MMD杯も作品チェックが終わってちょっと油断して視聴動画貯めてたら、このタイミングで長編MMDドラマの力作がMMDドラマフェスかよと思うくらい大量に投入されてて大変なことに……。
その中でも極め付けの超大作だったのが表題のオービタル・ラビットという作品。

正確には「【東方MMD】オービタル・ラビット　前編」「【東方MMD】オービタル・ラビット　後編」という前後編の二つの動画作品。タイトルで検索すれば動画にはすぐにたどり着けると思うのでリンクは省略。

あと、すごい力作ではあるんですが、その分見るにあたってのハードルも結構高いです。事前に注意すべき点がいくつかありますので前置きしておきます。
この作品はタイトルでわかる通り東方Projectの二次創作です。原作の知識とかはなくてもたぶん大丈夫ですが、登場キャラクターが女性ばかりで、美少女にうさみみとか生えてますので、そういうのに拒否反応がある人は要注意です。あと、SF作品が嫌いな人にはお勧めしません。
無声でセリフはすべて字幕です。雰囲気作りのためかBGMもほとんどないのでながら見はできません。そして、前後編あわせて約1時間の作品です。時間に余裕があるときに腰を据えて見るつもりで、そういうのがダメな人には向きません。

物語の舞台は月、いわゆるディストピアで、今いる場所がディストピアであることを教えられた主人公がそこから脱出しようとするというのが大まかなストーリーの流れ。
舞台がディストピアということで正体不明の圧迫感を感じる演出が随所にあり、それが主にキャラクターの表情で表現されています。これが非常に秀逸でした。セリフもない無言の間を表情一つで見るべき映像にしてしまう、それくらい表現力が素晴らしいです。マンガやアニメ的な記号化技法が主軸のMMD作品でここまで表情で見せられるというのはなかなかないです。
それともう一つすごいの脚本の練り込みですね。オープニングからラストシーンまでのつながり、なにげないセリフの合間の巧妙な伏線、そういったものが「これしかない」と思える完成度で埋め込まれています。ありきたりな表現になりますが、これこそセンスオブワンダーというやつでしょう。

もし、この作品に一流の声優さんがついて声をあてたら、劇場でお金払ってみても満足する、という人が少なからず出てくるんじゃないかと思います。

元ネタありのパロディだから許されるお約束やごまかしはほぼなく、東方ProjectやMMDを知らない人が見ても十二分に楽しめる作品に仕上がってます。東方ファン、MMDファンだけで見るのはちょっともったいないなと思ったので、ここで日記のネタにすることにしました。

追記：MMDこえ部の協力でアフレコ版が投稿されてます。アマチュア声優とは思えないハイクオリティでした。あと、あわせてメイキングも投稿されていて、間の表現、脚本の構成についていかに考え抜かれたものかがわかる内容でした。MMDでのモノ作りに興味がある人は必見です。