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日記

akiraaniの日記: 電子書籍の粗製濫造問題 3

日記 by akiraani

 Amazon、Apple、GoogleをはじめとするITベンダが推し進めている電子書籍事業は、近いうちに粗製濫造の危機にさらされると思います。
 というより、すでに起き始めている現象でそれが本格化するだけなのですが。

 具体的には、マーケットに安価で値段以上に低品質な商品、特にパクリ系の商品が溢れて、本当に高品質な魅力ある商品が埋もれてしまうという問題です。
 電子書籍の個人出版では編集によるクオリティアップという工程を経ずに直接マーケットに流通してしまうケースが激増し、その結果粗製濫造に至ることが予想されます。このことで、ネタ系の一発ギャグのようなタイトル詐欺作品が今以上に氾濫し、良作と呼ばれる作品がそれらに埋もれてしまうことになります。
 これはスマートフォン向けのアプリなどでも起きている問題と根っこは同じです。趣味グラマーの小遣い稼ぎアプリとサポート付きの商用アプリが同じマーケットに並ぶと同じ現象が起きます。つまり電子書籍に限らず、安価で手軽な開発環境とオープンな販売プラットフォームが提供されるようになると、粗製濫造は必ず起きる問題だということです。

 この問題を防ぐためには、マーケットに並んだ商品を事前に吟味して格付けする商品陳列作業が必要なのですが、それをきちんとやるとオープンなマーケットではなくなってしまいます。
 なので、既存の電子ストアでは購買者によるレビューを掲載するなどしてその問題を解決しようとしているわけですが、それに限界があることは昨今のステマ騒動を見れば明らか。

 個人的には、アフィリエイターの評論能力を評価する仕組みを作り上げるのが良いのではないかと思います。そうすることでアフィリエイターが評論家として機能するようになり、アフィリエイターの紹介そのものが品質を保証する仕組みとして機能するのではないかと。
 ユーザーは評価を基準にお気に入りの職業評論アフィリエイターを見つけ、その意見を見て商品を買い、作品を探してくれた報酬としてアフィリエイトリンクを踏む。こうすることでユーザーは外れをつかまされずに済み、マーケットは高品質な作品を選択的にユーザーに提供でき、アフィリエイターは評論家としての能力を切磋琢磨する。
 従来は雑誌や新聞なんかのメディアがやっていた役目ですが、それをアフィリエイターを育成してやらせるわけです。これこそ理想的なアフィリエイト運用でしょう。
 まあ、そうなると今度はアフィリエイターの評価にステマ問題が付きまとうことになるわけで、一朝一夕にできることではないでしょうが……。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by okky (2487) on 2012年01月26日 22時32分 (#2088119) ホームページ 日記

    紙の本だって粗悪乱造だから。
    つーか、サンマーク出版なんて両方で粗悪乱造してるから。

    --
    fjの教祖様
    • by Anonymous Coward
      紙の本よりはるかにハードルが低いことが問題なんでしょうに。
      ※Androidマーケットで“使える”タイマーアプリを“選択”するの大変でした……。

      個人的には「ブランドの特化」「ショップの特化」がこっちには楽でいいんですけど。
      東洋経済新報社刊行のラノベ探す人、同人ショップで哲学書探す人は多分いないでしょ。
      ※東洋経済新報社さん、変な例に挙げてゴメンナサイ
      • by akiraani (24305) on 2012年01月27日 17時16分 (#2088612) 日記

        ついでに言うと、日本の場合は書店に並ぶ書籍の格付けは取次が行っているようです。
        「暴れん坊本屋さん」で読んだのですが、取次は予想される売れ筋をまとめたセットを用意していて、その書店の不得意な分野の定番品はそういったセット単位で注文されるらしいです。
        出版社側でも本屋向けにお勧め度ランクを付けたカタログを用意しているらしく、そういった情報をもとに書店は新刊の発注数を決めているとありました。

        なので、弱小出版社が食うに困って詐欺的なクオリティの書籍を乱発しても、そういったフィルタによって流通に乗る前にほとんどブロックされる。万一書店に入荷されても、売れなきゃさっくり返本されて、次からその出版社の本は発注すらされなくなる。

        このあたりの日本の出版流通システムは非常によくできてると思います。理解してない人は多いですが……。

        電子書籍の個人出版は、そういった既存の優秀なシステムに勝る品質管理システムを作り上げないと、下手をするとアタリショックの再来になりかねない。

        ショップやブランドの特化というのも一つの方法論だとは思いますが、アフィリエイトというシステムでアフィリエイターブランドを作ればいいのではないかと思うわけですよ。
        これはそんなに目新しい話ではなくて、Amazonのロングテール理論そのまんまです。

        少なくとも、オンライン書店を中心に始まった初期のアフィリエイトプログラムはアフィリエイターブランドを理想に掲げてやってたはずなんですが、現状いかにページビューを集めるかが主眼で、商品の魅力を紹介するというのは二の次。そのせいでステマ騒動とかが起きてるわけです。
        たくさんある商品の中から魅力ある商品をピックアップして、欲しい人のために情報を集めて紹介くれる「理想的なアフィリエイター」を育成できるようなシステムをショップ側で構築すべきなんじゃないかと思うわけですよ。

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私は悩みをリストアップし始めたが、そのあまりの長さにいやけがさし、何も考えないことにした。-- Robert C. Pike

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