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日記

uruyaの日記: 聖地巡礼のはずがどうしてこうなったの旅(行動自体がネタバレ)

日記 by uruya

[要旨]
聖地巡礼。宗教徒が宗教的聖地を巡り歩くことを言う。転じて近年では、ドラマやアニメのロケ地探訪のことを称する。今回の旅は前者の意味。北海道大盛りの聖地、喫茶マリンを訪ねる。…はずだったのだが。どうしてこうなった。
なお今回、行動自体があるミステリのネタバレとなっております。ご注意ください。

[計画]
札沼線で新十津川へ。マリン訪問後、滝川から函館本線で帰る。

[行程]
06:20 自宅発
予定どおりにすっきり目覚めて、気分よく出発。結果gdgdなときに限って寝起きがいいのはどうしてですかね。2月ともなればかなり日が長くなってきており、空はうっすら藍色。夜明け前の〜紫のハイウェイ〜♪

07:18 札沼線まさかの運休
で、いきなりこうなるわけですよ。思えばこれがケチのつきはじめ。
状況を確認したところ、車が踏切から線路上を走行して立ち往生したとのこと。なんじゃそれ?ちょっと理解不能。翌日の新聞によれば、酒酔い運転の男が、吹雪で方向を誤って侵入したと供述しているとか。いやいや、この日は吹雪いてないけど。JRさんには、このクズにきっちり賠償請求していただきたい。
復旧したとしても新十津川へは接続しないようなので、ちょっと悩んだものの、往路函館本線復路札沼線で行くことにする。

08:55 岩見沢駅 出口をはばむ雪の壁
139M 札幌発岩見沢行 普通 0805札幌→岩見沢0846
札幌で1時間、岩見沢で50分の待ち。岩見沢で外に出てみようとしたら、2メートルはあろうかという雪壁に遭遇し、おっくうになる。ここ数日まとまった雪は降っていないはずだが、さすが岩見沢さん、ぱねえス。

09:15 岩見沢駅 レール展示スペース
09:15 岩見沢駅 窓枠に使用されている古レール その1
09:16 岩見沢駅 窓枠に使用されている古レール その2
駅構内で時間をつぶす。岩見沢はかつて、道内鉄路網の中心地だった。旧駅舎は不慮の火災で焼け、現駅舎が急遽建て替えられたが、再建築にあたってその歴史にスポットをあてたデザインがされ、グッドデザイン賞を受賞している。構内の一角には展示スペースが設けられ、窓枠には売るほど在庫があった古レールを再利用。カーネギー社製、カメル社製などの海外発注品にまじり、丸にSマークの八幡製鉄所製などがある。「工」とあるのは旧工務省のこと。その手のマニアには垂涎であろう。

10:40 滝川駅は吹雪
927D 岩見沢発滝川行 普通 0939岩見沢→滝川1034
滝川に到着すると吹雪になっていた。
ここから徒歩になるのだが…歩いている途中に、ふと気づいたことが…あれ?もしかして日曜定休じゃなかったっけ…?激しくいやな予感がしながらも、ここまで来て迷ってもしかたなかんべえと、半分意地で歩き続ける。

11:17 喫茶マリンまさかの定休日
うはwwwやっぱり休みwww
位置もメニューも頭に入っているので、まったく確認しなかったのがまずかった。地方の店で日曜定休はよくあることじゃん…しかも途中で気づくくらいだから俺覚えてたし…ちょっと考えれば回避できたのになあ。しっぱい。
しかたない、滝川まで戻るのもばかばかしいし、このまま新十津川へ移動しよう。

12:03 物産館 食路楽館
紆余曲折の末、新十津川にたどりついた。大盛りモードで胃のコンディションを整えているので、腹が減ってしかたない。物産館にレストランがあるのを見つけたため、ここでメシにする。
新十津川町はその名のとおり、奈良十津川村からの入植者が開拓した町。幕末に十津川郷士が盛んに勤王活動をおこなったため、規模のわりに全国的に名前が通っている村だ。明治期の大水害により一部村民が北海道へ移住した。十津川郷士の一本気な剛直さを受け継いでいるためか、現在に至っても十津川村を母村と呼び、交流を続けているという。
奈良名産の三輪そうめんと、これも奈良名物めはりずしのセットメニューがあったので注文。吹雪の中歩いてきたのでカメラが曇ってしまった。
そうめんはたぶん3輪くらい使っており、単品でも十分な量。味はごく普通の親子にゅうめん。
めはりずしがかなりデカい。爆弾おむすびと言っていいボリューム。めはりずしというと、ちんまり1口2口サイズのものしか食べたことがないが、郷土料理としてはこれが本来の姿なのだろう。半合はありそうな混ぜるタイプのおにぎりに、高菜の葉がぴっちり巻かれている。素朴な味だが、かえってそこに趣きがある。
正直、新十津川は産業・観光ともにぱっとしない町だ。275から滝川に出る通過点の印象しかない。
奈良との交流という特色があるのだから、郷土料理を前面に出してイベントを行うなどしてみてもいいのではないかと思った。

12:44 新十津川駅
5428D 新十津川発石狩当別行 普通 1257新十津川→石狩当別1418
574D 石狩当別発札幌行 普通 1429石狩当別→札幌1513
腹も落ち着いたので帰途へ。
新十津川駅は町外れにぽつんと建っている。通勤通学路線である札幌-医療大学間から先は、1日3本しか走っていない超ローカル路線。利用者はほぼない。浦臼まで貸切状態だった。風情を楽しみたいところだが、ビールを飲んだため睡魔が襲ってきて爆睡。あっというまに札幌着。

16:00 自宅着
徒労感に苛まれながら帰宅。
「ZZZ…」
御主人は機嫌よく、おねむのご様子。新十津川金滴酒造の地酒でねこ見酒としゃれこむ。

[まとめ]
移動ルート
交通費 2200
食費 630
酒代 450+1000
飲物等 200

合計費用 /4,480-

[反省点]
・毎週外出しているとたまにはこんなこともある…けども、最近ボケすぎ。

[感想等]
・マリンはリベンジ。ただし車で。

1461819 journal
日記

uruyaの日記: 雪まつり進捗調査ジョグアンドウォーク10km

日記 by uruya

[要旨]
冬期体力維持。今期は心肺機能維持のためにジョグを絡めたい。
歩いたり軽く走ったりして最低限肺活量を落とさない程度。まずは様子見で10kmほど。

[計画]
目標は中央図書館。来週読む本を借りる。
ついでに大通公園を通り、雪まつりの進捗具合を見てこよう。

[行程]
13:10 自宅発
遠出の予定がない週は毎回行こうと思いつつ、必ず激しい雪が降るので伸び伸びになっていた計画。逆に、遠出した日は天候に恵まれているとも言える。この日も午後から雪になる予報だったが、もう待てねえ、と強行出発。家を出た途端にもさもさ雪が降り出す。午前は晴れてたので、とっとと出るべきだった。だって午前中は寒いんだもの。
しばらく走ってみると、基本的には山の登りと同じだと気づいた。息が切れない速度でゆっくり、一定のペースで走るのがコツのようだ。30分ほどで、ずっと走っていられるポイントをつかむ。が…筋肉が…痛いぞ?明らかに普段使っていない筋肉を使っている。特に腿がつらい。問題は心肺より脚だったか…呼吸は余裕で続くけど、脚がついてこない。信号待ちのたびに歩いたり走ったりを繰り返す。200メートル走り、200メートル歩き、くらいのペース。

14:12 札幌ファクトリー手前@北光線・北1条通交差点歩道橋
元町図書館に寄ってきたので、本町経由で苗穂アンダーパスから北1条通に入り、北光線との交差点に出る。地元の人にしかわからない説明ですみません。この交差点、自転車のことをまったく考慮していない構造になっている。ここと南郷通白石交差点の2か所は、自転車で走っているといつもどう抜けるか困る箇所だ。
ここまで1時間。遠回りしているとはいえ、遅いw 最短距離を歩いたときの時間とたいして変わらないw

14:30 4丁目大雪像 雪の水族館…になる予定
14:35 5丁目大雪像 ファンタジア(ディズニー)…になる予定
14:35 5丁目大氷像 故宮博物院…になる予定
14:37 6丁目中雪像 教育委員会ゆるキャラ…になる予定
14:40 7丁目大雪像 タージ・マハル…になる予定
大通公園で進捗を確認。大雪像は中程度の完成度だろうか。7丁目会場では、自衛隊員が観光客と思われる家族連れに雪像作りを説明していた。ご苦労さまです。
会場は10丁目まであるが、8丁目から先は遠目で見た限りあまり進んでいなかったようなので、途中でエスケープ。今年は雪質もよく量も多く、来週の開幕まで真冬日が続くので、作業しやすいだろう。6丁目中雪像は横にあった2頭身雪像が気になったので撮っておいた。市民雪像にしてはやけに気が早い。

15:21 中央図書館
大通公園を過ぎたころから、筋肉痛が激しくなってくる。なぜこんなに痛いんだい。わけがわからないよ。まあ筋肉の使い方がなってないのだろう、とは思う。ラスト数キロの直線を抜け、やっとの思いで目的地着。
…ところが。この時点で図書カードを忘れてきたことに気づく。アホだ…とことんアホだ…徹底した軽量化を念頭にウエストバッグに入れる荷物を厳選している過程で、カードケースに入っている図書カードをチョイスし忘れたのだ。はんかくさいなあ、そのまま市電に乗って帰るしかないべ。むなしい…

15:28 札幌市電
市電で4丁目へ戻り、メシを食って帰ろうとしたが、体が冷えたので降りる時点で激烈な筋肉痛が襲ってきた。こりゃ歩き回るのは無理だ、ということで4プラから地下に入り地下鉄直行。腹は減っていたので、途中にあったびっくりドンキーでチーズバーグディッシュの300と生ビールを摂取。感想を書くほどの食事ではないので一回休み。

17:00 自宅着
久々にヘロヘロになっての帰宅。
うっ…ご、御主人、今日の石抱きの刑は…つ、つらいです…
筋肉痛に苦しめばいいにゃ

[まとめ]
移動ルート
沿面距離 12.632km
累積標高 46m
所要時間 02:11:07
行動時間 01:58:29

交通費 170
食費 932
酒代 480

合計費用 \1,582-

[反省点]
・けっこうな幹線道路で信号無視してきた車に轢かれそうになったので気をつけたい。
・たぶん雪で視界が悪い上に脇見かなんかで信号を見ていなかったのでは。
・こっちも気づくのが遅れた。というか雪降ってたら昼間でもライトをつけていただきたい。無灯火自転車と同じで、相手から見えるかの問題だ。

[感想等]
・湿布してひと眠りしたら筋肉痛はおさまった。
・市電を降りたときが最も痛かった。満足に歩けないほど。一般的に筋肉痛は次の日がつらいものだが…
・普段走らない人間が急に走るとこういうものなのだろうか。不思議だ。
・タイムはかなりひどいレベルw でも雪道を歩いたら3時間はかかる距離なので、3分の2の時間で着いてはいる。

1452767 journal
書籍

uruyaの日記: 新宿鮫X 絆回廊 / 大沢在昌

日記 by uruya

新宿鮫X 絆回廊 / 大沢在昌

若くして地位を確立した中国マフィアのボス、陸永昌。定期的に届く日本からの手紙を読んだ彼は、パイプのある情報期間に電話をかけ、樫原茂という男の行方を探してほしいと頼む。

鮫島は売人の露崎から情報提供を受けた。刑務所から出所したばかりの白髪の大男が、拳銃を欲しがっているという。手に入れた拳銃で、ある警察官を殺すつもりだというのだ。須藤会の名前を出したことから、すっカタギではないことがわかる。須藤会はすでに潰れているが、もと組員の松沢という男が、今は栄勇会に在籍し、吉田と名を変えて若頭補佐の地位にある。姓が変わったのは、中国残留孤児二世の妻と結婚し、養子になったためだ。吉田が外様としては異例と言える出世をしているのは、それまで中国人とのつながりがなかった栄勇会において、ビジネスのつなぎ役を果たしているためと思われた。
ところが調査中、話を聞いていた須藤会の組長が残虐な手口で殺害され、さらに鮫島も数人のグループから襲撃を受ける。やり口の荒っぽさから日本人ではないと思われ、暴対の署員から聞き出したところでは「金石(ジンシ)」という中国残留孤児二世のプロ集団の仕事と思われた。しかし「金石」に関する情報は、すべて『東亜通商研究会』に押さえられている。表向きは民間会社だが、内調の調査機関であり、警察を辞職した香田が所属している機関だ。

一方、「フーズ・ハニイ」には薬物捜査の手が伸びていた。ベーシストに覚醒剤使用の疑いがあり、バンド全体にガサを入れ、人気バンドの摘発によって抑止効果を上げようという所轄署の思惑である。もちろん晶は無実であるが、捜査を受けたという事実だけで、現役警官との交際には大きな障害となる。そうなれば鮫島は、辞職するか、晶と別れるかのいずれかを選択しなければならないのだ。

─────

ほぼ日刊イトイ新聞で連載されていた新宿鮫最新作。ある程度たまったら読もうと思っていたら、折り返し点で一度全クリアされてしまったので断念。出版されてから読むことになった。

今回は重大な変化が二つある。一つは既定路線だが、もうひとつはかなりインパクトの大きな変化だ。実はネタバレを先に目にしちゃっていたので衝撃は少なかったが、知らずに読んでいたら驚くと思う。
というかミステリ板でネタバレを書き込む奴には、納豆の薄いシートに毎回豆が四粒くっつく呪いをかけてやる。スーツを下ろしたときにベンツの仕付け糸を取り忘れる呪いと、出張の日に限って目覚ましがかけっぱなしになる呪いもだ。どうだ、地味に嫌だろう。

鉄板のシリーズなので、それ以上の内容は特に触れない。いつも通りにおもしろい。
新宿に集まる人々のさまざまな「絆」を描いた作品である。タイトルに採用されたこの文字が、連載終了間際に発生した東日本大震災と、そこからの復興を象徴するワードとして出版年の「今年の漢字」に選ばれたのは、偶然にすぎる。

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日記

uruyaの日記: 復活の日 4

日記 by uruya

VDSLリンク切れ問題、VDSLモデム交換で復帰。
確認に来てもらうと問題が起こらないのは何故なのか。これは有史以来、幾多の人々の上に降りかかってきた、人類最大の謎のひとつであろう。
まあ再現しないときはモデム交換しておくのが常套手段ではある。
で、VDSLリンクが解決したら、今度はスイッチングハブが死んだ。もともと動作の怪しいハブだったので、ヨドバシに行ってサクッと購入。そのついでに牛太郎でマンガ盛りのメシを食ってきた。
ハブ交換の甲斐もあって、現在は宅内LANは快適に動作している。

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日記

uruyaの日記: 情報難民

日記 by uruya

VDSLルータが突然つながらなくなった。NTTによるとVDSL装置まではリンクできているとのこと。
土曜日に調査に来てもらう予定。ルータ故障ならいいけど、宅内配線トラブルだったら、もしかして大事になるのかしら?困る。はげしく困る。
サーバ機のrep2が稼働ストップしているのが何より堪える。長引くようならイーモバ経路を構築しなければなるまい。

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日記

uruyaの日記: 小樽赤岩雪中トレッキング 2

日記 by uruya

[要旨]
冬季恒例、坂の多い町を歩いてトレーニング。

[計画]
小樽赤岩自然歩道を歩く。トレースついてるよね…? (←甘かった

[行程]
08:00 自宅発
うほっ、いい天気。
曇り予報だったが、すっきりと晴れ。ほぼ無風。氷点下を少し割る真冬日で、ここ数日まとまった雪は降ってない。つまり雪崩の心配も少ない。最高のコンディションだ。

09:41 小樽駅
2739M 苫小牧発小樽行 普通 0835札幌→小樽0929
冬季営業中のおたる水族館に入るなら、小樽周辺JRがフリー区間になっておたる水族館への往復バスと入館料が込みの「おたる水族館きっぷ」を使用する一手だが、今回は普通にKitaca(Suicaのコヒ版)で乗る。
後から考えたら、おたる水族館に寄ったほうがよかった。失敗した。計画ではオタモイに抜けるつもりだったから時間がなかったのだが、結果的には途中でエスケープしてしまい、1時間は余裕があった。

10:13 小樽水族館
中央バス 小樽駅前発高島経由おたる水族館行 0950小樽駅前→おたる水族館1009
小樽市内の中央バス路線は210円均一。お安い。均一料金なのに中乗り後払いという不思議なシステム。
冬季営業の目玉であるイルカショーやペンギンお散歩タイムまで時間があるので、水族館には人気は少ない。とりあえず記念に入口を撮影しておく。

10:18 鰊御殿
コースからちょっとはずれて、鰊御殿と日和山灯台の様子を見に行く。冬季閉鎖中で立入禁止。入り口付近が排雪の山で胸くらいの高さがあるので、強行突破断念。この時点でいやな予感がしてくるw

10:29 祝津パノラマ展望台
10:30 高島岬
自然歩道入口付近にある祝津パノラマ展望台へ。高島岬やトド岩が見渡せる。絶景である。

さて、ここから先、リゾートホテルを越えたあたりから自然歩道がはじまっているのだが、詳細を書くことは控えたい。なにせ、ほぼ立入禁止区間しか歩いてないのだw
通行止めトラロープを自己責任でくぐって、鹿の足跡しかついていない雪原をツボ足走破。途中からスノーシューのトレースをみつけ、稜線沿いに赤岩海岸入口へ。トレースが赤岩海岸へ続いているのを確認。夏道は落石危険のためバリケードで閉鎖されている道だが、冬道かつ最高のコンディション、しかもトレースがついている今日なら行ける、というか行く機会は今日しかない!と、ここで体力使い切るのを覚悟して強行。まんまと疲れ切り、赤岩からエスケープして小樽へ戻った次第。雪面クラストしているわけではないので滑落の危険はそうそうないが、落ちればたぶん死ぬ箇所などもあり、精神的にもきつい行程だった。
オタモイは早春にでも逆側からリベンジすることにしよう。

14:00 小樽駅前
中央バス おたる水族館発赤岩経由小樽駅前行 1338赤岩2丁目→小樽駅前1356
2時間半の雪中行軍でかなり疲労してエスケープしたため、予定よりかなり早い帰樽である。昼食に行く店は決まっているが、この時間はちょっと微妙だなあ…飲むつもりだから、3時くらいの方がいいのだが…まあいいか。

14:09 藪半
小樽の老舗蕎麦屋。観光客なども訪れる有名店であるが、大きな特色は「飲める」ことだ。酒や酒肴を多く取り揃え、蕎麦屋酒を楽しむことができる。もちろん食事メニューも充実している。
本当はもう少し時間を遅らせたかったところだが、14時を過ぎているのでまあいいだろう、ということにしておいて入店。周囲はほぼ食べ終わりのようなので、予定どおり酒を頼む。日本酒で行くのが粋なのだろうが、当方焼酎党なのでそば焼酎そば湯割と、つまみとして厚焼きたまご。突き出しに蕎麦味噌がつく。蕎麦湯はとろりとしたタイプ。
飲みながらメニューを読む。メニューというのはただ眺めていても楽しいものだが、ここのメニューは冊子状で、店主のうんちくや店の歴史などが掲載されていたり、東海林さだおのコラムが転載(許可はとっているとのこと)されていたりして非常に読み応えがある。そうこうしているうちに昼食客はほぼ退店して空いてきたので、2合めを飲みつつ、ゆったりした時間をたっぷり楽しんだ。蔵作りを意識したレトロな内装で、非常に落ち着く空間である。雰囲気はかなりよろしい。
いい加減まで飲んだら、締めの蕎麦。ブレンドの並粉と、北海道産100%の地物粉が選べるが、ここはやはり地物粉でせいろを。これがかなりうまい。相当うまい。蕎麦は細切りで、香りがしっかりしている。辛汁はかなり辛く、カツオの風味が強い。この蕎麦つゆが、北海道の蕎麦屋ではなかなかない。北海道の蕎麦屋は、どこへ行こうが辛汁が甘くて閉口するのだ。たまに辛い店があるかと思えば、カツオの風味が効いていなかったりする。その点、この店の味はドンピシャで好みだ。
蕎麦屋酒に力を入れたり、ガツンと辛くてカツオが効いたつゆで提供したりなど、店主は江戸蕎麦切り文化をかなり意識しているのだろう。そこが自分の嗜好にジャストマッチしている。いい店だ。ぜひまた来たい。
ただ、フロアの動きが今ひとつかな、という点はあった。店内が広いのもあるが、蕎麦を頼むのにわざわざ立ち上がって出向かないといけなかった。もう少し客席にめくばせ願いたい。いや、監視されても困るけど。

16:40 札幌着
3950M 小樽発新千歳空港行 快速エアポート164号 1604小樽→札幌1636
なにが原因か、JRのダイヤが乱れているらしく、小樽駅は人であふれている。こういうときは、Uシートを購入して快速エアポートで帰るに限る。ホームの混雑をよそに、ゆったり座って札幌到着。ほろ酔いだし腹もいっぱいなので、そのままマッハで帰宅。

17:00 自宅着
帰宅後まずは一眠りし、後始末などして、あらためて飲みだす。
かまぼこにゃ
小樽といえば、かま栄のかまぼこです。ヒット商品はかまぼこをパンで巻いて揚げたパンロールですが、つまみにするため丸揚げを購入してきました。魚焼きグリルであぶり、しょうが醤油でいただきます。揚げたてとまではいきませんが、かなりのうまさです。
ぺろり
あっ、撮影している隙に…!

[まとめ]
GPSトラック…秘密♥
沿面距離 6.398km
累積標高 567m
所要時間 03:26:30

交通費 (620+210)*2+300
食費 700
酒代 1600+310
飲物等 130+135+357

合計費用 \5,192-

[反省点]
・本当は自己責任といえど入っちゃいけないのだが…

[感想等]
・距離と標高差でコースタイム出したら2時間半のところ、3時間半かかってる。
・ツボ足2時間半はキツい。腰にくる。夏道ならたぶん1時間程度のコースだが。
・スノーシュー欲しいけどなあ…必要なのは年に1、2回だしなあ…

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書籍

uruyaの日記: 完訳 千一夜物語 (十三) / 豊島与志雄・他 訳 その4 4

日記 by uruya

完訳 千一夜物語 (十三) / 豊島与志雄・他 訳 その4

ジャアファルとバルマク家の最期
第九九四夜-第九九八夜
教王アル・ラシードの盟友であった大臣ジャアファルとその一族バルマク家は栄華を極めていたが、教王の怒りを買って一転。ジャアファルはマスルールによって首を斬られ、遺骸は不名誉な扱いを受け、一族はすべて根絶やしにされることになった。その原因には諸説あるが、もっとも有力なものはつぎの説である。
アル・ラシードはジャアファルとともに妹君のアッバーサも愛しており、毎夜ともに過ごさずにはおれなかった。しかし男女が同席するのはイスラム法的に望ましいことではない。アル・ラシードは一計を案じ、ジャアファルとアッバーサを形式上結婚させることにした。しかし形式上といっても夫婦である。特にアッバーサは、日ごとに夫に対する思慕が高まり、愛を求めるようになった。拒否していたジャアファルだが、アッバーサの計略にかかり、ついに床を共にすることになる。やがて彼女は男児を産み落とし、教王の目を避けてメッカで養育させた。しかしこれを知っていたゾバイダは、深い考えもなしにこの事実を教王の耳に入れてしまう。確かに真実であることを確かめた教王は、ジャアファルに死を贈り、不憫な母子を生き埋めにしたのである。
これについて詩人ムハンマドの逸話がある。ある村に滞在したおり、ジャアファルの子の誕生を祝う自作の歌をうたうと、世話にあたっていた少年が気を失ってぱったり倒れた。少年は、その子は自分であると告白する。ムハンマドは少年を養子にむかえようとするが、少年は頑として承知しなかった。
また、ジャアファルなき後の教王アル・ラシードは、心の平安のありかを失ってしまった。王子たちによる毒殺を恐れながら、遠征に赴いたトゥースの町で、病により崩御した。四十七歳五か月五日だった。

ジャスミン王子とアーモンド姫の優しい物語
第九九八夜-第一〇〇一夜
ある老齢の王に七人の子がおり、七番目のジャスミン王子はなかでも最も美しかった。あるとき愛の使者だという修道僧がジャスミンのもとにやってきて、となりの国の美しいアーモンド姫が、なにかに焦がれて悲しみに暮れているという話をして立ち去る。それを聞き、アーモンド姫への恋がめばえたジャスミンは、やもたてもたまらず、そのまま出奔してしまった。
一方、アーモンド姫の悲しみとは、夢に見た美しい若者への恋によるものであった。侍女たちは気鬱に悩む姫に気晴らしをさせようと外に連れ出すが、そのうちの一人が、数日前からジャスミンという美しい笛吹きの若者が城下に来ているという話をする。侍女の話によれば、その姿は夢に見た若者とそっくりである。また、遠いところからこの地までやってきた理由とは愛に他ならないだろうと諭すと、姫は悲しみなどふっとばし、恋文を書きはじめた。
なんどか文を交わしたのち、相手がお互いの求めている人物だと知ったジャスミンとアーモンドは、たちまち恋仲になった。アーモンドは父王に頼み、ジャスミンを家畜の監視係に採用させ、密会を楽しむようになる。
だがやがて、このことが父王に知れることになる。王は怒り、ジャスミンを成敗するよう姫の兄弟たちに命ずる。ちょうどそのとき、ジャスミンは国の者どもが恐れる豚鹿の住む森にいた。家畜を狙って襲ってきた豚鹿を、笛を取り出してその音であやつり、誘導して檻の中に捕らえたジャスミンは、その功績によって罪を問われることをまぬがれた。
なおも兄弟はふたりの恋を妨害しようと、アーモンドを彼女の従兄弟と結婚させることにする。婚礼の席に潜んでいたジャスミンが姫に目くばせすると、アーモンドは隙をみてぬけだし、手に手をとって駆け落ちしてしまった。以後、ふたりの姿を見たものはいなかった。

大団円
千一夜を語り終えたシャハラザードは、ドニアザードに何ごとか囁くと、王とふたりきりになった。そしてドニアザードがふたたびあらわれると、乳母に抱かれた双子の乳飲み子と、ハイハイする男の子がその後から入ってきた。それは、三年のあいだにシャハラザードが生んだ子供たちであった。シャハリヤール王は子らを見て大いに喜び、また嗚咽しながら前非を悔い、シャハラザードを讃えて愛を語った。
そして弟のサマルカンド王シャハザマーンを呼び寄せると、シャハラザードを正妻にしたことを告げ、ドニアザードと結婚するように申しつける。兄に習って毎夜処女を殺し、真実の愛を得ることができない不幸に気づいていたシャハザマーンは、喜んでそれを受け入れ、以後兄とともに住むことになった。
空位になったサマルカンドの王には、シャハラザードとドニアザードの父である大臣がつくことになった。新王は、書記と編者をあつめ、このたび起こった出来事をすべて余さず記録させることにした。完成した書物は「千一夜の書」と呼ばれた。

─────

世の中には二種類の人間がいる。千一夜物語を読破したものと、そうではないものだ。こんにちは、こちらの世界。Hello, World.

終わった─────!!!
長かった。長かったよ、ママン。初巻の感想日記が2009年2月13日。まるまる三年。男子三日会わざれば刮目して見よ、である。まして三年という期間である。人間的にはなにも成長していない。だめじゃん。
だが環境は変わった。大きく変わった。その間の紆余曲折で一時読書を生活から切り離したりや、読書時間が早く起きるかどうかに左右されるようになったなどあり、後半大きくペースが落ちた。また、これまで書いていなかった旅行やチャリ、山などのアクティビティについても日記にのこし始めたので、そちらに時間がとられることも大きかった。だが、時間のやりくりに苦労しつつも、なんとか読了にこぎつけたのだ。本当に長かった…

この読書は、自分の中では古典枠と呼んでいる。日記に書いている範囲では南総里見八犬伝や金瓶梅などを読んできたが、古典枠の場合、全あらすじをネタバレありで記録するのを通例にしている。これは、自分が後であらすじを調べるために書いているものだ。千一夜の場合、Wikipediaに「千夜一夜物語のあらすじ」という記事があり、そちらについても試行錯誤があった。あらすじ自体が日記に書くには長すぎるので、Wikipediaに投稿してリンクを張ったほうがいいのか?など。あくまで記事提供のつもりでWikipediaに投稿してるのに、記事のあり方議論をめぐってIDコール(…とは言わないのか?)されたりして、うぜぇ、と思ったことがあったのはナイショ。まあ結局、日記は分割してWikipediaへは別投稿、という今のスタイルに落ち着いた。

このくらい詳細なあらすじを書いていると、正直読書時間よりあらすじを書く時間の方が長くなったりする。文章を書く能力が低いからだ。苦労しているわりには意味不明な文章だったり、平仄が合わない箇所も散見し、後で読み返して顔が赤くなることも多い。まったく自分の文章力には苦労する。
だがそのぶん、読んでいる時間以上に、あらすじを書くことでもアラビアンナイトの世界にどっぷりひたっていられたことも事実である。強大な力を持つ魔神たち、美男美女の恋物語、美しい悪女、小粋な艶笑譚、教王ハールーン・アル・ラシードとその仲間。絢爛豪華なそれらの世界も、シャハラザードが千一夜を語り終えたとき、ついに終わりを迎えることとなった。千一夜。あたりまえだが、考えてみれば三年弱である。奇しくも、2009年2月13日の初感想から読了まで、計算してみればほぼ千日(まったく計算しておらず、初巻の感想の日付を検索してはじめて気づいた)。なんら成長しなかった自分とは逆に、シャハリヤール王には大きな変化があったのだった…

大団円の内容はほぼ知っているが、感動があった。タイトルどおりほぼ千日をかけ、この長大な物語を読破した達成感。もう新しい物語を読むことはないのだという喪失感。これ以上あらすじを書くことはない解放感。いろんな感情がないまぜになった感動だ。
さまざまな二次創作がなされた中東を代表する古典文学。読んでよかった。知識の幅が増えたような気がする、いい読書であった。

以上、おしまい。
ワサラーム!

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書籍

uruyaの日記: 完訳 千一夜物語 (十三) / 豊島与志雄・他 訳 その3

日記 by uruya

完訳 千一夜物語 (十三) / 豊島与志雄・他 訳 その3

知識と歴史の天窓
第九七一夜-第九九四夜
父の財産を受け継いだ青年は、長老の薦めに従って古今東西の書物を書閣と名づけた書物庫に収集し、読みふけった。業なると彼は、書閣に人々を招待し、説話をはじめた。

「詩人ドライド、その高邁な性格と高名の女流詩人トゥマーディル・エル・ハンサーへの恋」
詩人かつ剛勇の士であったジュサーム部族のドライドは、敵対するラビアー率いるフィラース部族を略奪に出る途中、女を連れた男を見つけた。女を差しださせるよう要求する使者を出すが、いずれの使者も男に突き倒され帰ってこない。それが数度におよび、自ら赴いたドライドは、男がラビアーその人であることを知る。そして、直前の使者を倒したときに槍を破損し、丸腰であるのを見て取ると、自分の槍を渡して立ち去らせた。
数年後、ラビアーが戦死し、復讐に燃えるフィラース部族はドライドを捕虜にした。名と身分を隠していたドライドだが、女たちの一人が彼の姿を認めた。以前ラビアーに守られていた女、ライタだった。ライタはかつてドライドがラビアーに対し高邁な態度を見せたことを説き、ドライドのものであった槍を渡し、彼を解放した。以後ドライドはフィラース部族とは戦わなかった。
年老いたドライドは、女流詩人トゥマーディル・エル・ハンサーに恋をし結婚を申し込む。トゥマーディルは女奴隷に命じてドライドが小用を足すところを覗かせ、男の機能を判断した上で断りを入れる。ドライドはそれに対し風刺詩をうたい、世間の評判をとった。対するトゥマーディルも、弟が戦死したときに見事な詩を吟じ、その才は男を凌ぐものと評価された。

「詩人フィンドとその二人の娘、女丈夫日輪オファイラと月輪ホゼイラ」
ジムマーン部族のフィンドは詩人ながら高名な騎士でもあった。強力な部族との戦いで、百歳になるフィンドも駆り出され、七十の軍勢を率いて参加したが、そのなかに彼の娘、日輪オファイラと月輪ホゼイラも含まれていた。「髪切りの日」と呼ばれる名高い戦がたけなわとなったとき、姉妹は丸裸となって両翼に展開し、詩をもって士気を鼓舞し、勝利につなげた。

「王女ファーティマと詩人ムラキースとの恋の冒険」
イラク地方のヌーマーン王は、王女ファーティマの操を守るため、宮殿に幽閉し番兵を立てて守らせていた。しかし王女はやがて詩人ムラキースと恋仲になり、こっそり引き入れるようになった。その方法は、侍女が背にムラキースを背負い、足跡がつかぬようにして運び入れるというものであった。
だがあるとき、ムラキースの友人が、背格好が似ているのを幸いに、入れ替わらせてくれと頼んでくる。別人であることに気づいた王女は男を叩き出し、ムラキースに別れの詩を送った。

「フジル王の復讐」
獰猛さで知られたフジル王は、留守にしている間に宿敵ジヤードの侵略を受け、愛妾ヒンドを奪われた。取り戻すために急追をかけたフジル王が斥候を出すと、ヒンドはジヤードと旧知の様子で、フジル王の悪口を言いながら戯れあっていた。この報告を受けたフジル王は、不意打ちをかけて一気にジヤードを殺し、ヒンドを馬裂きに処した。

「妻からの夫の品定め」
ヤマーンの女たちが夫の品定めをはじめ、あるものは口汚く罵り、あるものは尊敬を口にした。最後に預言者の妻アーイシャは、女性のあるべき姿に関しての夫の言葉を伝えた。

「両断者ウマル」
公正で私心なく、「両断者」と渾名されていた教王ウマルの小逸話集。

「歌姫空色のサラーマー」
音楽家のクーファ人ムハンマドの教え子で、もっとも容色を誇ったのは「空色」サラーマーだった。多くのものが彼女にかなわぬ恋をしたが、中でもイェジェード・ベン・アユーフは、恋に殉じることになった。ふた粒の真珠と引き替えに唇を奪った彼は、サラーマーの抱え主につけ狙われ、鞭打たれて死んでしまったのである。

「押しかけ客」
トファイルはあらゆる宴会に押しかけていく「碾臼男」の異名を持っていた。ある宴会で魚を賞味していた一同は、大きな魚を隠してトファイルに小魚を出す。大きい魚に気づいたトファイルは、小魚の一匹が、あそこに隠れている大魚が海で死んだあなたの父を食った仇ですよ、と囁いた、と小芝居をうつ。一同は笑って大魚をトファイルに差し出した。

「薄命の寵姫」
教王アル・マハディーは、長兄アル・ハーディーの死後は次子ハールーン・アル・ラシードに跡を継がせるように遺言した。即位したアル・ハーディーはアル・ラシードと母を妬んでいたが、あるとき、ついにマスルールを呼び出し、アル・ラシードの首を斬るように命じる。相談を受けた母ハイズラーン王妃が、アル・ラシードを隠して兄王に真意を問うと、アル・ハーディーが見た夢で、アル・ラシードが彼になりかわって愛妾ガーデルと戯れていたというのである。
王妃の説得で気をとりなおしたアル・ハーディーはガーデルと宴会をはじめるが、そのうちに足に腫れ物ができ、それが破れるとともに命を失ってしまった。その原因は、王妃がアル・ハーディーに飲ませたタマリンド入りのシャーベットの中にあった。
即位したアル・ラシードは、ガーデルらとともに酒宴を開く。ガーデルは、これは昨日兄王が見た光景であると指摘し、詩句をうたうと、突然地に倒れて死んでしまった。

「悲しき首飾り」
歌手ハーシェム・ベン・スライマーンは、アル・ラシードから下賜された首飾りを見て泣き出した。そのわけは以下のとおりである。
ハーシェムがシリアに住んでいたころ、ウマイヤ朝の教王アル・ワリード二世とふたりの歌姫が乗っている船に招かれた。はじめはハーシェムを下賎のものだと思いからかうつもりだった一行だが、彼が何者であるかに気づくと、歌姫のひとりは常々尊敬していることを明かし、教王から下されていた首飾りをハーシェムに贈った。
だがその歌姫は、船から足をすべらせて河に落ち、捜索にもかかわらず、ついにその姿を見つけることができなかった。悲しんだ教王は、ハーシェムから首飾りを譲り受け、かわりに財宝を贈ったのである。その首飾りが、アル・ラシードが征服した国々の財宝にまぎれ、回り回ってハーシェムの手に戻ってきたのである。

「モースルのイスハークと新曲」
歌手モースルのイスハークは、ヘジャズの音楽家マアバドの孫と知り合い、彼の祖父が遺したすばらしい音楽を聞かせてもらった。帰ったのちに耳コピしようと考えていたイスハークだが、どうしても旋律が思い出せない。ふたたびヘジャズへの旅を決心していると、ひとりの乙女があらわれ、かのマアバドの歌をうたう。イスハークは彼女の才能を認め、家に迎え入れて以後長く楽しんだ。

「二人の舞姫」
音楽家イブン・アブー・アティクは、その浪費のためにいつも貧乏していた。友人で教王の侍従アブドゥッラーが、彼の困窮をみかねて教王に紹介するが、望むものを与えるという教王に対し、イブン・アブー・アティクはその場にいたふたりの美しい舞姫を所望する。面目をつぶされたアブドゥッラーがイブン・アブー・アティクを訪ねると、彼は舞姫たちを両膝にのせて上機嫌であった。
それ以後もイブン・アブー・アティクは、細かいことを気にせず明るく楽しく暮らした。

「落花生油のクリームと法学上の難問解決」
最高法官ヤアクーブ・アブー・ユースフは、貧しい家に生まれたため少年のころ染物屋に奉公に出されたが、長老の説法を聞くためにたびたび店を抜け出していた。それを案じた母が長老をなじると、長老はいずれこの子はここで学んだことにより落花生油のクリームを食べる身分になるだろうと答えた。最高法官になったあと教王アル・ラシードと食事をしていると、たまたま落花生油のクリーム菓子が供された。法官は若きころの師の言葉を思い出し、その逸話を教王に語った。
また、ある夜、法官は突然教王に呼び出される。イッサが所有する女奴隷を譲ってくれと頼んでいるのに、頑として承知しないというのだ。イッサは、背いた場合にはすべての奴隷を解放し全財産を寄付する約束で、けして女奴隷を手放さない誓いをたてていたのである。法官は、女奴隷の半分を献上し、半分を売ることで、その難題を解決した。また、男の所有だった女奴隷が次の男の所有になるとき一定期間を待たなければならない決まりについては、女奴隷を解放して自由女性として結婚することで、それを回避した。

「泉のアラビア娘」
アル・ラシードの子、アル・マアムーンの嫁選び。

「しつこさの報い」
アル・マアムーンが即位するとき、異母兄王エル・アミーンとの争いが起こったが、戦いが終結したあともっとも頭を悩ませたのは、兄の母セット・ゾバイダの扱いであった。結局アル・マアムーンはゾバイダ妃を迎え入れるが、ゾバイダはいつまでも教王に対し恨みがましい目を向けていた。あるときゾバイダは教王を見ながら何やらもごもご言っていたが、それを見咎めたアル・マアムーンが問い詰めると、ゾバイダは次の話をした。
むかし教王と将棋の勝負をしたとき、負けた罰として裸で走り回ることを強要された。その屈辱を忘れず、次に自分が将棋に勝ったとき、一番醜く汚い女奴隷と寝る罰を教王に課した。そのとき、女奴隷と教王のあいだにできた子がアル・マアムーンである。あのときしつこく復讐しようとした報いで、自分はいま我が子を失っているのだ。

つづく。

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uruyaの日記: 完訳 千一夜物語 (十三) / 豊島与志雄・他 訳 その2

日記 by uruya

完訳 千一夜物語 (十三) / 豊島与志雄・他 訳 その2

海の薔薇とシナの乙女の物語
第九五四夜-第九五九夜
シャルキスターンの王ザイン・エル・ムールークに三番目の王子ヌールジハーンが生まれた。青年になった姿を目にすると王は盲目になるだろうという占いにより、遠くの宮殿に住まって成長するが、青年に達した王子を偶然見てしまった王は、はたして目が見えなくなる。視力回復に必要な、シナの王女が植えた海の薔薇を手に入れるため、王子は旅に出る。
旅の途中で出会った森の魔神は、王子の差し出す菓子がいたく気に入り、たちまち親友となった。王子の目的を知った魔神は、その薔薇は空の魔神たちが監視しているものだと言い、菓子の提供を条件に協力を約束する。王子をシナまで送り届けると、菓子を持って空の魔神たちの気を引き、そのあいだに王子は無事に海の薔薇を入手。戻る途中にシナの王女の寝姿を見た王子はたちまち目を奪われ、自分が来たしるしとして指輪を交換して立ち去った。
視力を取り戻した王は大いに喜び、王子に国の半分を与えた。王子は魔神に頼んで庭園に泉水を掘らせ、海の薔薇をそこに植えた。兄王子たちは、本件は妖しの術によるものだと訴えるが、王は次の話のように、全能者には不可能なことなどないのだとして兄王子たちを遠ざけた。

跡継ぎがないことを憂いていたインドの王に子ができたが、その子は女であった。王の嘆きを恐れた母は、その子は男であると周囲に信じ込ませ、男として育てた。やがて十五歳になった王女は嫁を迎えに行くことになり、道中途方に暮れていたが、途中出会った魔神はその悩みを聞き、お互いの性を交換することにした。本物の男として妻に接し男児を得た王女は、帰国する途中に魔神を訪ねて性を取り戻そうとする。だが魔神は、性を返せないと王女に告げる。この期間にほかの魔神と男女の仲となった魔神は、いまや子供を妊娠していたのである。

一方、薔薇がなくなっていることと指輪が交換されていることに気づいたシナの王女は、犯人を探すため多くの乙女を伴って旅をしていた。シャルキスターンに達してヌールジハーンの事績を聞いた王女は、彼が犯人であると知り、その姿を見てみようとする。すると、王子の美しさを認めた王女は、一目で恋に落ちてしまった。乙女たちの協力で恋文を交換し、ふたりはたちまち恋人となる。その仲を知った王は、いそいで彼らを結婚させた。

蜂蜜入りの乱れ髪菓子と靴直しの禍いをまきちらす女房との物語
第九五九夜-第九七一夜
カイロの靴直し職人マアルフには底意地の悪い女房ファティマーがいた。ある日マアルフは、蜂蜜入りの乱れ髪菓子を買ってくるよう妻に言われるが、その日まったく収入がなかったため、親切な菓子屋に砂糖黍蜜の乱れ髪菓子を恵まれて帰宅する。ファティマーは蜂蜜ではないことをさんざんなじったため、さすがに逆上したマアルフが手を上げると、最悪の夫婦喧嘩に発展した。翌朝彼は、女房が讒訴した法官らに連れられて、足の裏の棒打ち刑にかけられる。もう家に帰りたくなかった彼は、たまたま見かけた屋形船に乗り込み、船子としてあてもなく旅立った。
船は沈没し、マアルフはソハターン国ハイターンの町へ打ち上げられる。マアルフをたすけた裕福な商人は、となりの香料商人の長老の息子で、諍いをおこして出奔してしまった、かつての彼の親友アリであった。アリはマアルフを引き立て、大商人であると当国の市場に紹介。たちまち彼はそれなりの財を得、その鷹揚な態度は国王の耳に届くまでになった。
隊商が運んでいる財宝の存在を匂わせるマアルフを豪商人であると信じた王は、大臣の反対を押し切って彼を王女の夫とする。だが当然ながら、隊商はいつまでたっても到着しない。マアルフの大盤振る舞いにより国庫がカラになったとき、王は大臣の疑義もあって姫に事情を確かめるが、王女は言葉をとりつくろって夫の元に戻る。真実を聞き出した王女は、解決の方法を思いつくまでマアルフを一時退散させ、王と大臣には適当な嘘をついて時を稼いだ。
ある村にたどり着いたマアルフは、農夫に出会う。農夫が歓待の準備のため姿を消しているあいだ、農作業を手伝おうとした彼は、畑の真ん中に地下室をみつけた。そこには巨万の財宝と赤瑪瑙の指輪があり、指輪をこすってみると魔神があらわる。そこはアードの息子シャッダードの古い宝物蔵で、魔神はシャッダード王の奴隷であったものだった。魔神に命じて財宝を運び出し、隊商とご馳走を整えさせたところに農夫が帰ってくると、マアルフはご馳走に一切手を触れず、農夫が用意した食物のみを口にし、財宝の一部を渡して立ち去った。
こうしてマアルフは財宝を手にして王国に凱旋した。大臣はこの謎を解き明かそうと、酒に酔わせてへべれけにさせ、すべての話を聞き出す。そして隙を見て指輪を奪うと、魔神を呼び出してマアルフと王を砂漠に放逐させ、王女を我が物にしようとした。大臣の要求に応じるふりをした王女は、たくみに指輪をはずさせるとそれを奪い返し、魔神の力によって大臣を牢に入れ、王とマアルフを呼び戻させた。大臣は串刺し刑に処され、以後指輪は王女が管理することになった。
しばらく安泰な日々が続いたが、ある夜からマアルフと王女の寝室にファティマーがあらわれるようになる。夫の恐怖をみた王女は、これがかの悪妻であると知り、魔神によって庭の木に縛りつけ、ファティマーは性根を直すか死ぬかの運命となった。
それ以降はつつがなく日がすぎ、マアルフと王女は幸せな日々を送った。

つづく。

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uruyaの日記: 完訳 千一夜物語 (十三) / 豊島与志雄・他 訳 その1

日記 by uruya

完訳 千一夜物語 (十三) / 豊島与志雄・他 訳 その1

バイバルス王と警察隊長たちの物語(承前)
第九四〇夜-第九五四夜
「第三の警察隊長の語った物語」
漁師の女房に懸想した帝王は、大臣の悪知恵による難題をふっかけて漁師を殺そうとし、一アルパンの大広間に敷く一枚の布でできた絨毯を用意せよと要求する。女房は、これこれの井戸に行きって、中にいる女に自分が紡錘を忘れてきたと呼びかけろ、と言った。そうして手に入れた紡錘の中からは、どのような広さにも広がる絨毯が入っていた。
次に大臣は、最初が嘘ではじまり、最後も嘘で終わる物語をする生後一週間以内の赤子を連れてこいと要求。またも女房の言うとおり、井戸の女に紡錘を返して赤子を借りてくると、その赤子は要求どおり嘘で始まり嘘で終わる話を語り、さらに帝王と大臣の悪だくみを糾弾した。
漁師は赤子を井戸の女に返すと、もとどおり女房と仲睦まじく暮らした。

「第四の警察隊長の語った物語」
その漁師と女房には利口者ムハンマドという息子がおり、帝王の息子と同級生だった。ムハンマドを妬んで張りあっていた王子の讒言を聞いた帝王は、教師を抱き込んでムハンマドを殺そうとする。ムハンマドはさっさと学校をやめて漁師になるが、はじめての漁でつかまえた一匹のホウボウが、自分は海の女王なので焼かないでくれと訴えたので、海に返した。
またも大臣の悪知恵により、ムハンマドは遠い遠い「緑の地」へ、姫君を王の妃として迎えに行く旅に出ることになった。件のホウボウの助言によって王に黄金の船を建造させたムハンマドは、海の女王の力によってまたたくまに「緑の地」に到着する。当地の王たちが黄金の船を見物する隙をついて、姫君だけを船にのせたまま出発したムハンマドだが、船のなかで若い男女は、なすべきとおりのことになった。
到着すると姫君は、結婚の儀式として堀に敷きつめた薪に火をつけ、炎のなかを渡ってくるようにと要求する。帝王らはまずムハンマドを渡らせてみるが、ホウボウから呪文を教えられていたムハンマドは、何もなかったかのように通り抜けてみせる。次に帝王、王子、大臣の三人が炎のなかに飛び込むと、彼らはそろって灰になってしまった。
姫君と結婚したムハンマドは新たな帝王となり、父母を呼び寄せて幸せに暮らした。

「第五の警察隊長の語った物語」
機嫌がよければ怒らず、怒っていれば喜ばぬ銘の印象を手に入れるよう帝王から命じられた大臣は、あるアラビア人の長老の娘ヤスミーンが掘った「苦にせよ楽にせよ、およそあらゆる情はアッラーより我らに来たる!」という銘の印象を持ち帰った。帝王はヤスミーンを迎え、妻とした。
しばらくするとヤスミーンは体調を崩したので、海辺の別荘で休んでいると、ある漁師が銅の瓶を網ですくいあげる。彼女が瓶を欲すると漁師は口づけを求めるが、それを見ていた帝王は怒り、漁師を殺してヤスミーンを放逐した。身一つでさまようヤスミーンは親切な商人に助けられるが、銅の瓶は魔法の瓶で、開けると毎回なかから見事なごちそうと踊る女白人奴隷があらわれ、女奴隷たちは大金の入った財布を投げ渡して戻っていくのである。やがて彼女はその金で宮殿を建て、移り住んだ。
ヤスミーンを追放したことを後悔し、旅に出て探していた帝王は、みごとな宮殿に住んでいるものがいることと、そのものが魔法の瓶を所有していることを知った。王侯に扮したヤスミーンは、瓶を欲しがる帝王に、釜を掘らせれば譲り渡す、と伝える。帝王が尻を出したのを見て爆笑したヤスミーンが正体を明かすと、帝王もまた笑い、ふたりは仲直りした。

「第六の警察隊長の語った物語」
ある帝王の娘ダラルは、頭に虱がいるのを見つけて油の大甕のなかに入れた。そのまま忘れて月日がたち、王女が十五歳になったとき、虱が巨大に成長して甕を割った。帝王は虱の皮をはぎ、正体を言い当てたものにダラルを娶らせるとふれを出した。言い当てられなかったものは首をはねられ、虱の横に皮となってかけられたが、四十人の人間が皮になったとき、ついに言い当てるものがあらわれた。見事な青年はダラルを自国へ連れ帰ったが、じつのところその夫は、おそろしい食人鬼だったのである。
食人鬼はあの手この手で妻が自分の秘密を漏らさないか試すが、あるとき叔母の姿にばけた食人鬼に対し、ついに本音を吐いてしまった。自分を食べる前に浴場に行かせてくれと頼んだダラルは、物売りの老婆と入れ替わって逃走し、ある国にたどりつき、その国の王子と恋におちて結婚した。
白羊にばけて後宮にもぐりこんだ食人鬼は、ダラルを拉致する。自分を食べる前に厠に行かせてくれと頼んだダラルが厠で魔神に祈ると、女魔神があらわれて食人鬼の睾丸を蹴り、一撃で殺してしまった。女魔神は、そのかわりにエメラルドの海で一杯の水をくんでくれとダラルに頼む。魔神の息子の病気を治すのに必要だが、それは人間ではないと汲みとれないのだ。水を汲みとったダラルだが、水がかかったために、腕にエメラルドのしるしがついた。
さてエメラルドの海には衡り人がおり、常に水の量をチェックしている。盗んだものを探していた衡り人は、ダラルの腕のしるしをみつけると、彼女をエメラルドの帝王のもとに連れ帰った。ダラルの美しさを見た帝王は結婚を求めるが、彼女には夫がいるため、似たものとして彼女の娘をエメラルドの帝王に娶らせた。

「第七の警察隊長の語った物語」
藁のなかに隠れていた泥棒が放屁のためにつかまった。わざと放屁したのだと言い張る泥棒に、なぜ自分のためにならぬことをするのだと問い詰めると、自分のためではなくあなたのためにやったのだと答えた。警察隊長は泥棒を放免してやった。

「第八の警察隊長の語った物語」
子供がうまれた竪笛吹きが、一文無しだったため物乞いしに行こうとすると、鶏一羽と卵を拾った。するとユダヤ人がやってきて、法外な値段で卵を買うと、毎日生んだ卵を二十ディナールで売る契約を交わした。竪笛吹きはどんどん財を築いて裕福になり、子供が学校へゆく年齢になったころ、決してユダヤ人に鶏自体を売らないよう妻に言いつけると、ヘジャズへ巡礼の旅に出た。
ところが妻は、大金に目がくらんで鶏を売ってしまう。ユダヤ人はその場で鶏を締め、肉を煮るように妻に言いつけ、肉がひとかけでも欠けたら腹を断ち割って取り戻すと伝えた。ところが学校から帰った息子は尻の部分をつまみ食いする。ユダヤ人の目的はその尻の肉だった。少年は逃げだして旅に出たが、尻の肉の霊験で大力を得ていたため、ユダヤ人にみつかるが一発で男を叩き殺してしまった。
帰り道に迷って立ち寄ったある町の姫君も力自慢で、打ち負かしたものを夫にするとふれを出し、負けたものの首を切り落としていた。これに応じた少年は、王女と互角の戦いを演じる。しかしその力に不審を感じた医師団により体内の肉を取り出されると逃げ出し、魔法の絨毯の所有権を争っている集団のいるところに出くわす。言葉たくみに絨毯を巻き上げた少年は、それに乗って宮殿へ戻り、肉を取り戻して王女をさらいカーフ山の頂上に降ろすが、こんどは王女に絨毯を奪われ、山頂にとりのこされる。長い旅のすえもとの王宮にたどりついた少年だが、その途中、魔法のなつめやしの実を手に入れていた。
なつめやし売りに扮した少年が王女に黄色い果実を食べさせると、王女の頭から角が生え、周囲の壁にしっかりと彼女をつなぎとめてしまった。次に少年は医師に扮し、赤いなつめやしの粉を飲ませると、角はきれいに消え去った。功績により王女を妻とした少年は、正体をあかし、互角の力を持つ王と王妃としてその地を治めた。

「第九の警察隊長の語った物語」
なかなか子供が生まれない女が、亜麻の匂いを嗅いだだけで死んでしまうような子でもいいから、と祈ると娘が生まれ、シットゥカーンと名づけられた。娘が十歳のとき、王子がシットゥカーンの姿を見て恋をする。ある老婆の仲立ちで彼女は亜麻を紡ぐ習い事をすることになったが、亜麻が指の肉と爪のあいだに入ると、ぱったりと倒れてしまう。老婆は両親を言いくるめて死んだ娘を河の中に立てた亭に安置させ、そこへ王子を引き入れる。死体の指に亜麻があることに気づいた王子がそれを引き抜くとシットゥカーンは息をふきかえし、二人はそこで愛を交わした。
四十日後、王子は大臣を宮殿に連れ帰るためにその場を後にするが、途中で引き返して、また三日をシットゥカーンとすごす。それが何度か続いたとき、行ったり来たりする王子を不審に思った彼女が出ようとする王子の姿を盗み見ると、それに気づいた王子は、別れを告げて二度と戻らなかった。
嘆くシットゥカーンは指輪をみつけるが、それはスライマーンの指輪で、こすると魔神があらわれた。彼女は魔神に、王子のそばに御殿を建てることと、いっそうの美しさを得ることを望んだ。王子は御殿にいる美女を見ると、母親を通じて結婚を申し込む。王子が死んだとふれさせて自分の御殿の庭に体を安置することを条件に承諾したシットゥカーンは、逆に死者となってあらわれた王子をからかい、許した。

「第十の警察隊長の語った物語」
嫁を探す旅に出た王子は、韮を切っている農夫の娘を見初め、国に帰って韮国の王女を妻にむかえると宣言した。王妃が娘を迎えにいくが、娘は手に職のあるものでなければ結婚しないという。王は国中の組合長を呼び出して、一人前の職人にするにはどのくらいかかるか聞く。皆数年と答えるが、もっともひかえめであった機織りの職人は、一時間で可能だと答え、見事な機織りの技を伝授する。王は機織りを組合長のさらに長とし、王子はぶじに韮王女を妻にした。

「第十一の警察隊長の語った物語」
ある国の王子がうまれたとき、一頭の仔馬が生まれたため、王子と馬はともに成長した。歳月がたち、父王は女奴隷を後妻にむかえたが、この女には愛人のユダヤ人医師がいた。密会に邪魔な王子を毒殺しようとするが、馬が王子にそれを教えたため事なきを得る。失敗の原因が馬であることを知ったユダヤ人らは、まず馬を亡き者にしようと、その心臓を薬として王に所望する。王子は馬を連れて国を出奔し、馬と別れると、他国に至って庭師の水車係として働きだした。
その国の六番目の王女は水車係の若者に恋をし、姉らとともにハンカチを投げて夫を決めるよう王に求める。姉たちはいずれも気に入った若者たちの上にハンカチを落とし、六番目の王女もまた、目当ての若者にハンカチを落とす。六番目の王女の夫が貧しい水車引きであることを知り、王は病気になるが、その治療のため熊の乳が必要になり、夫たちが探しにいくことになった。王子は別れる際に渡されたたてがみを一本燃やして馬を呼び出すと、その力を借りて熊の乳を入手し、本来の美々しい若者の姿になって戻った。正しい乳を持ち帰った素晴らしい騎馬の若者が水車引きと同一人物だと知った王は、結婚を許した。
その後王子は軍勢を率いて自国に戻るが、父王はすでに亡くなり、国は女奴隷とユダヤ人医師のものとなっていた。王子は両人を捕らえ、串刺しの刑とした。

「第十二の警察隊長の語った物語」
子供のできない王と王妃に、あるマグリブ人が長男を自分に渡すことを条件として飴を渡すと、たちまち夫妻には三人の王子ができた。十年後、約束どおりマグリブ人は長男ムハンマドを連れて行き、三十日のあいだに魔法書を解読するよう言いつけて、できていなかったら片腕を切り落とすと宣言し姿を消す。最終日、解読できていないことに絶望していた王子は庭を散歩し、木に吊り下げられている少女を見つけて解放する。少女はマグリブ人に捕らえられたある国の王女で、魔法書をムハンマドに教えると、解読はできていないと報告するように言った。
マグリブ人は宣言どおりムハンマドの右腕を切り落とすと、もう三十日で解読できなかったら今度は首を切り落とすと言い残して再び行ってしまう。少女は三枚の植物の葉を取り出すと、これが魔術を完成されるためにマグリブ人が探しているものだと言って一枚をムハンマドの腕に貼ると、腕はもとどおりくっついた。そしてもう一枚の葉を揉むと二頭の駱駝があらわれ、ふたりはそれに乗ってそれぞれの国へ帰った。
帰ったムハンマドは、駱駝を市場で売れと宦官長に命じ、ただし綱は決して売らないようにいいつけた。しかし宦官長はうっかり綱も一緒に売ってしまい、それを買ったハシーシュ売りが駱駝に水を飲ませようとすると、駱駝はたらいの中に体ごと入って消えてしまった。ハシーシュ売りが騒いでいると、王子と王女を居ってきたマグリブ人があらわれる。そしてハシーシュ売りの手元に残っていた綱を買い取るが、それは何でもつかまえることができる綱で、王子はその魔力で捕まってしまう。
王女の国に至り、綱を噛み切って逃れたムハンマドは、庭園に柘榴の実となって姿を隠した。マグリブ人は帝王に面会し柘榴を求めるが、実がマグリブ人の手に降れるとはじけ、種の一粒に隠れていた王子は、隙をついて姿をあらわし、マグリブ人を剣で刺し殺す。王女の言葉によって、ムハンマドが彼女を助けた恩人だと知った帝王は、ふたりを結婚させた。

つづく。

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弘法筆を選ばず、アレゲはキーボードを選ぶ -- アレゲ研究家

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