uruyaの日記: 泣き虫弱虫諸葛孔明 / 酒見賢一
泣き虫弱虫諸葛孔明 / 酒見賢一
★★★☆☆
諸葛孔明とはどのような人物だったのかを解明したい。そもそも三国志というのは、人口の半数を死にいたらしめるような戦争が行われてもだれひとり自らの行いに恐怖しない、そんな殺伐とした時代の、たかだか八十年ぐらいのあいだに起きたできごとである。そんなとき颯爽とあらわれた愛と正義の人、史上最強の軍師と言われているのが諸葛孔明だ。たしかに孔明は、南蛮の酋長相手に火を吹く戦車のようなびっくりどっきりメカを使って見せるなど、はなばなしい活躍をしている。しかし相手が魏になると、何度も辺境を荒らし回っては連戦連敗しただけの男ではないのか。では、孔明はなぜ史上輝く軍略家とされるようになったのか。まずは世に言う「三顧の礼」を考察してみよう。
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虚飾を廃して孔明出盧あたりの事情を考察してみよう、という話です。で、虚飾を廃したはいいものの、みもふたもない描写で埋め尽くされてしまいました。孔明は宇宙がどうのこうのとなんだかわからん理屈をこねてるわけのわからん男だし、劉備はヘンな人望だけはあるフリークスじみた外見のごろつきどもの大将だし、関羽や張飛は戦場での殺戮を大いに好む稀代の殺人鬼だし。というか、見てきたような嘘で大いに虚を飾っているのは著者の方じゃないですか、というオチ。でもね、妙に説得力があったりもするんだな。劉備軍が山賊に毛がはえたようなもんだというのは、実際のところまずそんなもんだろうし。
タイトルから想像するような話ではありません。軽妙なユーモアで埋め尽くされた、笑える話。三国志世界を考察するというのを口実に、著者が地の文で登場人物にツッコミを入れてる。しかもスゲェくだらない。元ネタに気づくとおもわずニヤリとするような、引用ネタもあったりする。地の文を崩しているのはひとつのポイントでしょうね。著者を読者目線に引き下げてる。
終盤三顧に入ってくるとちょっとくどいかな。しかしこれは元ネタからしてくどいのであって、元ネタよりさらにくどいところも笑いどころかもしれない。
第弐部、第参部と続きがあるらしいので、酒見賢一的三国志世界はどんなものになるのか楽しみにしたいと思います。
あと当然ながら、本書を読むにはどういう形であろうが三国志知識が必須です。知らなくても書いてある意味はわかるだろうけど、登場人物の「いじられ方」がわからない。
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