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akiraaniの日記: 500円でできるドキュメントスキャナのための書籍分解

日記 by akiraani

 正月からの数週間の間に、ScanSnapを使って同人誌や一般書籍を合計数百冊くらい取り込みました。
 その間、特に本を分解するノウハウについてけっこう実用的なものがそろってきたので、日記にめもっておきます。本となら図解が必要なんですがとりあえずテキストのみで。写真追加しました。(1/23)
ニコニコ動画に実演動画追加しました(4/6)

使用する道具
・事務用はさみ
・スクレーパー
・軍手
・小型カッター

スクレーパーというのは壁の塗料を剥がしたりするときに使う金属製のへらです。カッターや一部のペーパーナイフなんかでも代用できますが、試した限りではスクレーパーが一番使い勝手が良いです。
いずれもダイソーなどの100円ショップで手に入ります。スクレーパーがあればカッターはなくてもなくてもいいです。

手順(オフセット、ソフトカバー、ハードカバー共通)
1.表紙を剥がす
 道具は使いません。手で引っぺがしてください。片側から引っぺがすと裏面が一緒にはがれてしまうことがあるので、両側から交互に剥がすと失敗しにくいです。ハードカバーはけっこう力が要りますが、本体部分も頑丈になっているので思い切ってべりっとやってしまっても大丈夫です

2.本文をはさみで切れる厚さに分解する

 注意:この作業は軍手をつけて行ってください。特に本を支える手は必ず軍手をつけること。でないと怪我します。

 適当な枚数のところでページを開き、ページとページの隙間をスクレーパーを使って切り取ります。(写真)
 どのくらいのページ数に分解するのが最適かは、はさみの性能と握力、紙の厚さ硬さによって変わります。試行錯誤して最適解を見つけてください。私の場合は2~3mmになるくらいがちょうど良いです。
 ページを完全に開ききった後、ページの隙間から糊をスクレーパーのへりで削るように切れ目をいれていく(写真)と、ページを傷つけずに切り取ることができます。のりの部分を削っているかどうかは軍手越しでも感触でわかります。まれに、ページの少し内側まで糊がはみ出てページがくっついていることがありますが、そういう場合はページの間にスクレーパーを差し込んでぐりぐり押し広げてからのりを削りましょう。カッターでも可能な作業ですが、力が入れにくいのでしっかりした握り手が付いて余分な突起の少ないスクレーパーの方がが圧倒的に作業しやすいです。
 この作業は、ページの紙が薄ければ薄いほど引っ掛けたり破いたりといった事故が起きやすくなります。また、週間マンガ雑誌のような紙が柔らかい場合もページをうっかり削ってしまう事故がおきやすいので注意が必要です。

3.表紙を取り込める形に細工する

 ここはいろいろ好みがあると思いますので簡単に。
 問題になってくるのは、背表紙の情報をどう取り込むかどうかです。なかったものとして切り捨ててしまうというのも一つの選択肢ですが、他に表紙だけ背表紙込みのサイズで取り込む背表紙を裏に折り込んでしまうなどの方法もあります。
 また、表紙は紙が厚かったり、織り込んだりしてしまうとスキャナが上手く吸い込んでくれないことがあります。なので、表紙の部分だけは途中で詰まったりしないようにスキャン中に手で押し込んでやる必要があります。

4.分解した本文をハサミで切る

 分解した部分を見ると、背表紙の側に糊の層があり、糊がくっつきやすくなるように一定間隔でミシン目のようなぎざぎざになっているのがわかると思います。
 ぎざぎざの部分を残して糊だけをとってしまうと、スキャンするときに引っかかって二枚以上吸い込んだり極端に斜めになってしまったりする原因になります。なので、その部分まで切り取ります。(写真、赤線が糊と紙の境目、青線が切り取る場所)
 マンガなどでは、見開きで本当にぎりぎりまで絵が印刷されていることがありますが、どうせ普通に本を開いたところでそんなところまでは見えないので、気にせず切り取りましょう。

5.ページがきちんとばらけるか確認する

 まれに、糊が少しはみ出ていてページの一部がくっついていることがあります。きちんとばらけていないと二枚吸いこんでページ飛びになってしまうので、全ページがきちんとばらけるかどうか確認します。切るときにミスって背に糊が残っている場合もありますので、そういうのもきちんと取り除きましょう。
 あとは、まとめてスキャンするだけです。これはこれで根気のいる作業なんですが、まあそれはまた別の機会に。

追記:雑多なこと
 書籍を分解して取り込むという作業はもっと多くの人が積極的に行うべきだと思ってます。直接的なメリットとしては「本棚が安くてコンパクトになる」「検索がしやすくなる」「風化や劣化から書籍を守れる」というものがあります。
 特に一つ目が大きい。例えば、一般的なマンガ単行本は300dpiで取り込むとおよそ20MB~30MBくらいになる。平均25MBだとすると、2GBのSDカード一枚に80冊収めることができる。本に埋もれておき場所に困っている人には天国のような話だろう。これが、1TのHDDを使ったのであれば、4万冊。ネットカフェ並みの蔵書が数千円の箱の中に全部入ってしまう。

 気になるのは電子化した当人以外への影響。今の方法だと、基本的に取り込みが終わると書籍は破壊されてしまいブックオフなどで売り払うことはできない。購入した書籍を捨てて溜め込んでいる限りにおいて、書籍本体への売り上げの影響はない。これが、知り合いにコピーしだしたりすると話がややこしくなる。
 著作権法的な話をすると、家族とそれに準じる範囲への配布は私的複製に含まれるので問題はない。が、この範囲は案外狭い。友達同士への本の貸し借り的な感覚でほいほいコピーしてしまうのはグレーゾーンだ。ネットワーク配信にも気をつけなければならない。日本における著作権法では「送信可能化権」なるやっかいな権利が存在する。これは簡単に言うと「たとえダウンロードされていなくても、不特定多数が受信できる状態に置くこと」がアウトになってしまう権利だ。この不特定多数がどこまで含まれるのかがカラオケ法理を使ったウルトラC判例などがありはっきりしない。
 なので、人にあげるようなことは避けておいたほうが無難だろう。もちろん、著作者への売り上げを阻害する行為でもあるから、例え合法だったとしても自重すべきだ。

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