新司法試験の論文問題に架空の「ネット規制法」が出題される 56
違憲のはずなんですが 部門より
insiderman 曰く、
5月14~18日に渡って行われた新司法試験の論文試験(公法系科目)の題材として、架空の「ネット規制法」が使われた。(試験問題のPDF)。
この「ネット規制法」は、というものである。
- インターネットに接続する機器にはフィルタリングソフトを導入しなければ販売することができない
- 機器の使用者が18歳未満でないことが確認できれば販売者はソフトウェアを削除することができる
- それ以外の手段での削除は罰せられる
- ソフトウェアの削除手段や妨害手段の提供者も罰せられる
問題では、この法律下において起きた下記のような架空の事件をテーマに、どのような憲法上の主張で弁護を行うかと、検察官の主張を想定しつつ憲法上の問題点についての回答者の見解とを述べさせるものだ。
- 被告は、戦場における死傷者の無惨な画像、拷問を受ける人々の画像などが掲載されている、平和問題と死刑存廃問題を扱うサイトを運営していた
- このサイトは有害サイトとしてフィルタリング対象となり、18歳未満が閲覧できないようになった
- サイト運営者は18歳未満の子どもにも自分のサイトを閲覧して考えてほしかったため、フィルタリングソフトを『ハックする』ツールを開発/別サイトで配布し、フィルタリングソフトが導入された環境でも当該サイトを閲覧できるようにした
- この行為は「ネット規制法」に違反するため、起訴された
「フィルタリングソフトをハックするツール」が現実的かどうかは置いておいて、フィルタリング対象となっているサイトが、なんらかのテクニックを使ってフィルタリングを回避する、というのは現実にも起こりそうな問題である。論文問題内で定義されているフィルタリング法は架空のものとはいえ、これらの問題についてどのように弁護を行うべきか、非常に興味深い。