yasuokaの日記: Dvorak配列の登場
第二次世界大戦まっただ中の1936年、ドヴォラック(August Dvorak)博士はQwerty配列に対抗する形で、独自のDvorak配列をアメリカ海軍のもと、研究・開発した。
1936年が「第二次世界大戦まっただ中」ってのは、どういう歴史認識なのだろう? そもそも、August DvorakがいわゆるDvorak配列を提案したのは1932年のことで、真珠湾攻撃や盧溝橋事件はおろか、日本の国際連盟脱退すら起こっていない。また、提案当時August Dvorakは、University of WashingtonのDepartment of Educationに勤めており、United States Naval Reserveに移ったのは1942年のことだ。すなわち、August DvorakがいわゆるDvorak配列を開発したのは、University of Washingtonにおいて、あるいはもうちょっと遡ったとしてもUniversity of Minnesotaにおいてであり、アメリカ海軍は関係ない。August Dvorakが、第二次世界大戦中にアメリカ海軍で開発したのは、Richard B. Lewisの『Scientific One-Hand Typing』(Popular Science, Vol.148, No.3 (March 1946), pp.131-133)にもあるとおり、片手用のキー配列だ。
そもそもこの記事は、ANSI X4.22(のちにANSI X3.207を経て、現、ANSI INCITS 207)のことを「ANSIの第二標準」などと書いており、Dvorak配列のことをこれっぽっちも調べていないのは明らかだ。ま、どうせ、この山本宏樹とやらは『エルゴノミックキーボード』の宣伝をしたいだけなのだろうから、仕方ないと言えば仕方ないのだが。
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