地震で東京電力の需給逼迫が問題になっているが、「何か天災があれば東電は大変」というのは心の片隅にあった。
それは他電力との連系容量がかなり小さい、最大電力と発電容量の差が小さいというのが頭の片隅にあったからである。
ここでの「連系容量」というのは電力会社間で接続する送電線が送電可能な最大電力のことで、
水道で言うと水道管のパイプに相当する。つまり太いほど(大きいほど)たくさん電力を
送ることが可能である。
そこで、資源エネルギー庁 総合資源エネルギー調査会電気事業分科会 基本問題小委員会市場環境整備WG
の第2回(平成14年10月28日)の配布資料本体から、各電力会社がどの程度電力を融通できるのかを調べてみた。以下の数値は抜粋(のつもり)である。
9年ほど前の資料なので現在がどうなっているかは分からないが、H14年当時のH18年想定の容量を抜き出した。
また、以下の数値はあくまで設計上の数値で、実際には系統安定度の問題でこれだけの電力を流せない
ケースがほとんどだと思うので、参考程度と考えていただきたい。
次の数値が各電力間の連系容量である。
九州 <-> 中国 557万kW
四国 <-> 中国 240万kW
中国 <-> 関西 1666万kW
四国 <-> 関西 140万kW
関西 <-> 北陸 557万kW
関西 <-> 中部 557万kW
北陸 <-> 中部 30万kW
中部 <-> 東京 120万kW
東京 <-> 東北 600万kW
東北 <-> 北海道 60万kW
そして、各電力ごとに連系容量の合計と最大電力、連系容量/最大電力の比(ここではujimushiの造語として連系可能率とした)
をまとめたものが下表である。
電力会社| 連系容量| 最大電力 |連系可能率(連系容量/最大電力)
-------+---------+----------+------------------------
北海道 | 60万kW| 530万kW| 11.3%
東北 | 660万kW| 1470万kW| 44.9%
東京 | 720万kW| 6430万kW| 11.2%
中部 | 707万kW| 2750万kW| 25.7%
北陸 | 587万kW| 551万kW| 106.5%
関西 | 2920万kW| 3306万kW| 88.3%
中国 | 2463万kW| 1200万kW| 205.3%
四国 | 380万kW| 593万kW| 64.1%
九州 | 557万kW| 1706万kW| 32.5%
この表から次のように分析した。
- 関電は系統の連系に積極的である
- 西日本の方が系統の連系が進んでいる
- 東電は全国電力で一番最大電力に対する連系可能率が低い
- 地理的に日本列島の端である九州・北海道は連系しづらく連系容量が小さい
そして次の疑問点が浮かび上がってくる
- 連系容量を見ると東電の次に天災に弱いのは中部電力ではないか?(北海道は自社エリアの広さで災害リスクを分散できる)
- 中部電力は太平洋側に火力・原子力発電所を抱えている。もし東海地方で地震があったら今回と同じようになるのでは?
東電のポリシーとしては(自社の発電容量が大きいので)自社で何とかしようという感じか?
しかし、今回のような大規模な地震では自社だけで解決するのは非常に難しいのではないかと思う。
さらに心配なのは、東京湾直下型の地震が発生すると周辺の火力発電所が一時的に全部停止するということである。
余震みたいな感じでM7クラスが一回東京湾とかで起きたら…
次は南海地震という話もあるのでより危険かもしれないが、西の方の電気を使うということは
多少のリスク回避になるのかもしれないと思った今日の分析でした。
※追記1
東電には電力を使っている箇所が23区内に集中し過ぎていて、土地の確保ができないので送電線を作りたくても作れない構造的な問題がある。(そのため「今あるものをぎりぎりまで使う」という文化になる)
また他電力と連系すると自社から見えない部分が増えるので、怖くて運用できない面もあるだろう。そういう意味では気の毒である。
電気を使う場所を分散して欲しいというのが本音であろう。これは国・東京都のリスクでもあるのでちゃんとクローズドにでも協議すれば改善は可能だと思うのだが、自社で抱え込む文化だからなぁ。
※追記2
中部電力は関電が北陸とぶっとい線を先につないだので直流で連系せざるを得なかったとか
東電とは周波数が違うので変換しないといけないとか気の毒な点がいくつかある。ただ東電に右にならえした感もあるかもしれない。