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日記

akiraaniの日記: クリエイター推奨プログラム問題に対する私見 1

日記 by akiraani

 ニコニコ動画でポイントやお金といった明示的に作者への利益になる仕組みが初めて採用された形になるが、昨今のステマ騒動にも絡む形で様々な問題点が指摘されています。

参考:ニコニコ動画クリエイター推奨プログラム問題のwiki

 もっとも大きな懸念は「他人の著作物を自作と偽って登録するバカが出るのでは」というもの。他にも、第三者の企業に悪用されるのではないか、著作権侵害コンテンツが勝手に子ツリーに登録されることでネガキャンするといった攻撃手段にされるのではないか、といったような懸念点が指摘されているようです。

 ここからは個人的な見解ですが、ニコニコ動画の運営はそれらのを懸念点は事前に把握済みで、その上でシステムの開始に踏み切ったのではないかと思います。
 そう思う理由は2つあります。

 一つは、報奨金の原資がプレミアム会費であると明言されていること。
 クリエイター推奨プログラムに登録するためにはプレミアム会員である必要があり、報奨金自体もプレミアム会員費から捻出されます。間に広告契約などは挟んでおらず、お金の出元も配分先もすべてニコニコ動画内で完結するシステムなわけです。

 もう一つが、配分のポイント計算システムはある程度複雑にしてあり、その計算方法は非公開とされていること。
 アフィブログなどでは事前に「これこれいくらのクリック・購入に対してン%の支払い」といったような具体的な契約を結ぶことになり、運営側と言えども一度契約が成立すればおいそれと覆すことができません。

 件の問題点を指摘している内容はYouTubeなどで行われているような広告契約との比較を行っていますが、おそらく、根本的な考え方が全く違います。
 広告配分をメインにしているシステムは規約を整備し事前にしっかりコンテンツを精査して違法性や品質を確認することで、事後トラブルをなくすという考え方で運用されています。
 一方、ニコニコ動画のクリエイター推奨プログラムは、素性を問わずコンテンツを集める代わりに、事後のコントロール権を完全に掌握することで炎上した時に速やかに消火できる体制を整えるというシステム設計がなされています。
 アフィブログであれば、契約に従って広告収益を還元しているのでステマ騒動であったような「モラルに反する手段」が発覚しても個別に対応することは難しいですが、クリエイター奨励プログラムは他人の著作物を登録していたり、工作で不正にランクを上げているといった事実が判明したら、運営の独断で説明なしに支払いそのものを停止することができます。
 この点がYouTubeなど他のサービスで行われている広告還元システムとは決定的に違うところです。

 違法コンテンツを事前にはじくという運用になっていないのでコンプライアンスの問題も当然発生するでしょう。また、運営の手のひらの上でクリエイターが踊らされているといった印象を与える可能性もありますし、事後のチェックが膨大になるので運営がパンクしてしまうといったリスクもあります。
 その代わり、ユーザーが作品登録するときにかかる負担は最小になりますし、柔軟で弾力的な運用が可能になります。
 一概にこれが良いかと言われると微妙な点も多いですが、ニコニコ動画というプラットフォームでしかとりえないシステムであることは確かだと思います。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2012年02月01日 16時51分 (#2091402)

    色々と模索して新たな方法を開拓する役割を担っている事を自覚してやってるから、リスクは承知の上でしょうね。
    ひろゆきのイメージで2chと同一視されがちだけど、自分達のルールに凝り固まって妥協せず、法的責任さえ逃げ切る気満々の2chと違って、ニコ動は予想されるどんな摩擦も交渉(と契約)で折り合いをつける意思があると思う。

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