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yasuokaの日記: ベル電話研究所「Model I」のキー配列

日記 by yasuoka

コンピュータ端末の元祖になった電信機「テレタイプ」』(電子情報通信学会誌, Vol.93, No.1 (2010年1月), pp.12-16)の読者から、ベル電話研究所の「Model I」(1940年1月稼動)に接続されたテレタイプ端末はQWERTY配列だったのか、というご質問をいただいた。結論から言えば、QWERTY配列ではない。

「Model I」に接続されたテレタイプ端末は、Ernest Galen Andrewsの論文『Telephone Switching and the Early Bell Laboratories Computers』(Bell System Technical Journal, Vol.XLII, No.2 (1963年3月), pp.341-353)のFigure 1で見る限り、上下2段の20キーで、キー配列は

=  M  D  +  - +i -i  E  C  T
0  1  2  3  4  5  6  7  8  9

となっていた。シフトキーはない。これらのキーは複素数の四則演算に特化されていて、たとえば「(-7+22i)÷(4+5i)」を計算する場合は

「D」「+」「4」「+i」「5」「-」「7」「+i」「2」「2」「=」

と入力すれば、除算結果がプリントアウトされる仕組みだった。最初に「M」を押すと乗算、「C」を押すと加算がおこなわれる。「T」はテストを意味し、通信が正常なら「Model I」の状態によってピリオド6つか「YYYYYY」がプリントアウトされる。「E」はリセットキーである。

ちなみに、「Model I」ことComplex Computerの設計に関してはU. S. Patent No.2668661に、端末の設計についてはU. S. Patent No.2434681に、それぞれかなり詳細に記述されている。興味のある方は、↑の論文と共に熟読されたい。

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