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日記

chuukaiの日記: 「行動ターゲティング広告ガイドライン」が尊重されずオプトアウトしにくくなっているのは問題だ 1

日記 by chuukai
 サイトの訪問履歴を利用した行動追跡広告においては、行動履歴情報を取得するために色々なサイトでcookieを配布・収集しています。その規模の大きさから、もし行動履歴情報が個人情報と結びつくと大規模なプライバシーの侵害となりえます。
 サイトを訪問した人がこの事象を予防するために最も効果的な方法は、サーバーから配布されるcookieをブラウザの設定またはアドオンなどで拒否することですが、どのcookieが行動追跡広告に利用されているのかわかりにくいので、分別する手間が大変なことや、結果的に過剰にcookieを防がなければならない等の問題があります。
 別の方法として、一般社団法人インターネット広告推進協議会(JIAA)が制定した「行動ターゲティング広告ガイドライン」(PDF,220.0KB)に基づいて提供される「広告提供事業者が行動履歴情報を収集することの可否、広告提供事業者が行動履歴情報を利用することの可否を容易に選択できる手段」として、オプトアウトがあります。
 このガイドラインでは「オプトアウト」とは言っていませんが、例えばこの対応表で見られるとおり、利用者関与の手段は「オプトアウト」(=追跡機能の無効化のリンクを押すこと)として提供されることがほとんどのようです。そしてガイドラインは「自社サイトの分かり易いページから簡単にアクセスできる領域で提供する」こととしています。

 このガイドラインは平成22(2010)年6月24日に改定されましたが、比較的最近のことであるにもかかわらず、現状はガイドラインを反故にするかのように尊重されず、オプトアウトしにくくなっているという問題があります。

 試しに、株式会社Impress Watchのプライバシーに関するページからオプトアウトが「簡単にアクセス」できるかを見てみましょう。「クッキーおよびWebビーコンを使用する第三者企業」として、ヤフー株式会社,デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社,アドバタイジングドットコム・ジャパン株式会社,株式会社サイバー・コミュニケーションズ,日本マイクロソフト株式会社,グーグル株式会社,株式会社mediba,InMobi Japan株式会社,Fringe81株式会社(RSSフィード)があります。
 全て、インターネット広告推進協議会(JIAA)の正会員ですが、以下のようにページが遷移します。
  • yahoo
    「行動ターゲティング広告についてはこちらをご覧ください。」とあるのでそこからクリックし、「無効化を希望されるお客様はこちら。」をクリック→「無効化を希望されるお客様は、このページ下部の「無効化」ボタンを押してください。」をクリックで2回。
  • デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム
    どこにリンクがあるのかわかりません。失格。
  • アドバタイジングドットコム・ジャパン
    一番下に大きくオプトアウトのボタンがあります。
  • サイバー・コミュニケーションズ
    「オプトアウトはこちらから」をクリック→「オプトアウトをご希望の方は、下記のサービスを提供しているパートナー会社ごとに操作を行ってください。」として「オプトアウト」をそれぞれクリックで2回。
  • 日本マイクロソフト
    わかりにくいところにある「個々のユーザーに応じた広告の表示を中止するには、プライバシーに関する声明の全文の「広告の表示 」セクションに移動してください。」をクリック→「Microsoft Advertising からのターゲットを絞った広告の受信を中止するには、中止に関するページにアクセスしてください。」をクリック→受け取りの選択で「受け取らない」ボタンをクリックで3回ですが、わかりにくいので失格。
  • グーグル
    どこにリンクがあるのかわかりません。失格。
  • mediba
    どこにリンクがあるのかわかりません。失格。
  • InMobi Japan
    どこにリンクがあるのかわかりません。失格。
  • Fringe81
    一番下に大きくオプトアウトのボタンがありますが、さらに株式会社サイバー・コミュニケーションズ株式会社マイクロアドについてもオプトアウトしなければならないです。

 以上、私の主観的な見方ですが、9社のうち5社は「簡単にアクセスできる領域で提供」されていません。

 また、私がこの問題に気がつくきっかけになったのは、impact-ad.jpというサーバーから広告を配信するときに同時にcookieを配布しているようなので、追跡を拒否する方法を調べはじめたことにあったのですが、どのように考えても正会員である株式会社アイメディアドライブのオプトアウトのページは「簡単にアクセスできる」とは考えにくく、しかもメンテナンスもされていないためにリンク切れが起こっていました(現在は私が指摘したために修復されています)。このような状態では、だれもそこまで辿りつけなかったためにメンテナンスの不備がわからなかったと考えてしまいます。

 以上から、会社によってばらつきはあるものの、多くの会社でガイドライン違反が疑われるので、インターネット広告推進協議会(JIAA)はガイドラインの実効性の検証はしていなかったのではないかという疑念も生まれます。

 行動履歴情報が流出したり個人情報と結びついてプライバシーの侵害が起こったりした時になって、ガイドラインの実効性が検証されるのでは遅いのです。早急な実態調査がなされることが望まれます。

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あと、僕は馬鹿なことをするのは嫌いですよ (わざとやるとき以外は)。-- Larry Wall

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