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nagajisの日記: 村田鶴が捕まらない2

日記 by nagajis

Kazu Murataさんとコンタクトが取れる見込み?になったので苛々をぶつける必要も失せたわけだが、書きかけで放っておくのも良くないだろうと思うので続けておく。

初めて村田鶴の名を知ったのは土木学会刊『日本の近代土木遺産2000選』でだった。この中に横山隧道、観音坂隧道、谷坂隧道の設計者として彼の名が出ている。谷坂隧道はAランク指定。これは国重要文化財に匹敵する稀有さがあるものに付与されるランクだ。自転車旅で古いトンネルを越え、感銘を受けたことは多々あったけれども、それが普遍的に「価値のあるもの」だとは思ってもいなかったから、このリストに---というよりも近代土木遺産という概念に---目から鱗が落ちる思いがした。そして設計者として挙げられている村田鶴という人物。意匠に凝った隧道ばかり作ったこの人は、一体どんな人だろうと思った。

リストの出典を見てみると『滋賀県の近代化遺産調査報告書』となっている。さっそく複写を取り寄せてみた。しかしそこに村田の業績が書かれていたりはしなかった。それどころか県の技術者であったという以外は一切不明の謎の人物、しかし土木史中の特異点として「経歴を明らかにする必要がある」という。(この言葉がなければ「ふーん」で終わっていたかも知れない。感謝をしなければならないだろう)

村田鶴が隧道群を設計したという話の出典は、滋賀県が昭和48年に発行した「滋賀県土木百年年表」だった。滋賀県設置から昭和40年代に至るまでの県下の土木事業について年表形式でまとめたもので、佐和山、横山、観音坂、谷坂の4つの隧道について「設計者 村田鶴」と記されている(その出典は土木課内部資料とあるだけで追うことができない)。結構遺漏があったり記述があいまいだったりする所もあるが、内部資料を元にした唯一の情報ということで、とりあえずはこれを原点にしなければならない。端々調べて

  1. 少なくとも大正7年から昭和10年まで滋賀県にいたこと
  2. 初め土木技手、後に土木技師兼道路技師(うろ覚え。逆だったかも知れない)
  3. 「隧道工営所」の2代目の所長、草津工営所の主任等を勤めていること

等を知った。知った、とはいえ……それぞれが何を意味するのかわかったわけじゃない。百年年表は文字通りの年表で、詳細な解説が加えられていたりすることはなく、要するに事実の羅列に過ぎない。そこから情報を拾うことは出来ても意味を読み解かない限りはどうにもならない。「隧道工営所」とはどんな部局なのか? 技手と技師はどう違うのか? そういう所から始めなければならなかった。そんなのでよくここまで来れたものだと思う。

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