パスワードを忘れた? アカウント作成
28161 journal

yasuokaの日記: 人名用漢字の凜と凛 1

日記 by yasuoka
人名用漢字の新字旧字のネタを拾うべく、法律系雑誌のバックナンバーをあさっていたら、『家庭裁判月報』の2004年6月号「市町村長の処分不服申立審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件」(最高裁判所第三小法廷 平成15年(許)第37号)のp.139に妙な記述を見つけた。

原決定の判断は,以下のとおり,抗告裁判所である福岡高等裁判所の平成14年10月31日決定(同裁判所平成14年(ラ)第297号事件。以下「福岡高裁決定」という。)と相反している。
唐津市長(同事件抗告人)に対し,同事件相手方は,その子の名を「凜」とする出生届を提出したが,唐津市長は「凜」の文字が戸籍法50条2項及び施行規則60条に定める制限文字以外の文字であることから,同日,上記出生届を不受理とした。
同事件相手方は法118条に基づく不服申立て(佐賀家庭裁判所唐津支部平成14年(家)第180号事件)をし,佐賀家庭裁判所唐津支部は,平成14年8月8日,唐津市長に対し上記出生届の受理を命ずる旨の審判をした。

「凜」は平成2年3月1日の戸籍法施行規則改正(平成2年法務省令第5号)で人名用漢字となっている。平成14年時点で「凜」を含む出生届を不受理にするのは、どう考えてもおかしい。年号が間違っているのではないか、と思ったが、福岡高等裁判所に訊ねた限りでは、「福岡高等裁判所 平成14年(ラ)第297号」の原審は確かに「佐賀家庭裁判所唐津支部 平成14年(家)第180号」だった。どうやら「平成14年」は正しいようだ。

だとすると、「凜」の方が間違っていると考えられる。これがたとえば「凛」の誤植ならば、「凛」は平成16年9月27日の戸籍法施行規則改正(平成16年法務省令第66号)以前は人名用漢字ではなかったので、話のツジツマは合う。だが、『家庭裁判月報』は最高裁判所事務総局の刊行だ。最高裁判所事務総局が刊行している最高裁判所決定に、複数の個所で同じ誤植なんてこと、ありうるのだろうか。うーむ…。

この議論は、yasuoka (21275)によって ログインユーザだけとして作成されたが、今となっては 新たにコメントを付けることはできません。
typodupeerror

目玉の数さえ十分あれば、どんなバグも深刻ではない -- Eric Raymond

読み込み中...