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政府

yasuokaの日記: The Water Flows On, But The River Remains. 2

日記 by yasuoka

Caroline B. Kennedy (次期)駐日大使が8月28日におこなった演説の中で、「日本の格言に“水は流れても川は残る”という言葉がある」(サンケイ記事)と不思議な「日本の格言」を引用して話題になっている。2分たらずの演説だが、私(安岡孝一)の見たところ、この「格言」は、昭和21年6月25日の帝国議会における金森徳次郎(憲法担当国務大臣)の答弁を、引用したものだと考えられる。

根本ニ於キマシテ我々ノ持ツテ居ル國體ハ毫モ變ラナイノデアツテ、例ヘバ水ハ流レテモ川ハ流レナイノデアル、私共ノ憲法草案ニ關シマスル基本ノ觀念ハサウ云フ點ニ存在シテ居ルノデアリマス

ただし、Kennedy (次期)駐日大使は、金森の答弁を日本語で読んだわけではないだろうから、たとえば、John W. Dowerの『Empire and Aftermath』(Harvard University Press, 1979)のp.325あたりから孫引きした可能性も考えられる。

Kanamori, ostensibly the Yoshida cabinet's legal expert, was no less emotional when it came to discussion of the emperor and polity. There was no rupture, no conflict whatsoever, between democracy and the Japanese monarchy, he argued at one point. And again: “The water flows, but the river stays. In this point lies our basic conception concerning the draft constitution.”

もちろん、金森としては『方丈記』が念頭にあって、この答弁をおこなった可能性が高い。しかしKennedy (次期)駐日大使は、『方丈記』の、たとえばDonald Keene訳を引用しているわけではない。あくまで、日本国憲法草案に対する金森の答弁を引用している、という点に注意が必要だろう。

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