今年に入ってからの電子書籍祭りの火付け役であるiPadも発売からしばらく時間が過ぎて、良い点悪い点もだいぶ見えてきた。
　結論から言うと、個人的にはiPadを電子書籍リーダーとして購入するまでには至っていない。理由はいくつかあるのだけど、そんなことを愚痴っても仕方がないので、自分にとっての理想的な電子書籍リーダーについて、できるだけ現実的な路線で欲しいものをはっきりさせたいと思う。

・本体形状について
　これについてはほぼ理想的なサイズのハードが現存する。縦持ちしたDSiLLだ。大き目のポケットになら入れることができ、ぱっと取り出して開くと両面合わせればそこそこの面積がある。このサイズであれば重量はあまり気にならないし、DSiLLでサイズぎりぎりの高精細タッチパネル液晶を搭載すれば、かなり良いものになると思うんだけど……。両面タッチパネルは制御的に難しいのかなぁ。

・バッテリーについて
　これに関しては現状のAppleが必要十分を見事に実現してくれている。安心して使うために必要なのは実働10時間。もちろん長いに越したことはないが、とりあえず個人的な必要十分はこのくらいだ。ただし、持ち歩く用途である以上最低ラインぎりぎり妥協して実働6時間、それ未満はゼロと同じだ。無駄にいいCPUを積もうとしなければ特に問題なる要素ではないはず。

・表示スペックについて
　理想は反射型ディスプレイで、高精細タイプが望ましい。小さい字にはあまり抵抗はないので、できることなら限界まで小さくしたいが、たいてい目の限界よりさきに解像度の問題で字が読めなくなる。なので、現状の一般的なディスプレイは解像度は不十分という結論になる。外で読むことを考えると、透過型ではなく反射型がいいのだが、まあこれは技術的にはまだ難しいだろうなぁ。

・ソフトウェア性能について
　最優先は画像ベースの自炊PDFやテキスト、e-pubあたりのシンプルなデータがストレスなく見れること。余裕があるならテキスト入力とPDF検索もできるとありがたいが、無理にキーボードつけるのは本末転倒なので現状なくていい。他はいらない。ネットはもちろん、メディアプレイヤー・ゲーム機能はほとんどの場合バッテリー持続時間とバーターなので……。逆に言えば、十分なバッテリー性能が確保できているのであればメディアプレイヤー機能はあっても良いんですが。

・価格について
　多少高くてもいいが、DSiLLサイズのデバイスで5万以上はさすがに二の足を踏む。まあ、Kindleから始まった値下げ合戦が進んでいるし、iPadがより大型かつリッチインタフェースであの値段なので、そんな価格で出すあほなメーカーはないと思うけど。ただまあ、上のスペックをすべて備えた上でこの価格というのはかなり難しいはず。上の要件にはない機能、たとえばWi-Fiだとかメディアプレイヤー機能だとか、そういうものを極限まで削らないとほぼ不可能だろう。

　現状、技術的に一番厳しいのは反射型の高精細ディスプレイか。電子ペーパーの値段はだいぶ下がったけど、面積あたりの解像度については実はここ数年ほとんど進歩していない。まあ、最大の問題点は、仮にこの理想が１００％実現したとしてもいざ発売してみたら売れないことだろうな……。