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Pravdaの日記: 映画の中における左右非対称性 6

日記 by Pravda

映画の小ネタです。月曜、映画ファンのC氏とL君とスケジュールが合ったので夜に一緒に居酒屋へ。以下、私ことPravdaの発言部は「P」と略記。

 焼魚が出てくると、ほら、頭の方を向かって左に置くじゃないですか。
 地方によっては川魚は逆、という話もあるけど、普通そうだわな。
 映画でも、船全体が写るシーンって、観客から見て左が船首のパターンの方が、その逆より多くないすか?
 なるほど、タイタニック号遭難モノも、氷山が左にあって船が右方向から突っ込む絵、多いような気がする。
 『タイタニック』(1997年)はどうだっけ? あの『殺人魚フライングキラー』撮った監督の。
 ジェームズ・キャメロンだよ可哀想に(笑)。僕は観てない。
 ディカプリオが女の子を支えるシーンは、船首は右ですね。
 まあ、あそこは俳優を写す所だから。船首が左ばかりの絵だと単調になっちゃうし。

 旧ソ連の戦争スペクタクル映画、ソ連軍は右から左へ進撃、ドイツ軍は左から右へ、ですよね、基本的に。
 スクリーン右側は東、左側は西、ということか。旧ソ連の映画館って、もしかしてスクリーンは常に映画館の北側に設置されてたの?
 銀幕南面す、ってか(笑)。 いくら計画経済だった国でも、それはないだろう。旧西側の戦争映画はどう? 『バルジ大作戦』(1965年)とか。
 大昔に観たけど忘れた。
 『メンフィス・ベル』(1990年)は、ドイツへ爆撃しに行く時は機首は右向きで、イギリスに戻る時は機首左向きの絵が多かった気がしますね。
 スクリーン右側は東、というより、位置関係を判りやすくするよう、ある程度固定してるのかも。イマジナリーライン [wikipedia.org] の約束事もあるし。
 エイゼンシュテインの『アレクサンドル・ネフスキー』(1938年)は、その点けっこう自由かな。かわりに「敵のチュートン騎士団の騎兵や歩兵は兜で顔が見えない」というルールが徹底されてるけど。
 おー、よく観てますねえ。
 いや、評論集か研究書に書いてあった。もちろん日本語の本。
 こいつ、いつもこうだ。しかし、『西部戦線異状なし』(1930年) [srad.jp] の戦闘シーンだと、ドイツ軍は左から右へ、じゃなかったっけ。すると西部戦線だからスクリーン右側は西か。
 位置関係をハッキリさせるためなのかなあ。パノラマで写すと軍服でどっちがどっち、なんて判らんし。

 でも、カーチェイスとか蒸気機関車が疾走したりするシーンは、やっぱり右から左へのパターンが多いと思うんですよ。
 言われてみりゃ、確かにそうかも。
 D・W・グリフィスの『イントレランス』(1916年)で、ペルシャの侵攻をバビロンの都に知らせに行くシーンは逆向きだけど、死刑になりそうな青年を助けに行く自動車は、基本的に右から左か。
 リュミエール兄弟が『列車の到着』(1895年)を撮ってからの伝統かね、右から左ってのは。
 フランス鉄道の乗降口は進行方向に対して左にあるから、ああ撮るしかなかったんでは?
 映画の単なる約束事なのか、それとも人間本来の感覚がそう観る方が自然なのか、ってことですかね。
 じゃあ軽演劇とかで、舞台を横に駆け抜ける時、上手(観客から見て右)から下手?
 最近は芝居は観に行ってないなあ。チケット高いし。
 約束事にしろ人間本来の感覚にしろ、やっぱり魚は頭を左に向けて置くんですよ。
〔以下略〕

映画の中における左右非対称性の問題、なにかヒントになりそうなWebページや書籍などをご存じでしたら、ぜひともご教示を。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by muji (9607) on 2009年01月20日 23時14分 (#1495410) 日記

    歌舞伎の場合、玄関というか門というか、入口関係はほぼ下手(向かって左)側ですね。
    佐倉義民伝で、木内宗吾が自分の家へ戻ってきたとき、門が上手側だったので妙な感覚がありました。
    今まで観ていた中で入口が上手だったのはそのときくらいだったかもしれません。
    これも考えてみれば不思議です。花道との関係もあるんでしょうね。

    映画とはあまり関係なさそうですが(^^;)非対称性ということで思い出すまま挙げてみました。

    • by Pravda (33859) on 2009年01月21日 0時51分 (#1495497) 日記

      拙文へのコメント、ありがとうございます。

      歌舞伎は相変わらず不勉強なのですけど(^^;、NHK教育の劇場中継をたまに観ても、入口関係は下手側の方が多いようです。花道のほか、楽屋とかの構造の非対称性もあるのでしょうか?

      ただ軽演劇になると、たとえば『8時だョ!全員集合』のドリフの探検コント。いかりや隊長を先頭に、基本的に上手から下手へと移動していたと思います。

      エントリを書いた後、ちょっと思いついたのですけど、「人間は視野を右から左に動かすのが、その逆よりも得意なのでは?」という問題の立て方で、私自身は無意識に右から左へ視線が流れる傾向が強いようです。

      しかし、個人的には脳が映画に汚染されていますので(笑)、世間一般の方々はどうか分かりませんし、問題の立て方もスジが良くないかも知れません。

      親コメント
  • 横スクロールのゲームは、背景が左に向かって動く (=自分の操作するキャラが右に向かって進む) ものがほとんどです。
    もちろん、逆向きにスクロールするゲームが皆無というわけではないので、 先人の真似をした結果としてのデファクトスタンダードという可能性もありますが、 それだけの理由でここまで比率が偏るとも思えません。

    逆向きにスクロールするゲームの例としてナムコの「スカイキッド」がありますが、 このゲームでは敵キャラは基本的に自機の後方から出現します。 つまり、敵キャラの出現位置や移動方向という点では、 一般的な横スクロールシューティングと違いはありません。
    観客に対して横方向の移動を意識させたい物体は、画面の右から左に移動する方が自然に見えるのかもしれませんね。
    • 拙文へのコメント、ありがとうございます。

      私もC氏とL君も、全くと言っていいほどテレビゲームをしないので、「横スクロールのゲーム」は完全に盲点でした。目からウロコが二、三枚落ちたような気がします。

      実は「字を書く方向」とか「野球の右打者/左打者」なんて話も出てたのですが、テレビゲームも映画やお芝居と同じく、身体の他の筋肉の動きとあまり関係ない、視野認識の問題ですね。ご教示に感謝です。(_ _)

      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2009年01月21日 21時50分 (#1496203)

    確か、回転寿司の機械を最初に作る時に色々調べたところ
    右から左に流れる方が多くの皿を食べるという
    結果が出たという話を聞いた覚えが・・・
    利き手だけの話じゃなく、なにかあるのかもしれませんね。

    個人的には、日時計の針の動きと同じ方が
    時間の進行を連想させるので動きが自然に見えると言う説を
    根拠もなく提唱します(笑)

    • by Pravda (33859) on 2009年01月22日 7時17分 (#1496374) 日記

      拙文へのコメント、ありがとうございます。

      回転寿司の話は知りませんでした。勉強になります。(_ _)

      ただまあ私見ですけど、仮に映画学というガクモンがあるとすれば、「こういう絵や演出がある」とデータを収集し、それらから「この程度のことは言えるだろう」と記述する博物学的なアプローチが主で、理論化・体系化を目指す現代自然科学の本流とは方法論がだいぶ違うような気がします。

      もっとも、あれこれ考えてみるのは面白いですし、また酒の席で同好の士に「怪説」を披露するのも愉快なんですが。^^;

      親コメント
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犯人はmoriwaka -- Anonymous Coward

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