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日記

akiraaniの日記: 書籍自炊に関するQ&A 15

日記 by akiraani

Q:非破壊スキャナなどで友人や図書館で借りた本をスキャンすることは違法ですか?
A:レンタルCDのダビングと同じで、私的に利用する用途であれば合法です。ただし、合法だからといって問題がないとは限りません。

Q:自炊して電子化したデータを親しい友人に貸したところ、自分のスマホにコピーして読んでいました。これは違法ですか?
A:合法です。限られた親しい友人は家族に準じる範囲とするのが一般的ですので、貸すために複製しても合法です。また、友人が自分のスマホで読むために借りたデータをコピーすることも私的複製になります。ただし、合法だからといって問題がないとは限りません。

Q:自炊代行業者は違法なんですか?
A:業者によります。たとえば、BOOKSCANの利用規約では複製許諾がある、または不要な書籍のみを受け付けています。このような場合は利用規約を守れば合法です。また、機器をレンタルして複製作業をユーザー自身が行うタイプのものもほとんどが合法です。ただし、合法だからといって問題がないとは限りません。

Q:合法なのに問題になることってあるんですか?
A:あります。たとえば、電子化したデータを親しい友人に貸してその友人がコピーし、その友人がまた別の親しい友人に貸すというような連鎖が繰り返されると、本が売れなくなり、作家が廃業して新しい本を作らなくなったり、複製されることを前提にした極端に高い値段の本しか販売されなくなったりすることがあり得ます。また、スキャンした元の本を他人に譲ったりすることも合法ですが、譲られた人がまたスキャンして別の人に譲るといったことを繰り返せば同様の問題になります。

Q:じゃあ、書籍自炊って、作家や出版社にはメリットはないんですか?
A:あります。現在主流の本を裁断してスキャンをする場合、裁断した書籍はほとんどが捨てられます。そうすると、ブックオフなどの古本屋に流通する本の量が減ります。すると、今までブックオフで本を買っていた人が新刊を買ってくれる可能性が増えます。また、書籍自炊をすることで、今まで本棚がいっぱいで新しい本を変えなかった人が新しく本を買えるようになりますので、新しく本を買ってくれる可能性が増えます。許諾を得ないまま自炊代行業者を利用した場合でも同じです。

Q:自炊代行業者がいなくなれば、電子書籍の海賊版は減りますか?
A:減る可能性は極めて低いです。電子海賊版は誰かが1冊でも電子化すればそのファイルが無限に流通します。このため、代行業者を使わずに自前の設備で電子化して違法に配布する悪い人を取り締まらなければ結果は変わりません。

Q:もしかして、作家や出版社にとって書籍自炊に問題があるかどうかって合法違法関係ないのでは?
A:その通りです。

追記:法的な扱いの細かいことについては「書籍の電子化、「自炊」「スキャン代行」は法的にOK? ~福井弁護士に聞く著作権Q&A(InternetWatch)」に専門家による回答がありますのでそちらをどうぞ。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by taka2 (14791) on 2013年05月09日 18時20分 (#2377686) ホームページ 日記

    たとえば、電子化したデータを親しい友人にコピーして渡し、その友人がまた別の親しい友人にコピーして渡すというような連鎖が繰り返される

    そういう連鎖が発生した時点で、大元の複製は、著作権法30条のいう「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」の範囲を逸脱するので、遡って「私的使用のための複製」の条件を満たさなくなり、複製権の侵害になるかと思います。

    #「その友人」が「コピーして渡す」のではなく、
    #「また別の親しい友人」の方が、「その友人の持ってるデータをコピーして持って行く」のならOK、なのかなぁ…

    • by akiraani (24305) on 2013年05月09日 20時10分 (#2377739) 日記

      複製作業を行った主体が変わってしまうので、第三者による孫コピーは「使用」にカウントされないと解釈すべきです。
      そうしないと、許諾を得た複製作業をあとから第三者が違法できてしまいます。さすがにそれは問題ありまくりでしょう。

      --
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      • 第三者による複製をされないように管理してこその私的複製でしょう。それができなくなっている時点で、それはもう「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用」する範囲を逸脱してるかと思います。

        #元のコメントで述べた通り、まあ、原則論というかちょっと机上の空論っぽい意見だと私も思ってはいますが、それでもこの論理については私は賛同しています。

        許諾を得た複製作業をあとから第三者が違法できてしまいます。

        著作権法第30条「私的使用のための複製」 [e-gov.go.jp]は、著作権の制限、つまり「該当する条件を満たした複製に対しては、著作者は権利を持たない」ものです。それを満たす場合には、著作者は権利を持っていいわけですから、複製しても権利侵害になりません。そのため、条件を満たせば許諾を得ることなく複製することができます。

        ですので、「許諾を得た複製」なんていうのは私的使用の場合とは問題条件がまったく異なります。
        「許諾を得た複製」の場合、その許諾条件次第でしょう。孫コピーを許可するような許諾契約なら、孫コピーされても違法にはならないでしょうし、孫コピーを許さないような許諾なら、孫コピーされた時点で管理不行き届きで契約違反。

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        • by akiraani (24305) on 2013年05月10日 9時47分 (#2377927) 日記

          >第三者による複製をされないように管理してこその私的複製でしょう。
          これは初めて見た意見(解釈)ですね。
          文意通りにとらえると、絶対に破られないDRMを施さなければ私的複製ではないという解釈になってしまいますが、さすがにそれは無理がないですか?

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          • そもそもデジタルに限った話をしているわけでもないのに、DRMなんて持ち出されても困ります。

            私的複製たるためには、複製物を管理下に置いておく必要はあり、複製物を複製者本人の管理下から離れるような状況においてしまってはそれはもう「…限られた範囲内において使用」しているなんて主張はできないでしょう、ってことなんですが。

            例えば「テレビ放送をテープに録画」したようなものだと、
            録画(複製)した本人だけでなく、家族も一緒に見る(使用する)ことができる、
            というのが「私的使用のための複製」を、複製者本人だけでなく「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用」することができるという条文の意図でしょう。

            その複製を「家族外の誰でも持ち出せるところに置いといた」りして、それで家族外の人間に持ち出されりしたら、たとえ複製者本人は私的使用な複製のつもりでも、それはもう私的使用の要件を満たしてないでしょう。管理不行き届き。

            #複製物を管理下に置くからには、「親しい友人」に対してできるのは「コピーを貸す」までですね。「コピーして渡す」のがもう怪しい。渡す(複製物の所有権を移動する)なら最低限「私の私的複製なんだから、あんたは見るだけにしてね。さらに複製しちゃだめよ」ってのを言い含めないと。

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            • by akiraani (24305) on 2013年05月10日 12時32分 (#2378033) 日記

              いやいや、家庭や親しい友人相手に「見せるけどコピーはさせない」なんて管理はDRM使わないと実現不可能でしょ……。
              そもそも、私的複製なんて例外規定がどうして必要になったのかというと、普段の生活の中で半ば無意識に行われている複製まで著作権侵害としてしまうことに問題があるからであって、作業者が私的複製を認識して厳しい管理をしないといけないとか本末転倒ですよ。

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              • by Anonymous Coward

                 コピー者のPCが複数あるなら、相手(家族とか友人)に見せるために、デスクトップPCからノートPCにコピーするのは問題ないんじゃないですかね(?)

    • by Anonymous Coward

      PDFとか読んだけど、
      要するに、本の貸し借りと同程度なら特に制限つける気はない、という感じ。
      ただし、「私的複製と称して商売」するのは許せん、と。
      じゃあ何処で仕切るのつうと、権利者の方も戸惑ってるんですな。
      法律の整備なんて遠い未来の話だし。

    • by Anonymous Coward

      個別の事例ごとに判断するのが法学の基本です
      問題視されているようなネズミ講まがいが実際に発生したなら必ずどこかに違法な奴(=あんまり親しくない奴にもピーコしてやった)がいますが、関係者全員が違法とは限りません

      後半のスキャンして売る話についてはまったくもって合法だと思います

  • by Anonymous Coward on 2013年05月09日 17時01分 (#2377643)

    >限られた親しい友人は家族に準じる範囲とするのが一般的

    これって判例とか出てましたっけ?
    少し調べたことがありますが、「ソースは自分」以外を見たことが無いもので。

    • by akiraani (24305) on 2013年05月09日 17時17分 (#2377650) 日記

      文化庁著作権課に問い合わせた [otemon.ac.jp]ってケースならあるようですよ。
      まあ、そもそも私的複製かどうかが争点になるような裁判とか、規模的にありえんですから判例は探すだけ無駄なのではないかと……。

      --
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      • by Anonymous Coward

        それとは別に、孫コピーはNGだった様な。

        • by Anonymous Coward

          そうはいっても、自炊の電子書籍には「オリジナル」「コピー」てマークが付いてるわけじゃないですし。
          友達の友達は~
          ってなるのを止めるのは意識の問題でしか無いのが現状。

    • by Anonymous Coward on 2013年05月09日 17時41分 (#2377664)
      文化庁 著作権審議会 第5小委員会(録音・録画関係)報告書 [cric.or.jp](昭和56年6月)

      また「これに準ずる限られた範囲内」とは、人数的には家庭内に準ずることから通常は4~5人程度であり、かつ、その者間の関係は家庭内に準ずる親密かつ閉鎖的な関係を有することが必要とされる。したがって、例えば、親密な特定少数の友人間、小研究グループなどについては、この限られた範囲内と考えられるが、少人数のグループであってもその構成員の変更が自由であるときには、その範囲内とはいえないものと考える。

      最後の方に委員リストがありますが、法学者、JASRACや芸団協の理事を含む権利者代表、録音録画機メーカー、消費者団体含めての一応の共通認識なんじゃないですか。

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      • by Anonymous Coward

        「親密な特定少数の友人間」って具体的にどこまでの範囲になるんでしょうね?
        同棲してるとかルームシェアメンバー間なんていう正に家族同然の形態から、単に特定できる友人でかまわないのか。

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ハッカーとクラッカーの違い。大してないと思います -- あるアレゲ

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