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日本

yasuokaの日記: ISO 3602をヘボン式に改正要求

日記 by yasuoka

図書館ガラミの話の中で、「ISO 3602はヘボン式になるのか」との御質問をいただいた。あくまで私(安岡孝一)の意見だが、残念ながら、やはりヘボン式になると思う。とりあえず現状を整理してみよう。

ISO 3602:1989 Documentation ― Romanization of Japanese (kana script)は、図書館系での日本語ローマ字をメインターゲットにした規格で、いわゆる訓令式ローマ字が規定されている。昨年3月のISO/TC46での投票では、ISO 3602は7:1でconfirm(現状維持)されたのだが、この時revise票を投じたドイツDINが結構しつこくて、今年の頭にKlaus Gottheiner起草のNew Work Item ProposalをISO/TC46に提出してきた。日本の現実として、訓令式よりもヘボン式の方がはびこっている(特に地名人名)のだから、ISO 3602もヘボン式にすべきだ、という提案だ。で、このNWIPが賛成多数で可決され、今年5月のISO/TC46でNWIPが承認されたので、次は、ISO 3602をどう改正するか、という議論が始まることになる。

まあ、確かにこの提案も、うなずけるものではある。たとえば、私の著書『新しい常用漢字と人名用漢字』の奥付には、「© YASUOKA Koichi 2011」と記してある。国外の図書館がこの本を受け入れた際に、著者名をあえて「YASUOKA, Kôiti」とするのは、現場としてはかなり抵抗があるだろう。でも、改正後のISO 3602がヘボン式一本槍ってのも、それはそれで、また難しい気がする。たとえば、「なんば」とか「はっちょうぼり」とかをヘボン式で正しく書くのは、非英語圏の図書館員には困難だと思うし、「くゎんぱく」をどうするかという問題もある。うーん、『ローマ字のつづり方』(1954年12月9日内閣告示第1号)にならって、訓令式とヘボン式の両論併記かなぁ…。

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