y_tambeの日記: 新型インフルエンザワクチン
日記 by
y_tambe
基本的な知識を得るのに役立つリンク二つ。
http://www.nih.go.jp/niid/topics/influenza01.html(感染研)
http://med2.astellas.jp/jp/infection/vin_dekirumade/main.htm(旧・化血研:アステラス製薬)
現在、日本で使われている従来型に対するワクチンは、HAワクチンと呼ばれますが、これはSV (subvirion) ワクチンと呼ばれる成分ワクチンの一種であり、ふ化鶏卵で増殖させたウイルスをエーテル処理することにより、インフルエンザウイルスの持つ膜構造(エンベロープ)を除いたものです。これに対して、海外からの輸入が検討されているものについては、WV(Whole virion)ワクチンと呼ばれる、ウイルス粒子をホルマリンなどで不活化処理したタイプのものが多いと思われます。
実は、日本でも以前はWVタイプのインフルエンザワクチンが使われていましたが、副作用の問題からSVワクチンに切り替えられたという経緯があります。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/living/health/293586/この辺りのニュースで見られる、専門家の慎重な意見というのは、こういった事情によるものです。
また、ふ化鶏卵以外でのワクチン製造方法についてですが…これはまだ実用段階には遠いな、というのが正直なところです。ふ化鶏卵以外でのウイルス複製については、一応、培養細胞を用いた実験系で可能ですが、このためには培地中にトリプシンを加えておくなど、やや特殊な培養方法を行う必要があり(強毒型なら必要ないんだけど…ねぇ)、大量合成が困難かつコスト高になります。
また、一応HAワクチンは「成分ワクチン」という分類なので(厳密には、度合いを高めた精製ワクチンというイメージなんだけど)、インフルエンザのHAタンパク質だけ大量合成できれば…というアイデアもあります。ただしHAタンパクは糖タンパク質で、しかもその糖鎖の構造が抗体との反応性に重要になってきます。良く知られているような、大腸菌を用いたタンパク大量発現系では、この糖鎖修飾ができない(元々、糖鎖は真核細胞の小胞体、ゴルジ体内部で付き、大腸菌などの細菌を含む原核生物には、これらの細胞内小器官はない)ので使えません。期待できるのは、酵母や昆虫細胞(いずれも真核細胞)を使った発現系なのですが、これらの系でもまだHAワクチンの大量合成は実現できてない、という段階です。また、仮にHAの大量合成が出来たとしても、それが本当にワクチンとして使い物になるかは、臨床で試してみないと判らない、ということになりますので…実用化にはどれだけ早く見ても、これから年単位の時間が必要になります。
#ついでに言うと個人的には、NPとかMなど、表面抗原以外を標的とした、いわゆる「パンインフルエンザワクチン」についてはやや懐疑的だったりします……中和効果低そうだし。まぁもちろん本当に出来て効果があるのならば素晴らしいことだけど。
とりあえず、ニュースなどでも手洗いやうがい、マスク着用の励行が行われてます。まぁ、感染リスクを減らすために出来る対策としては、ある程度出尽くした感もあります。あと、これに追加するなら「今のうちから、毎朝体温を計る」習慣をつけておくと、初期発見に有効だと思われます。あとまぁ、実際に発症した場合には医者の指示に従うのはもちろんではあるのだけど、念のために、アセトアミノフェンによる解熱剤を一つ常備しておくと安心かもしれません。
http://www.nih.go.jp/niid/topics/influenza01.html(感染研)
http://med2.astellas.jp/jp/infection/vin_dekirumade/main.htm(旧・化血研:アステラス製薬)
現在、日本で使われている従来型に対するワクチンは、HAワクチンと呼ばれますが、これはSV (subvirion) ワクチンと呼ばれる成分ワクチンの一種であり、ふ化鶏卵で増殖させたウイルスをエーテル処理することにより、インフルエンザウイルスの持つ膜構造(エンベロープ)を除いたものです。これに対して、海外からの輸入が検討されているものについては、WV(Whole virion)ワクチンと呼ばれる、ウイルス粒子をホルマリンなどで不活化処理したタイプのものが多いと思われます。
実は、日本でも以前はWVタイプのインフルエンザワクチンが使われていましたが、副作用の問題からSVワクチンに切り替えられたという経緯があります。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/living/health/293586/この辺りのニュースで見られる、専門家の慎重な意見というのは、こういった事情によるものです。
また、ふ化鶏卵以外でのワクチン製造方法についてですが…これはまだ実用段階には遠いな、というのが正直なところです。ふ化鶏卵以外でのウイルス複製については、一応、培養細胞を用いた実験系で可能ですが、このためには培地中にトリプシンを加えておくなど、やや特殊な培養方法を行う必要があり(強毒型なら必要ないんだけど…ねぇ)、大量合成が困難かつコスト高になります。
また、一応HAワクチンは「成分ワクチン」という分類なので(厳密には、度合いを高めた精製ワクチンというイメージなんだけど)、インフルエンザのHAタンパク質だけ大量合成できれば…というアイデアもあります。ただしHAタンパクは糖タンパク質で、しかもその糖鎖の構造が抗体との反応性に重要になってきます。良く知られているような、大腸菌を用いたタンパク大量発現系では、この糖鎖修飾ができない(元々、糖鎖は真核細胞の小胞体、ゴルジ体内部で付き、大腸菌などの細菌を含む原核生物には、これらの細胞内小器官はない)ので使えません。期待できるのは、酵母や昆虫細胞(いずれも真核細胞)を使った発現系なのですが、これらの系でもまだHAワクチンの大量合成は実現できてない、という段階です。また、仮にHAの大量合成が出来たとしても、それが本当にワクチンとして使い物になるかは、臨床で試してみないと判らない、ということになりますので…実用化にはどれだけ早く見ても、これから年単位の時間が必要になります。
#ついでに言うと個人的には、NPとかMなど、表面抗原以外を標的とした、いわゆる「パンインフルエンザワクチン」についてはやや懐疑的だったりします……中和効果低そうだし。まぁもちろん本当に出来て効果があるのならば素晴らしいことだけど。
とりあえず、ニュースなどでも手洗いやうがい、マスク着用の励行が行われてます。まぁ、感染リスクを減らすために出来る対策としては、ある程度出尽くした感もあります。あと、これに追加するなら「今のうちから、毎朝体温を計る」習慣をつけておくと、初期発見に有効だと思われます。あとまぁ、実際に発症した場合には医者の指示に従うのはもちろんではあるのだけど、念のために、アセトアミノフェンによる解熱剤を一つ常備しておくと安心かもしれません。
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