ボーリングは旋盤と基本は同じ。
第一に、ドリルビットで削った岩石の粉を逐次地面(海底面)まで押し出さないと
ビットはすぐに掘り屑に埋まって回らなくなってしまう。
そこで、掘削船から調製された泥水がドリルパイプを通じて常にビット先端に送り込まれ、掘り屑を洗い出すシステムになってます。
そういう都合があるからドリル"パイプ"(日本語だと「掘り管」)な構造になってます。タダの鉄の棒じゃないんです。
海底掘削の場合、泥水を海底面上でダダ漏れにすると重大な環境汚染を起こしかねないので掘削船と海底面まではドリルパイプより大きな鋼管(ライザーパイプ)で繋がっています。
ここ↓
http://www.jdc.co.jp/business/offshore/drilling.php
の図にも船とBOPを繋ぐドリルパイプの両外側に細い線が描いてありますよね?
特に説明がないけど、あれがライザー管です。
ドリルパイプを通ってビット先端からでた泥水は、掘り屑を洗い流したあと、ドリルパイプの外側(ライザー管とドリルパイプの隙間)を通って掘削船に戻ってきます。
泥水は比重の調整が重要で、重すぎれば地層の割れ目からどんどん染み出して逃げてしまう、
軽すぎればビットが掘った跡に潜んでいる石油や熱水といった流体が吹き出してくる。当然放っておくと掘削船まで危険な流体がやって来る。
なので常にモニタし、最適な比重に調製する必要があります。
原料となる水や粘土類にも限りがあるので、船上で掘り屑を回収してリサイクルします。
掘り屑は掘削している岩盤の状況を知る重要な資料なので逐次分析。。
…和歌山沖などでメタハイを調査したときは海底面下のごく浅い層を掘ったのと、たくさん掘る都合から、ライザー管は使ってなかった気がする。
つぎに、ドリルビット。
旋盤と同じで地層に力任せに押し当てても痛むのが早くなるだけだし、当て方が軽いと掘り進めません。
ビットに荷重を掛けるには掘り管の自重を使います。
つまり、掘り管の下のほうは肉厚で重いパイプを用い、それ以外は若干薄手の軽い管を使用して総重量を調整。
掘り管は船のやぐらからワイヤロープで吊ってあるだけなので、掘り管のつり下げ方(吊り上げ方?)を絶妙に調整して、ビットに掛ける荷重を調整します。
ビットは消耗品なので、ある程度掘れば交換します。また掘削目的(ただの掘進、ボーリングコア採取など)によって付け替えます。
掘り管は一本約9m。
一端が雄ネジ、反対側が雌ネジに切ってあり、これをひたすら繋いで数1000mにしていきます。
ビット交換時など、掘り管を抜き出す際はこれを三本一セットとして外していき、やぐらに立てかけていきます。
ビットを交換したら、ビットに掛ける荷重を考えてドリルパイプの構成を変更。適切な重さの組み合わせになるよう、パイプを繋いでは30mほどロープで降ろし、また繋いではロープを降ろし、、を繰り返します。
今は機械化が進みかなりの部分自動化されてますが、昔は人力でやってました。
パイプ同士のネジ留めもきつく締め過ぎると外れなくなるのでトルクが決まっています。締めが緩くてそこから下が落下すると最悪。。。
これを回収するのにはかなり手間がかかります。
最近のビットの先端には各種センサーがついていて、そのデータも泥水を通じて音波?(振動?)で船まで送られてきます。掘進先端の温度、圧力、位置、方向などが送られてくるのでかなり貴重な情報。
このビットをどうやって回すか?
それはもう単純に、船上の動力機関で、鋼管の後端を力技で回します。
トップドライブ(掘り管の上端に付いてるドライブと言う意味ね)システムの場合は、トップドライブという装置に直結された掘り管後端をエンジンやモータで回転させます。
トップドライブ自体はガイドレールに沿って上下動できるようになっていて、ワイヤロープにつり下げられた状態で掘り管に回転力を伝えます。
いくら丈夫で堅くぶっ太い鋼鉄管といえど、数1000mもの長さに比べれば掘り管全体など糸みたいなものです。それでもビットまで回転力が伝わる不思議。(高価なパイプのなせる技か??)
ドリルの先端は内視鏡のように方向を微妙に変えることが出来るので、昔と違って今は掘る方向を精密に制御できるようになっています。
真下に掘るとは限りません。
北米のシェールガスなどでも、ガス層を水平に掘削してますよね。
そうそう、素掘のままだとボーリング壁がだんだん崩れてきます。
この崩壊を防ぐためにケーシングパイプという鉄管を入れます。
ただ入れただけだと壁面とケーシングパイプの隙間から各種流体が上がってきてしまうので、そこは適宜セメントを封入して塞ぎます。
このケーシングパイプを入れるためにはドリルパイプが邪魔なので、一旦掘り管を引っこ抜いて、ケーシングパイプとなる鋼管(意外に肉薄)を一つ一つ吊り下げます。
ケーシングパイプを設置するまでは、泥水で凌ぐしかありません。
最悪危険な流体が上がってくることだけは避けたいので、比重は若干重めにし、泥水が地層の隙間から抜けてしまう場合は、泥水におがくずや鳥の羽根などいろんなものを混ぜて止水します。(福島原発の漏水を止めたのと同じ方法)
ドリルで掘って、ビットが摩耗したらその都度引き出してビット交換。時々ケーシング入れて、セメント注入して、またドリルパイプで掘って、、目標地点に達するまで延々繰り返します。
水深と掘りやすさはいろんな要素の兼ね合いなので一概にはいえません。
海流が強ければライザー管に横からかかる力も考慮しなければならないが、浅くて流れの速いところもあれば、深くても流れの穏やかなところもある。横から受ける力が強ければ、それに見合う頑丈なライザー管を設けるまでのこと。
ライザー管の設置は、掘るのが難しいという以前に、掘削コストに関わる問題なので、お金の面で苦労するでしょう。そういう意味では浅い方が何かと気が楽です。
しかし、掘進深さが深いほど掘進作業量が多くなり、ビットの交換も増えコストがかさむ、、これは地層、岩盤の堅さ次第ですね。
ライザー管は海底に設置されたBOPと船で繋がっているので、船が大きく流されなければ大丈夫。
でも冬の日本海は台風並みの暴風が吹くので、船上作業も大変だし、場合によっては船ごと退避しなくちゃならない場合もあります。
もちろん台風やハリケーンといった暴風も同じ。
季節によって暴風が吹くならその季節を外して掘ればよいが、掘削船はいろんな用途に使われるのと、船舶としての検査を定期的に受ける義務があるので
スケジュールは数年先まで決まっていたりします。
計画どおり掘進できず工期が遅れることもあれば、事故があって救援に向かうような突発的な出来事もあります。
なので理想的な時期に掘削できるとは限らない。
あるいは掘削に一年近くかかることもあるので一度は暴風の洗礼を受けることもある。。なのでそれを踏まえてライザー管の規格構成を選択します。
まあこんな感じです。
力尽きたのであとはこちらにお任せ。↓
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