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日記

akiraaniの日記: MMDドラマフェスティバル2とMMDドラマの話 1

日記 by akiraani

 MMD界隈での著名なお祭りの中の一つにMMDドラマフェスティバルというのがあります。その第2回の参加作品投稿が先週末ありました。
 MMDドラマは好きなので、個人的にはMMD杯以上に楽しみにしているイベントなんですが、休日どっぷりつかっても作品が見終わっていません。なぜかというと、全体的に作品の尺が長いんです。再生時間30分オーバーとかの作品も複数あって、しかもそういうのに限って待望のシリーズもので約一年ぶりの投稿なんて作品だったりするもんで。

 Angel-cupのページより投稿作品のリストや各種統計データが追えるんですが、参加作品数172作品、総再生時間21時間41分という尺の長さ。作品の平均再生時間が8分近いです。ちなみに、過去最大規模だった第10回MMD杯では総再生時間は47時間18分、平均再生時間は約3分40秒。

 ちなみに、アザトゥース・ディーヴァの新作が「【MMDドラマフェスティバル2】32分耐久字幕動画【苦行用】」なんて見つけにくいタイトル名であがってたりします。今回もすさまじいハイクオリティ映像になってるので、前作好きだった人は要チェックです。
 他にも長らく音沙汰のなかったあの作品やこの作品の続編、新規の力作がたくさん上がってて、一視聴者としては大変うれしいイベントですね。

 というわけで、MMDドラマとは何ぞや、という話をちょっとばかり。
 表面的な定義で言えば、MMDやMMD関連ツールを使って作られたドラマ仕立ての動画作品ということになりますかね。紙芝居動画からアクションまできっちりこなしたもの、珍しいところではゲームのプレイ動画をMMDキャラを使ってドラマ仕立てにした作品なんてものあったります。

 MMDドラマの源流をたどっていくと、絶対に欠かせないのが2009年2月に投稿された「ゲキド・オブ・ハツネ」と、動画公開とともに配布されたステージ、ゲキド街の存在でしょう。
 それまでのステージが移動範囲が限定された撮影スタジオだったとすれば、ゲキド街はロケ地、映画村にあたる小さな町がまるまる含まれる広大なステージセットです。この街を丸ごとステージにするというアイデアはまさに革新的でMMDドラマの歴史はゲキド街から始まったといっても過言ではないです。

 MMDドラマはこのゲキド街とボカロモデルを中心に広がっていくことになり、お約束ともいえる共通設定のようなものが形成されていきます。
 MMDドラマ特有の設定で有名なのは弱音ハクの万能設定でしょうか。もともとボカロ派生キャラとして誕生し、当初のキャラ付けはネガティブな思考のダメダメキャラ扱いでした。ところが、MMDモデルとして使われるようになって、様子がだいぶ変わっていきます。長身でスタイルが良くパンツルックと派手なアクションでの見栄えが良い恰好をしていたことから、蹴り技を多用する格闘モーションが良く使われ、そのうち武術の達人であるというなんとなくの設定が出来上がります。そのまま転じて、頼れるお姉さんキャラとしてドラマに登場することも増え、いつの間にか「歌以外の仕事に定評のあるハク」という立ち位置が定番になっています。
 さらにMMDで特殊なのは、人気キャラになれば同じキャラのモデルが複数あり、それぞれのモデルに固有の設定が出来上がっていたりします。たとえば、MMDでもっともたくさんの種類のモデルが存在するであろう初音ミクであれば、このモデルはとんこつラーメンが好きであほの子、このモデルはスコープドッグを操縦できて銃火器の扱いに長けているなど、とても同じ初音ミクとは思えない強烈な個性を持ったキャラ付けが共通認識としてあったりします。
 これらのキャラ付けによって、同じ作品に複数の初音ミクがいたり、中には主要登場キャラのすべてが初音ミクといった作品もあります。

 MMDにおいて、モデルというのはキャラよりも先に役者という位置づけになっていることが多いです。モデルごとのキャラ付けも、表情や衣装の特性からこのモデルはこういう役を演じるのが得意、という能力的なものから派生していることも多いです。
 もちろん、これらの設定が固定というわけではなく、たとえば弱音ハクが飲んだくれのダメ女というキャラ付けで登場するドラマもあります。ただ、傾向としてそういう役が多く、制約の緩いシェアードワールド設定として機能している、ということです。
 こういったお約束のキャラ付けや設定はドラマのネタにもなるし、視聴者の多くに共通認識があるので説明描写を短縮して物語のテンポを良くすることができるなどの効果があります。

 これらの緩いシェアードワールド設定は素材の充実とともにボカロキャラ以外にも派生して、MMDオリジナルのキャラや、東方やアイマスといった他ジャンルのキャラの設定も取り込んでどんどん広がっています。
 ツールとしての優秀さもさることながら、多数の作品を通じて作られた魅力的な世界観もMMDドラマの大きな特徴ですね。

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私はプログラマです。1040 formに私の職業としてそう書いています -- Ken Thompson

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