y_tambeの日記: タミフル耐性新型インフルエンザウイルス
日記 by
y_tambe
国内でも出ましたね。H275Yだそうな。
タミフル(オセルタミビル)耐性のインフルエンザウイルスでは、ノイラミニダーゼ(NA, N)のアミノ酸に変異が生じており、タミフルの結合能が低下していることが、昨年のNatureに出た論文などで報告されてます。これまで、His274Tyr(=H274Y:NAの274番目のヒスチジン→チロシン)、Asn294Ser、Arg292Lysなど、いくつかの点変異によるものが見つかってますが、この中で最も重要な変異とされるのがHis274Tyrで、Natureの論文によると、変異前のものと比較するとタミフルのKiが265倍(大雑把かつ極端に言うと、タミフルを一度に265錠飲まないと同等の効き目が出ない ;-P)と、非常に大きくなってます。なおこの変異でのリレンザ(ザナミビル)のKiは変異前の1.9倍なので、こちらの方は耐性と呼ばれるレベルには達してません。
基本的にタミフルもリレンザも、どちらも標的であるノイラミニダーゼと結合して阻害するもので、またその結合する部位もほぼ共通なのですが、薬剤の立体構造の微妙な違いのため、どちらかというとリレンザの方が耐性ウイルスの出現頻度が低い傾向にあるというのが、ここ一年くらいの間に明らかになってきてます。
#まぁその分、というか、リレンザは吸入薬になる分、投与量のコントロールなどの面で扱いづらいのですが。
なお今回国内で見つかった変異は、H275Yと呼ばれてますが、これはH274Y(His274Tyr)と同じものです。元々、この変異はH3N2亜型のN2の274番目のヒスチジンの点変異として見つかったものですが、H1N1の持つN1ではこのヒスチジンが275番目になってるので。論文などでは、H3N2のもの、もしくはH3N2とH1N1, H5N1などを総称して論じるときには「H274Y」と呼んでますが、今回のはH1N1での話なのでN1でのナンバリングに従って、IDSCなどでは「H275Y」と表記しています。
まぁ、実際のところ「タミフル耐性」と呼ぶかどうかは、むしろ臨床的にタミフルが効くかどうかの方が決定的になるんで、本当を言うと、このような変異があるウイルスが分離された*だけ*の段階では、厳密には「タミフル耐性の可能性があるウイルスが分離された」というのが正しい扱いになります……つっても、さすがにこれだけKiが違うものだと、まず間違いなく臨床的にもタミフルは効かないだろうという予測がたつのと、実際、今回の検体は、患者と濃厚接触があってタミフル予防投与を行っていた人で、途中からリレンザに切り替えてるようですから、臨床的にも「タミフル耐性」だった、という表現で問題ないでしょう。
#今日の午前中のニュースの段階では、「耐性に見られる変異が見つかった」というだけで、臨床の効果や変異の詳細が不明だったので、その段階では「タミフル耐性が国内でも発生」はミスリードな見出しでした。午後に医療介護CBニュースに出た詳細な内容から言うと、その見出しで問題ありません。
タミフル(オセルタミビル)耐性のインフルエンザウイルスでは、ノイラミニダーゼ(NA, N)のアミノ酸に変異が生じており、タミフルの結合能が低下していることが、昨年のNatureに出た論文などで報告されてます。これまで、His274Tyr(=H274Y:NAの274番目のヒスチジン→チロシン)、Asn294Ser、Arg292Lysなど、いくつかの点変異によるものが見つかってますが、この中で最も重要な変異とされるのがHis274Tyrで、Natureの論文によると、変異前のものと比較するとタミフルのKiが265倍(大雑把かつ極端に言うと、タミフルを一度に265錠飲まないと同等の効き目が出ない ;-P)と、非常に大きくなってます。なおこの変異でのリレンザ(ザナミビル)のKiは変異前の1.9倍なので、こちらの方は耐性と呼ばれるレベルには達してません。
基本的にタミフルもリレンザも、どちらも標的であるノイラミニダーゼと結合して阻害するもので、またその結合する部位もほぼ共通なのですが、薬剤の立体構造の微妙な違いのため、どちらかというとリレンザの方が耐性ウイルスの出現頻度が低い傾向にあるというのが、ここ一年くらいの間に明らかになってきてます。
#まぁその分、というか、リレンザは吸入薬になる分、投与量のコントロールなどの面で扱いづらいのですが。
なお今回国内で見つかった変異は、H275Yと呼ばれてますが、これはH274Y(His274Tyr)と同じものです。元々、この変異はH3N2亜型のN2の274番目のヒスチジンの点変異として見つかったものですが、H1N1の持つN1ではこのヒスチジンが275番目になってるので。論文などでは、H3N2のもの、もしくはH3N2とH1N1, H5N1などを総称して論じるときには「H274Y」と呼んでますが、今回のはH1N1での話なのでN1でのナンバリングに従って、IDSCなどでは「H275Y」と表記しています。
まぁ、実際のところ「タミフル耐性」と呼ぶかどうかは、むしろ臨床的にタミフルが効くかどうかの方が決定的になるんで、本当を言うと、このような変異があるウイルスが分離された*だけ*の段階では、厳密には「タミフル耐性の可能性があるウイルスが分離された」というのが正しい扱いになります……つっても、さすがにこれだけKiが違うものだと、まず間違いなく臨床的にもタミフルは効かないだろうという予測がたつのと、実際、今回の検体は、患者と濃厚接触があってタミフル予防投与を行っていた人で、途中からリレンザに切り替えてるようですから、臨床的にも「タミフル耐性」だった、という表現で問題ないでしょう。
#今日の午前中のニュースの段階では、「耐性に見られる変異が見つかった」というだけで、臨床の効果や変異の詳細が不明だったので、その段階では「タミフル耐性が国内でも発生」はミスリードな見出しでした。午後に医療介護CBニュースに出た詳細な内容から言うと、その見出しで問題ありません。
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