yasuokaの日記: 「専門性を持つIoTプロフェッショナル」が考えるユーザーインターフェースの歴史
「読売新聞とQWERTY配列」の読者から、清水亮の「全てのUIは消耗品である、とりあえず今のところ」(WirelessWire News、2015年4月8日)を読んでほしい、との御連絡をいただいた。読んでみたのだが、何というか、算数のできない学生のレポートのようで、こういうのがWirelessWire Newsの言う「専門性を持つIoTプロフェッショナル」なのだなぁ、と嘆息が出た。たとえば、この部分。
1946年にリリースされたUNIXは、現在のLinuxやMacOSのカーネル(Darwin)の先祖とも言うべきものですが、基本的に変わっていません。
1946年だと、まだEDSACも動いてないんだけど。そんな時代にリリースされたUNIXってのは、私(安岡孝一)自身は見たことがない。
さらにUNIX上のGUI環境であるX-Window Systemは、1984年に最初のバージョンが開発され、1987年までになんと11回のバージョンアップを繰り返し、X11と呼ばれる現在の完成形になります。
X1からX11までのバージョンアップが「11回」って、どこをどう数えればいいんだろ。それにX8って、そもそも公式リリースされたっけ?
19世紀に発売されたタイプライター、「ハンセン ライティングボール」はその名の通り、こんな球形をしていました。このタイプライターはニーチェが使っていたことで有名です。ここから放射状にキーを配置したもの、ダイヤルを使ったものなど様々な形状が試されました。最終的に現在の形の原型がうまれたのは1868年にSholes and Glidden typewriterが発明されたときです。このとき初めて、タイプライターのハンマーが絡まらないよう、わざと指の動きを大きくするために文字をバラバラに配置したQWERTYキーボードが発明されます。
「ニーチェのタイプライター」にも書いたが、Malling-Hansen Skrivekuglenをニーチェが手に入れたのは、1882年のことだ。一方、1868年の時点だと、Christopher Latham Sholesのタイプライターは、まだ印刷電信機のキーボードを模したものだった。現在のQWERTY配列が現れるのは1882年のことだが、それはMalling-Hansen Skrivekuglenやニーチェとは何の関係もない。
ユーザーインターフェースの歴史を書きたいのなら、正直、もうちょっと科学技術史を勉強しなおした方がいいと思う。でもまあ、こんなヨタ記事、本人(清水亮)にとっても読者にとっても、単なる「消耗品」に過ぎないのだろう。
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