yasuokaの日記: イノベーション屋の書くQWERTY配列 5
日記 by
yasuoka
『キーボード配列 QWERTYの謎』(NTT出版, 2008年3月)の読者から、田中洋の「マーケティングのキーコンセプト #2 イノベーター」(Web版SPACE, 001号, 2009年7月)を読んでみてほしい、と連絡があった。
しかしQWERTYは実際にはとても「できの悪い」配列です。例えば英語で一番頻出するEなどは中指で上段のキーを叩かなければなりません。非常に不便な配列なのです。
それもそのはず、QWERTY配列はもともとタイピストの時代に「わざと」キー操作を難しくして設計されたものだからなのです。なぜわざと難しくしたのでしょうか。それは、早くタイプしようとすると当時のタイプライターの活字バー同士がからんでしまうために、早く打てないよう配列を不便にした、というわけです。
Everett M. Rogersの『イノベーションの普及』(翔泳社, 2007年10月)に騙されたらしいが、「早く打てないよう配列を不便にした」というのは全くのガセネタだ。このネタは、Robert Sharon AllenとAugust Dvorakが、Dvorak配列を宣伝するために、QWERTY配列に対するイチャモンとして言い出したもので、実は何の根拠もない。というか、QWERTY配列における「th」や「er」の配置を考えれば、このネタが如何にアヤシイかぐらい、わかりそうなものだ。
James M. Utterbackもそうだったが、どうやらイノベーション屋といわれる連中は、「アンチQWERTY説」の片棒をかつぎたいらしい。結局こうやって、QWERTY配列に関するガセネタは、どんどん広まっていくのだろう。
みんなそう信じてるッスよ (スコア:2)
どっちかというと、そう信じてない人のほうが少数派のような気がします。
啓蒙不足ってことでしょう。
啓蒙不足というか (スコア:1)
正誤に関わらず、充分な調査の後に文章を書く人は、
ある話題について、一度しか(あるいは少ない回数しか)
語らない印象があります。
後から、その話題に言及する時は「以前に書いたように」などと、
間接的にポイントする事が多いような。
一方、思いつきで文章を書く人や、
聞きかじったり、読みかじった話を孫引く人は、
精力的に、何度でも、同じ話を繰り返します。
そのような人は、多くおられるように思えます。
「qwerty配列の不合理」説は、後者の人々によって
語られる事が多いように、見受けられます。
(リンク先の田中 洋氏がどうこう、って話じゃなくて)
情報が伝播する要因として、後者のような人々の存在は、
大きな影響力を持つのではないでしょうか。
/*
「不合理な部分もあるかもしれないが、
qwerty配列も、それなりに考えられたキー配列だ」
というよりは、
「普段使っているキー配列には、誰も指摘しないが、
実は重大な欠陥があるんだよ、ええーなんだって!」
というほうが、話として面白いという点も、
この手の話が流布する要因の、一つではないでしょうか?
*/
「アンチQWERTY説」が流行る理由 (スコア:1)
『キーボード配列 QWERTYの謎』のpp.174-175にも書いたのですが
ってことなんでしょう。
と思っていたら、元の記事 [mainichi.co.jp]からQWERTYネタが削除されたようですね。まあ、これで、一段落、かな?
Re:「アンチQWERTY説」が流行る理由 (スコア:1)
ナシーム・ニコラス・タレブの『まぐれ』(ダイヤモンド社, 2008年1月)にも「アンチQWERTY説」が紹介されてました。
288ページ目です。
ナシーム・ニコラス・タレブの『まぐれ』 (スコア:1)