げる人が多いですが、数学出身の私はそうは考えていません。ブルバキの出現前に、既にファン・デル・ヴェルデンの"Moderne Algebra"があって、構造概念の青写真が出来ていたと言っても過言じゃないからです。それを深化させ、さらに位相や解析方

797459 journal
数学

taro-nishinoの日記: 虚空―あたかも虚空から呼出されたかのように: アレクサンドル・グロタンディークの人生 前篇その2

日記 by taro-nishino

その1からの続き
虚空―あたかも虚空から呼出されたかのように: アレクサンドル・グロタンディークの人生 前篇その2
2004年10月 Allyn Jackson

新しい幾何学の誕生

30年間を振り返ると、1958年が2つの主要なツールの後に新しい幾何学のビジョンが実際に生まれた年であると今言える。2つの主要なツールとは、スキーム("代数多様体"の古い概念のメタ準同型を表現するもの)とトポス(空間の概念のメタ準同型を更に深大に表現するもの)だ。

収穫と種子、ページ23

797455 journal
数学

taro-nishinoの日記: 虚空―あたかも虚空から呼出されたかのように: アレクサンドル・グロタンディークの人生 前篇その1

日記 by taro-nishino

親族の数学に多少の興味を持っている高校生からグロタンディーク氏(本来なら博士とお呼びすべきなのでしょうが、皆さんもご存知の通り氏は世間と没交渉ですし、博士と呼ばれるのは最も氏の忌嫌うことだと容易に想像されますので、氏のままにします)のまとまった伝記本が無いのかと聞かれ、ちょっと困ったなあと思いました。本がある無しで弱ったのではなく、グロタンディーク氏の人生を知ってショックを受けるかも知れぬと危惧したからです。勿論私くらいの年齢の大人になれば、天才は天才であって、凡才は凡才に過ぎぬと居直って平気

788850 journal
数学

taro-nishinoの日記: ブルバキに関する2冊の本のAtiyah卿による書評

日記 by taro-nishino

数学者Michael Atiyah卿のことは今更くどくど申し上げるまでもないでしょう。その数学的業績を讃えられ英国王室からナイトの称号を授けられました。今日紹介するのは、ブルバキに関する2冊の本のAtiyah卿による書評(PDF)です。この書評は2007年に発表されたのですが、その2冊とはMaurice Mashaal氏の"Bourbaki, A Secret Society of Mathematicians"とAmir D. Aczel氏の"The Artist and the Mathematician: The Story of Nicolas Bourbaki, the Genius Mathematicia

787254 journal
数学

taro-nishinoの日記: ブルバキの沈黙は続く―Pierre Cartierへのインタビュー 1

日記 by taro-nishino

数学を勉強した人なら多少なりともブルバキを御存知でしょう。でも、ブルバキのどれかの巻を通しで読んだ人は多くないと思います。私も例外を除いて読んだこともなく、読みたいとも思いません。例外というのは、"Algèbre commutative"を持っており、いやいやながら必要箇所のみ見るだけです。仏語の数学論文を読むと、"Algèbre commutative"からの引用もしくは参考文献として挙げていることが多いのです。ですから、一応チェックのために見るだけであって、読むために購入したのではありません。
私から言わせれば、世の中には数

357107 journal
数学

taro-nishinoの日記: 志村五郎博士"The Map of My Life"の書評

日記 by taro-nishino

志村五郎博士の"The Map of My Life"について、私も僭越ながらアマゾンでレヴュを書きました。しかし、それはレヴュと言っても、いわゆる感想文もしくは書評ではなく、よく本に付いている帯や本の裏表紙にあるような、宣伝文句の域を超えていません。長々と得意気に論評する資格など私にはありませんから、要は私の目から見てどこが面白かったかだけを短く書いただけです。まともな感想又は書評なら私が読みたいくらいです。
で、読むに耐える感想

350851 journal
数学

taro-nishinoの日記: 岩澤健吉博士

日記 by taro-nishino

大学に残って教育に従事している友人の話によれば、今は大学院生でも、故岩澤健吉博士の"代数函数論"を読まないらしいです。「賦値理論が下らんからかい?」と聞くと(なお念の為に言いますが、私のような下辺な人間が大学者の理論にケチをつけているのではありません。一般的に言われていることを言ったまでです)、「そんな高尚なことじゃなくて、要は旧字体を読めないだけ」だそうで。暫く前に、この本が絶版になっていたところ復刻されたのですが、余りにも売れないからかどうか知りませんが、またも絶版になったらしく、友人の話を聞

348804 journal
数学

taro-nishinoの日記: 谷山豊と彼の生涯 個人的回想

日記 by taro-nishino

数学に少しでも関心のある人なら、フェルマーの最終予想が、これを含む一般的な志村予想を証明することによって解決されたことは御存知でしょう。この志村予想は、かって無知と誤解によって谷山-志村予想と呼ばれていました。外国では更に輪をかけて(と言うよりもアンドレ・ヴェイユの威光によって)谷山-志村-ヴェイユ予想と呼ばれていました。ヴェイユがこの予想に何ら関係しないことは、故Serge Lang博士によって実証されました。それでも、谷山-志村予想もしくは谷山予想と呼ぶ人がまだ散見されます(散見と言いましたが、日本人では

346821 journal
数学

taro-nishinoの日記: ナチス支配下でのゲッチンゲンの数学 1

日記 by taro-nishino

先日バナハの"Theory of Linear Operations"に触れましたが、私が後世の数学徒に残したい数学名著を3冊だけ選べと言われるならば、以下のようになります(順不同)。但し、論文集等と日本語の本は除きます。日本語の本を除くのは、そもそも後世の人々というのは地球人であって、日本人だけを対象にするのは後世に残す気持ちが始めから無いに等しいからです。勿論、日本語版の外国語訳があれば考慮しています。

1. Stefan Banach "Theory of Linear Operations"
2. Claude Chevalley "Theory of Lie Groups"
3. Henri Cartan, Samuel Eilenberg "Homological Algebra"

1.は前にも言いましたが、バナハが元々書いた仏語版の方がいいと思います。

345804 journal
数学

taro-nishinoの日記: バナハの空間: リヴィウとスコティッシュカフェ

日記 by taro-nishino

先日、Stefan Banachの"Theory of Linear Operations"を再読しまして、これは数学徒、特に関数解析を専攻する人は是非とも読むべき名著だと思いました。Banachの日本語表記はバナッハとするのが通例ですが、私の身辺の欧米圏の人に何回も発音していただいたのですが、私にはバナハとしか聞こえなかったので以降バナハと表記します。勿論、ポーランド人がいないので正確かどうかは分かりませんが。
ところで、バナハ空間は完備ノルム線型空間のことですが、数学科では関数解析でなくても、例えば私が専攻した多変数解析函数論でもバ

320088 journal
数学

taro-nishinoの日記: 志村五郎博士著"The Map of My Life"より抜粋

日記 by taro-nishino

志村五郎博士が英語で書かれた自伝"The Map of My Life"を取寄せ、早速読んでみました。実は購入しなくてもPDFの形式ですが、無料で全文を読めるリンク先があります。しかし、次に述べる理由から購入しました。つまり、少しでも(失礼とは思いますが)博士に印税が入ればいいと思ったからです。もっとはっきり言えば日本国は今までに博士に支援をしたことがあったか疑わしいからです。やったことと言えば、中学生になったばかりの博士等を学徒総動員令のもと朝から晩まで無駄な強制労働をさせ、成長盛りの一番必要な時に勉強させませんで

318413 journal
数学

taro-nishinoの日記: 私が交流したアンドレ・ヴェイユ

日記 by taro-nishino

AMS(米国数学協会)の"NOTICES OF THE AMS"を暇な時に読んでいましたら、そのバックナンバーに志村五郎博士が"André Weil As I Knew Him"(PDF)という故アンドレ・ヴェイユ博士について回想録を書いていらっしゃるのに出くわしました。志村博士のことは、私が言うまでもなく、日本が誇る世界的数学者として長らくプリンストン大学で教鞭をとり、現在はそこの名誉教授です。故ヴェイユ博士のことも申し上げるまでもなく、20世紀を代表する大数学者であったことは皆さんも御

314358 journal
数学

taro-nishinoの日記: 数学教育について

日記 by taro-nishino

聞くところによれば、関数型プログラミング言語の流行とともに数学の圏論がブームだそうで。圏の概念が他の数学の分野を全く知らない人でも意味が分かるのか疑問を持っています。その理由は後で述べます。
私の手許に故Serge Lang博士の名著"Algebra"があります。この本は理由があって、何と大昔の1974年の初版第6刷です。非常に貧しい学生だった私に恩師が2冊持っているからと言って1冊を下さり、私の生涯の宝物です。
仮に数学を代数学、幾何学、解析学という全く意味が無い区分けをしたとします。意味が無いと言うのは、例え

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人生の大半の問題はスルー力で解決する -- スルー力研究専門家

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