とりあえず、総合部門と部門別の受賞作品について簡単に解説と感想をば。なんせ数が多いので、特別枠と審査員賞はまた別のエントリで語りたいと思います。
さすがに入賞作は名作ばかりです。この日記を読んで気になった作品があれば、ニコニコ動画のアカウントがない人はこのあたりとか参考にすると見れると思うので、ぜひ見て欲しいです。本当にすごい作品ばかりですから。

総合部門
総合優勝：Bad AApple!!/6666AAP
　ニコニコ動画で一時期めちゃめちゃ流行った【東方】Bad Apple!!　ＰＶ【影絵】を2chのAAネタでアレンジした作品。ネタのチョイスや演出、AAを再現するモデルにモーションもさることながら、モーフィングなんかの技術的工夫もかなりすごい。元ネタ比較動画を見ると、そのすごさがよくわかります。

準優勝：Ding-Dong【MMD-PV】/ネルドラP
　すさまじく完成度の高いMMDキャラによる演奏PV。全体的な雰囲気の良さももちろんありますが、ギター、サックス、ボーカル、ドラムに至るまで登場するキャラクターのすべてがまるで生きているかのように生き生きと動いてます。MMD界ではこのような作品のことを「魂実装済み」と称えるわけですが、それがこれほどふさわしい作品はそうそうないです。

敢闘賞：少し楽しくなるMMD/ストームP
　中曽根OFFでおなじみの少し楽しくなる動画をMMDで再現した力作。MMD杯のレギュレーションで長さが5分半までなので前半の「おまいGONZO」だけですが、それにしたってすさまじいボリュームです。どの瞬間を切り取っても、画面のそこかしこにネタがちりばめられている。最後の最後で元ネタの主人公である水色がちゃっかり登場したのも良かった。

テーマ別「変」部門
優秀賞：あずにゃん？ いえ、初音ミクです/24インチ
　大人気アニメ「けいおん！」の第2期初代OP映像のあずにゃんをLat式ミクにこっそり？入れ替えた作品。さすがに髪の毛のカラーリングが違うので一目瞭然ですが、2Dのアニメーションに3DのMMDがおどろくほど自然になじんでます。その気になればいろいろ作れてしまうという可能性が見えてくる作品です。

MMD特撮賞：テトトラマンタロウ/ツブラヤP
　もともとCGのMMDに特撮も何もあったもんじゃないですが、まあ、見たらわかりますが見まごう事なき特撮です。例によって5分半の制限から多少早回し気味ですが、怪獣の登場から変身、格闘、必殺技まで見事に織り込まれてます。作者の円谷作品への愛ががっつり詰まってるのがよくわかる力作です。

ベスト・オブ・再現賞：変なＣＭ/kiyoP
　懐かしのあのCMをMMDで再現。とくに二つ目の某ビールのCMの……表情というか、顔芸はたいへん見事です。まあ、一発ネタなんですが、これが再現できるモデルの進化には目を見張るばかりです。MMDらしいアレンジがこっそり混じってるのもいいですな。

俺の持ってるゲームと違う賞：クレイジーミクライマー/Black Knight
　MMDでクレイジークライマー……と思わせておいて、途中でものすごい迫力の超絶格闘アクションに切り替わり最後には謎の感動がついてくると言う、なんだかよくわからないが圧倒される作品です。良くも悪くもMMDらしいカオスワールドですが、パワーと技術を兼ね備えた名作です。

一点突破賞：ミクがDaisuke踊ってみたよ【beatmania IIDX 10th style】/百舌谷
　元曲も元ネタも知らなかったのでマイリスはしてなかったんですが、ほんとよく動きます。ダンスモーションのトレスはMMDの基本であり出発点。そういう意味では今回もっともMMDらしい作品と言えるかもしれません。

オリジナル賞：文化祭後の演劇部/mato
　この作品の一番のポイントは、モブ子だけで作られた作品というところ。このモブ子はモブキャラとして使うために作られたモデルで、まさにMMDの中から生まれてきた生粋のオリジナルキャラ。つまり１００％MMDのオリジナルなわけです。もちろん、作品としての完成度もすごく高いです。シンプルさが売りのモブ子でここまで出来ることにも驚きです。

テーマ別「祭」部門
優秀賞：MMD応援団/針金P
　なんという力技。軽さが売りのモブ子をたくさん並べて人文字を再現するという数の暴力も相当すごいですが、モーションスクリプトを自動生成して人文字でBad Apple!を再現するとは……。途中飽きないようにモリヤステップなんかの東方ネタを織り込んだりと細かいところまで作り込んであるのも素晴らしい。

愛の結晶賞：何かおかしいらき☆すた祭/らき☆すたP
　アニメネタではけいおんやヘタリアが幅をきかせているMMDですが、らきすたモデルの完成度と充実度もすさまじいモノがありますね。OPの再現はもちろん、らきすたキャラでけいおん、ハルヒ、マクロスF、はてはラッキーレーサーまで……。そして最後の締めがアニメ最終回のあのシーンというのが泣かせます。

伝統芸能賞：アイドルマスターDS KOTOKO Princess Bride!/MCFP
　ニコマスMAD初期の名作であるPrincess Bride、そしてそれをトレスしたMMD初期の名作が、巡り巡ってアイマスモデルになって戻ってきた……。ある意味ニコニコ動画の歴史が詰まっていると言える作品です。なるほど、伝統芸能賞とは良く言ったモノですな。それにしてもこのモデル良くできてますなぁ。ハードスペック上DSではこのクオリティは絶対に無理なわけで、完全に原作超えてますよｗ

MMD廃賞：只今MMD杯中！/パラッP
　MMD杯を見ていた視聴者のことを見事に歌い上げた作品。MMD作品を作ってる人には「あるあるｗｗｗ」とコメントしたくなる名曲です。まさにMMD廃のMMD廃によるMMD廃のための作品ですな。MMD作品作りたくなったというコメントが流れていたのが大変印象的でした。

よくある日常賞：第５回ＭＭＤ杯に出てみたい/こにこに
　こちらはMMDワールドに良くある日常というか、オチまで含めてMMD的にメタです。MMD的VOCALOIDファミリーのキャラクターなんかも良く出てて、なんというかほほえましいですな。それから、なにげにトークロイド部分の作り込みが良くできてます。

最強補正賞：ミクさんで太鼓の達人/トッポ
　賞の名前でちょっと笑ってしまいました。元ネタは大変痛い系のバカ動画なのですが、こうしてMMDのミクが動いてるとダイナミックかつかわいい演奏動画に見えてしまうという不思議。いやたしかにモーション自体も大変良くできてるんですが、比較動画を見てみるとかわいけりゃなんでも許されてしまうということがよくわかります。

テーマ別「想」部門
優秀賞：ちょっと宇宙行ってくる！SOMESAT PV/ussyP
　ソーシャル・メディア衛星開発プロジェクト SOMESATのPVなんですが、これはすごいです。SOMESATの開発、ロケットの発射シーン、宇宙空間での映像……技術、演出も素晴らしいですが、なによりニコニコ技術部のロマンがありったけ詰まってます。大げさな言い方かもしれませんが、未来が見える作品です。MMDがよくわからない人も宇宙が好きならぜひ見て欲しいです。

素敵PV賞：GUMIで「君の知らない物語」【PV】/danchoP
　楽曲PVだけどドラマ性の高い作品を個人的にはドラマPVと呼んでいるのですが、メグッポイドの音声とMMDだけでここまで見せられる作品が作れるものなんだと感心しました。元曲のすばらしさももちろん大きいですが、そこに完成度の高い映像がつくと作品の魅力が何倍にも跳ね上がりますな。まさしく素敵PVです。

不変の愛賞：とある夏の日のトイレ/lente
　この作品を見る人に一言注意。大変にお下品なネタなのでそういうのが嫌いな人は見ちゃダメです。しかし、こういう作品も許容してしまう自由な雰囲気も大切だと思うんですよね(遠い目)　いいぞもっとやれ（ぉぃ

ドキュメンタリー賞：BLUE SKY/零戦P
　この作品の魅力を一言で言えば「映像美」です。第二次大戦当時、敵味方に分かれて悲しい戦いを繰り広げていたレシプロ機たちが一緒に空を飛ぶ……ただそれだけの作品なんですが、映像としてあまりに美しすぎて圧倒されます。MMD動画を見慣れてる人でも言われなければMMD作品だと気づかないレベル、と言えばわかってもらえるでしょうか。

破壊神話賞：なつのか２０１０/ポンポコP
　しょーもないことでジャン＝クロード・ヴァン・ダムもびっくりのバトルアクションに重火器が乱舞する、つまるところいつものゲキド街作品ですが、なんせモーションやら演出、カメラワークにエフェクト、オブジェクトの壊れ方、画面の隅っこにいるキャラの細かい動きに至るまで映像としての完成度が逐一神がかってる。さすがポンポコPは格が違った、といったところでしょうか。この人が本気になれば、下手な商業CG映画より面白い長編が作れるんじゃなかろうか。

期待の新人賞：-CALM PASSION-/chicken
　この作品、タグに「初心者詐欺」ってついてました(笑)　作品としてはオーソドックスなストーリーPVなのですが、構成といい、画面作りといい、とても素人には思えない。ボーカルもないし、純粋に映像だけでこれだけストーリーを見せてるというのに、これで新人だなんてちょっと信じられないですよね。

　その２へ続く