TarZの日記: 太陽~地球系ラグランジュ点に送り込まれた探査機(改訂版)
日記 by
TarZ
以前のメモ太陽~地球系ラグランジュ点に送り込まれた探査機は少ないで、太陽~地球系のラグランジュ点に送り込まれた探査機と打ち上げロケットについてまとめたが、JWSTのストーリーが出たついでに調べなおしたところ、まだ他にもあったようだ。改訂版ということで書き直してみる。
太陽~地球系L1またはL2で運用した探査機、質量(本体/推進剤込み)、打ち上げロケット、打ち上げ・運用機関、打ち上げ年は以下の通り。調べられる限り、質量は探査機本体と推進剤込みとで分けて記述した。
L1
- ISEE-3/ICE
(390/479kg) / Delta 2914 / NASA,ESA / 1978
史上初のL1探査機、後にハレー彗星の探査に使われた。 - WIND
(?kg/1250kg) / Delta II 7925-10 / NASA / 1994
太陽風探査、SOHOと入れ替わりでL1離脱。 - SOHO
(610/861?kg) / Atlas IIAS / ESA,NASA / 1995
太陽探査。 - ACE
(596/785kg,752kg?) / Delta II 7920-8 / NASA / 1997
太陽風観測。 - Genesis
(494/636kg) / Delta II 7326 / NASA / 2001
太陽風観測、L1点からの初のサンプルリターン。 - LISA Pathfinder
(?/?kg) / ? / NASA/ESA / 2009予定
重力波検出干渉計。試験探査機らしい。 - Kuafu(ドイツ語)
(?/?kg) / ? / 中国? / 2012予定
気象衛星? 3台構成の内の1台がL1に投入予定。 - Triana
(?/?kg) / ? / NASA / 中断
地球観測衛星、ゴア元副大統領が推進していたが様々な思惑が働きキャンセル。
L2
- WMAP
(?kg/840kg) / Delta II 7425-10C / NASA / 2001
宇宙マイクロ波背景放射の全天観測。当初MAPと呼ばれていたが、後に人名を加えてWMAPと改称したようだ。月の重力を利用してL2に到達。 - Eddington mission
(?/?kg) / ? / ESA / 中止(2008年に延期か)
恒星観測。 - PLANCK
(?/?kg) / ? / ESA / 2007予定
背景放射全天観測。 - HERSCHEL
(3300kg?/?kg) / ? / ESA / 2008予定
遠赤外線~サブミリ波望遠鏡。 - Gaia
(?/?kg) / ? / ESA / 2011予定
ヒッパルコスの後継機、年周視差から近隣の恒星までの距離を正確に求める。 - JWST
(?/?kg) / Ariane 5予定 / NASA,ESA,CSA / 2013予定
HST後継となる赤外線宇宙望遠鏡。 - SPICA
(2600kg?/?kg) / H2A-202予定 / JAXA / 2010以降
中~遠赤外線宇宙望遠鏡。JWSTでは見えない、より長波長の領域を高感度で観察することを予定している。 - Darwin
(?/?kg) / ? / ESA / 2020以降
系外地球型惑星の探索。 - TPF
(?/?kg) / ? / NASA / 計画中
系外地球型惑星の探索。L2以外に置かれるかもしれない。
L1は太陽か地球の昼側の観測に適しているが、変り種では重力波検出を試みるLISA Pathfinderか。
一方、L2は太陽や地球の影響を排除しやすいので、赤外線やマイクロ波、高精度・高感度な星の観測のミッションに適している。
ESAで、L2を使うミッションが多く予定されているのが印象的だ。
日本の計画では、SPICAが2.6tと非常に大型なのには驚いた。H2Aなら、L2にでもこれだけ大型の探査機を送れるわけだ。
Darwin,TPF,LISAはかなり野心的な計画かな。
[02/14 03:10追記]
おっと、JASMINEというのも計画されているようだ。予算はまだついていないみたいだけど。
L2
- JASMINE
(?kg?/?kg) / H2A? / JAXA / 2014目標
ヒッパルコス同様、星までの距離を測定するのが目的だが、より高い精度で観測を行うことを目指す。
まだ決定していないかもしれないが、JASMINEはL2ハロー軌道ではなくリサージュ軌道かもしれない。関連資料(PDF)
興味深いのは、ピギーバックで打ち上げる、より小型のnano-JASMINEという試験的な計画があるらしい点か。
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