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akiraaniの日記: 第5回MMD杯 受賞作の解説と感想その2

日記 by akiraani

 その1に引き続いて、受賞作特集です。
 今回は、残りの特別枠と審査員特別賞の感想と解説になります。

特別枠
ライバル賞:3Dで東方妖々夢を再現してみた/貼り絵職人
 東方界隈では東方3Dスタイリッシュ弾幕シューティング動画と呼ばれているジャンルの作品ですが、その中でもアクションよりも弾幕そのものの美しさの再現に特化した珍しいタイプ。投稿者コメントにもあるとおり、開始早々爆発音とともに画面を埋め尽くす弾の嵐なんで見るときは注意。まあなんというかその、大変美しいんですが、激しくムリゲーですな。難易度的にも、CPU負荷的にも。

ライバル賞:3Dで東方紅魔郷ステージ2EASYを再現してみた?/D-2
 東方3D弾幕作品のライバル賞の片割れはこちら。あちらが弾幕重視ならこちらはスタイリッシュ重視。エースコンバットゼロのBGMでこれでもかと言わんばかりの板野サーカスのオンパレード。ストーリー的な演出もめちゃめちゃかっこいいです。これぞまさしくスタイリッシュ。東方系の二次創作動画はそこそこ見てますが、ここまでチルノがかっこいい作品はいまだかつて見たことない。それと、この霊夢、超いい表情でかっこいいけど完全に悪方ですな。

ライバル賞:チェス【盤上遊戯】/Na-A
 ライバル賞のもう一組、こちらはチェスという題材での受賞です。ホラーというか、世にも奇妙な物語的な作品です。途中のチェスのシーンもいかにもMMDらしい表現で面白いのですが、最後だけ音声で台詞が入る演出が素晴らしい。VOCALOIDとUTAUの関係を取り入れた物語中の設定も上手い。ちなみに、閉会式の冒頭で司会のミクが声が出ないと言うことになっていたのはこの作品のネタを取り入れたんだと思います。

ライバル賞:比較的よくありがちなコミュニティの一生/cocoonP
 哲学的というか、いろいろ考えさせられる作品。ポーン、ルーク、ナイト、ビショップといったチェスの駒の名前からくる役割付け、台詞回し、非常によく練られていると思います。あのシンプルな駒で戦いの様子を再現するエフェクトも上手く、特にやられた後の動きはMMDならでは。これでナレーションがゆっくりではなくきちんと演技の出来る人間が吹き替えたら、教育チャンネルとかで放送しても違和感がないんじゃないかな。

MikiMikiDance賞:I'm ALIVE/大胸筋矯正ブラジャ
 賞名がMikuではなくMikiなのに注意。使用モデルがアイマスキャラのニコマスMMDです。確実に魂実装済みの非常に高レベルな演奏PVですが、まだ発売されてすらいない2のモデルを使っているのもポイント。まだプロモーション用のデモムービーしか発表されてないってのになんという完成度。元曲もちょっといじってあって、ボーカルを抜き出して声質周波数を他人のものに変換する技術(自作)を使用しているとのこと。知れば知るほど驚愕というか……すごすぎていろいろやばくね?

放送事故賞:初音ミクのやっつけCooking「アジの塩焼き」/ネコ耳P
 VOCALIDを使っておしゃべりをさせる、いわゆるトークロイドの技術がはんぱない。実演してないってえだけでちゃんと料理用語を使って作り方は説明しているわけで、それが字幕無しできちんと聞き取れて、しかもニュアンスの表現なんかで笑いまで取れるレベルというのは……。まあ、そんな技術的な話はわかんなくても脱力系作品として十分面白いです。

真っ白賞:洗濯機に綿の奥まで洗われる時の洗濯物の動き/ツインテールP
 内容を説明すると初音ミクを洗濯機に入れて洗濯した様子を表現した作品、ということになるんですが……いったいこの発想はどこから来るのか。シュール系の一発芸としては大成功ですな。あまりに発想がとっぴすぎて、比較動画みて元ネタがあったのかと勘違いしてしまったほど。つか、よくこんなの踊れたな……。

臨場効果賞:GSX-R1000 vs YZF-R1/バイクP
 第4回から第5回にかけてもっとも進化したMMD作品のジャンルはというと、間違いなくMMDモータースポーツでしょう。第4回の時にもレースシーンを再現した動画はありましたが、バーチャレーシングとセガラリーチャンピオンシップくらいのレベル差があります。この作品はバイクのレースを再現した動画ですが、リアルなモデル、リアルな挙動(MMD的にはモーションと言うべきですが)、そしてリアルでは不可能に近いMMDならではのカメラワーク、素晴らしい臨場感です。

MMD振り付け賞:ストⅡの効果音で、オリジナル曲をMMDで/酔拳P
 有名曲にダンスPVを付けるというのはMMD作品の定番ですが、こいつはちょっと毛色が違います。確かにメインはダンスですが、節々にスト2の格闘モーションが織り込まれてます。もともと作者の方がMMDによる格闘モーショントレス動画で有名な方なんですが、曲チョイスとモーションが実に見事。これは意表を突かれました。

愛ある再現賞:Miku The Wizard of Speed and Time/KAWARA
 MMD杯では映画再現系も毎回熱いですが、こいつは元ネタ知らなくてもすごさが伝わってくる作品です。元ネタ知らずに見てそう思ったんだから間違いない。とにかく圧倒的なスピード感で圧倒されます。随所にMMDらしいアレンジがかかってますがこれが見事にマッチしているし、良いオマージュというのはこういう作品のことを言うんでしょうな。比較動画も必見です。

ようこそ、MMDの世界へ賞:僕はロボット【ダンスPVっぽいもの】/NEZ
 MMDのモーション技術に習熟していく過程をダンスモーションとして取り込んだユニークな作品。思ったようなポーズを付けられるようになり、全身の動きが連動するようになり、表情と動きがリンクするようになり、自然なダンスを踊らせることが出来るようになる、そのプロセスをダンスPVという形で見せてくれます。ちなみに、私はこの作品で言うと開始20秒くらいのところまでであきらめた人です(ぉぃ

暴徒賞:初音ミクは本当に強いのか体を張って確かめたい/Ninomiya
 人間とMMDがバトるという前代未聞の作品。一発ネタで短いですがネタ的にはもちろん、物理的にもインパクトは十分。ミクの動きもすごいが、人間の方の動きが実にすごい。このクオリティで長尺が出来れば劇場超大作も夢じゃない、そういうレベルです。いや、まじな話、「変」部門優秀賞のあずにゃん? いえ、初音ミクですもそうでしたが、実写も含めた既存映像との合成というのはMMDの新しい可能性ですね。

蝉丸P賞:ハートキャッチ☆ドワーフ!/全員4番P
 ロード・オブ・ザ・リングのバーリンが、そして途中からガラドリエルが参加してハートキャッチ☆プリキュアのダンスを踊る。ただそれだけの動画なんですが、モデル造型のクオリティがはんぱないこともあってとんでもないインパクトです。髭や衣装の物理モデルだとか表情だとか、リアル系のモデルで良くここまで出来るものだと……。ちなみに、この作品、海外でオオウケしているようでyoutubeのMMD杯関係動画の中でダントツの再生数です。

ラマーズP賞:ボカロでナイト・オブ・コマンド【MAD風】/aaa
 ナイト・オブ・コマンドというのは東方二次創作の有名曲、MMD的にはゲキド・オブ・ハツネでおなじみのナイツ・オブ・ナイツを遊戯王のエネミーコントローラーネタを中心に合わせた音MAD作品です。そいつをMMDでさらにPV化って、もう何次創作なのかがさっぱりわからない状態です。しかしなんというか、勢いはもんのすごいですなw

のすふぇらとぅ賞:MMD応援団/針金P
 はい、この作品、テーマ別「祭」部門優秀賞も受賞しております。審査員特別賞は投票枠とは別に審査されてるのでダブル受賞になってます。なんで、作品の解説は端折ります。総合優勝のBad AApple!!とネタかぶりがあったりといろいろ投票数的には不運もありましたが、今回唯一のダブル受賞ってのは誇っていいんじゃないでしょうか。

Windows100%賞:2010年MMDの旅/レラ
 そういえば、今年って木星が恒星化する年なんですね……。モノリスに触れたちびキャラ(クリーチャー)たちが進化して頭身の高い方のモデルになるのをテーマの「変」とかけるか、原作では猿が骨を投げてたシーンをあんな形で再現するとか、なかなかひねりがきいてて面白いです。……が、これ元ネタ知らない人にはさっぱり意味不明だろうなw

EXIT TUNES賞:妹の想い/ふえん
 むせ返るほどの濃密な厨二病臭あふれるストーリーだけど、動き、表情、エフェクトやカメラワークなんかの映像・演出技術がきちんと追いついているので感動の名作になってます。この手の作品は少しでもアラがあるといきなり痛いことになってしまうのに、ほんとすごいと思います。バトルシーンの描写とかめっちゃくちゃかっこよくて、個人的にはかなりお気に入りです。総評コメント遅刻とかありましたが、この作品をチョイスしたことに関してはEXIT TUNESにGJと言いたい。

まとめ的なお話

 今回すごかったのはなんと言っても参加作品数の多さですよね。投稿数363作品ですよ。なんとかがんばって投票期間中に全部見ましたが、コミケ後で未読の同人誌やら録画したビデオやらをほぼほったらかしでひたすら本戦動画を見る日々が締め切り直前まで続きました。おかげで久しぶりにHDDレコーダーがあふれました。同人誌もまだ半分くらいしか読めてません。でも後悔はしてません。それだけの名作揃いでした。普通参加作品が増えれば、箸にも棒にもかからないものも増えるんですが、最低ランクの質も上がってる気がします。

 作品傾向としては、MMDドラマ作品に力作が多くかった印象があります。MMDは本来ダンスPVを作るために作られたようなものですが、作品としてみるならやはりMMDドラマが一番好きです。特に、テーマ「変」部門でオリジナル賞を受賞した文化祭後の演劇部は、MMDによる完全一次創作であるという点でものすごい可能性を示してくれたんじゃないかと思います。
 モデルの進化もすごい。第4回に続いて今回もLat式ミク無双って感じではありましたが、それに匹敵するくらい魅力的なモデルも多数見られました。モブ子やカス子なんかでもこれはと思う作品が作られていたりするし、忘れちゃいけないアイマスモデルも……というか、アイマスモデルの完成度高すぎてそろそろバンナムに怒られるんじゃないだろうかと本気で心配になってきます。顔芸なんかのモデルを使いこなす方のノウハウもかなりたまってきてますしね。
 車やらバイクやら飛行機やらの乗り物系作品もすごかった。第4回の頃はMMDの限界を感じさせる不自然さが目立ちましたが、テーマ「想」部門優秀賞のちょっと宇宙行ってくる!SOMESAT PV、テーマ「想」部門ドキュメンタリー賞受賞のBLUE SKY、特別部門臨場効果賞受賞のGSX-R1000 vs YZF-R1、受賞作には残念ながら名前のなかった鬼ごっこGTなど、もはや市販作品のCGと変わらないレベルに到達しています。たった半年で何があったんだと驚愕するばかりです。

 開催前はMMDのツール本体に大きなバージョンアップがなかったので、第4回からのレベルアップはそんなにはないかと思ってたんですが、ところがどっこい、まだまだ先がありますな。ほんと、なんて神ツールなんでしょう。まだまだ楽しませてくれそうですね。

受賞作以外の感想に続く

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