こんなこと書いたんだけど、実際にリニアの名古屋－新大阪間が開業する時、途中駅が亀山に併設され、各停便が1時間1往復くらい停車するようになったとしたらどうなるだろう。
所要時間は名古屋から10分、新大阪から20分程度だろう。特急料金がかかるとは言え名古屋・大阪から隣の市に行くレベルの時間でアクセスできるようになるのだから、亀山市自体の立ち位置が大きく変わることは間違いない。

ではリニアと競合することになる在来線はどうか。
直接路線がかぶる関西本線名古屋－亀山は、四日市とか桑名とか中間都市間流動の方が重要で全線の直通客はむしろマイナーだし、元々特急は走ってないのでドル箱持ってかれるみたいな話にもならない。逆に亀山近辺からリニアに乗り継ぐ需要が出てくる可能性がある。
JR西日本持ちの関西本線亀山－加茂も見かけ上はリニアと並行するけど、広域輸送とは全然関係ない世界のローカル線なので持ってかれる客はほとんどいない。
# それ以前に、この区間はJR西の公表値を見てもかなりやばいレベルだし、
# リニア開業を「言い訳」にして廃止するくらいならもっと前に潰してるだろう。
# JR西にはもっと酷い路線もあるわけだが…
むしろ亀山停車が1本/時程度なら、今と運行本数変えなくても接続考慮したダイヤ組んで需要喚起できるわけだから、やはりリニアが来た方がありがたいんじゃないか。

次に、リニア亀山駅をハブにして鉄道アクセスを改善したら、並行路線てか近鉄が潰れるかって件。
リニアの亀山停車便に接続して現行の快速〈みえ〉のような列車を想定する。
亀山－津は現行の普通列車で20分程度だけど、途中駅を通過すれば15分くらいで行けそうだ。その先は〈みえ〉の所要時間で考えると松阪まで30分。ただし単線なので交換待ちの影響で伸びる可能性はある。

名古屋からだとリニアで亀山まで10分、乗換時間10分として津までは最速35分ということになる。並行する近鉄の所要時間は、特急で45～50分（JRの快速〈みえ〉も同程度）だけど、近鉄特急は1時間に3～4本あるので、亀山停車のリニアがちょうど出るタイミングならともかく、次を待つなら他の電車に乗った方が早い。近鉄には、所要は1時間になるけど別料金不要の急行も3本/時あるし。その先伊勢方面へはそのまま在来線同士なので時間差は変わらず、名伊間ではリニア利用の方が一応早いがトータルで優位とは言えないかな。

新大阪からだと亀山まで20分とすると所要時間は名古屋発より10分増の津まで45分、松阪までなら1時間くらいだろう。対して近鉄特急は大阪難波から津まで1時間20～30分、松坂まで1時間30～40分、その差は30分以上と大きいけれど、大阪側の出発/目的地がミナミ寄りならターミナルまでのアクセス時間で埋められる分があるし、リニアは途中乗換が必須になる手間とか運行本数が近鉄特急は1時間2～3本あることも考えれば、阪伊間でも近鉄はそれなりに競争力は持てそう。

仮にリニアの亀山停車本数がもっと多いとしても、在来線側が単線なので連絡する列車を増やすのは難しいし、そのために複線化するかというとそれもなさそうだから、対伊勢需要に対するリニアの取り分で近鉄を「潰す」までにはいきそうもない。何かあるとすれば30年も先のことなので、時代による交通需要の変化の方が大きいだろう。